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初めて会った時から、間違いなく君は俺の天使だ。
海辺で1人、座って音楽を聞いている姿すら、俺にはただただ愛おしくて仕方がなかった。普段女の子相手に動揺しない俺でも、君にだけはどうしても無理だった。動揺せずにはいられなかった。初めて食べたアイスの味も覚えている。たしか君は抹茶が好きだった。普段は簡単に食べることができない値段だからこそ、たまに食べるハーゲンダッツの抹茶味がとてつもなく美味しく感じられてたまらないのだと、君は笑顔で言っていた。本当に可愛くてきらきらした笑顔だった。放課後遊びに行ったときも、いつも金がなくて行けるのはゲーセンくらいだったけれど、君はずっと笑顔で俺の隣にいてくれた。ディズニーが好きだというので1度だけディズニーに行ったこともあった。数え切れないくらいの君の写真が、今も俺のスマホの中には残っている。写真には映らない可愛さだった。本当に本当に、俺にとって君はかけがえのない誰にも替えられない存在だ。やっぱり君がいないと寂しいよ、この行き場を失った愛情がそろそろ、俺の中に積もって破裂しそうだった。ごめんね、最後まで気づけなくて。君は俺に心配をかけまいと黙っていたのに、それを俺は隠し事をしているだなんて、悪く受け取ってしまって本当にごめんね。最後まで君に伝えたかった好きのたった2文字がずっと喉の奥に隠れたままで、言えなくてごめんね。何年もの間、決断できずにだらだらと堕落した生活を送っていた自分のろくでもなさに嫌気がさす。もうこの世の誰も、俺自身すらも俺を望んでいない。おまけに俺の生き甲斐だった君は先に居なくなってしまった。でも大丈夫、今度こそ会いに行くから。今度はちゃんと伝えられるように、がんばるからね。
ハーゲンダッツを食べ終わって、ビニール袋にカップのゴミを入れる。曲がアウトロに入った。ちょうど、霞が好きだと言っていたsugarだった。
右手には熊のぬいぐるみ、左手には花束を抱えて、俺は海を眺める。初めて会った時のことが鮮明に思い出されて、胸が苦しくなる。
――唐突に、誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた。
耳を澄ます。背後から、聞き馴染みのある誰かの声。
「――巡くん……?」
その声が、俺を現実へと引き戻していく。背後の人物――翠は、俺に段々と近づいてくる。
振り向くことなんてできなかった。




