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時刻が21:00を回りそうになって、「2人はそろそろだいじょぶなの?」とわたしは聞いた。
「ん?意外とだいじょぶよ」朔がまるでいつものことかのように、そう言った。
今日1日でこんなに仲良くなれて嬉しい、そんな気持ちがわたしの中に湧いてきた。
「てゆーか、うちらよりそっちのがやばいんじゃない?」
朔は笑いながらわたしの隣で寝転ぶ巡を指さした。机の上にはビール缶が2つ置いてあり、その下で巡は熊のぬいぐるみを抱きながら寝言を言っていた。
世話が焼けるなー、なんて思いながら、わたしは巡の肩を揺すって「巡くーーん」と呼びかけた。もちろん返事はない。
「うちらはだいじょぶだけどさ、翠はそろそろ帰った方がいいんじゃない?」
「えっなんで?」
朔はわたしの問いかけには答えず、ちらっと影の方を見た。が、影は相変わらず無言のままだった。
少しの沈黙の後、わたしは「巡くんち来るといつもぬいぐるみ抱いてる気がする」と呟いた。
また少し沈黙が続いたあと、「それはねー、巡にとってめっちゃ思い入れのある品なんよー」と朔がにやにやしながら言う。
「えっそなの?」「まーいつか、翠にも教えてくれるかもねー」「ずるいーなんで朔は知ってんの〜」
巡は未だに、自分のことをあまり話してくれない。わたしが信用されていないからかもしれない。
それから小一時間後、わたしたちは支度をして帰ることにした。
わたしが準備している間、影が「薬置いとくからねー」と巡の耳の近くで聞こえるように言ったのを見た。
2人が玄関へ行ったあと、わたしはもう一度巡の肩に触れて、「じゃーね、帰るね」と小さく言った。離れようとして、巡はわたしの手に触れてきた。思わずわたしは振り返る。
「……か、すみ……」
「……」
何も聞こえないフリをして、わたしは玄関に向かった。
帰り道、ずっと何かが引っかかっているような感覚がしていた。巡がわたしの気持ちに気づいているかどうか、うっすらわかっている。それでも何も行動を起こしてくれていないのも、気づいている。彼の目に写っているのが何かもわからない。それでも、彼はいつもわたしに優しくしてくれるし、わたしのことを気にかけてくれているのもわかっている。だから期待してしまうのだ。
なんて考えていたら、影にぶつかってしまう。
「あたっ、ごめん」
影はわたしを一瞥したが、何も言わなかった。
「だいじょぶ?酔った?」
朔がわたしと影の間に割って入って言った。
「ううん!元気だよ」
わたしはそう言ってから、今の返答が若干的外れであったことに気づいた。
「今度さ!わたし朔と遊びたい」
「おー、いよー」
「わたしこんな仲良くなれたの初めてかも」
「うっそだー」
そんな会話をして気を紛らわした。




