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横浜に向かうバスに乗りながら、わたしたちは計画を立てた。随分横浜まで近づいて人が増えてきたので、3人で満員バスを横並びに立っていた。
whooを確認すると、昨日まで表示されていたはずの巡の位置情報は消えていた。こちらに確認される可能性に気づいてアカウントを消したのだろうか。ともかく、わたしたちにはもう巡の位置情報を知る手段は残っていなかった。それでもわたしたちの結論は、巡はきっと横浜に向かうつもりだろう、ということだった。
「巡くん、横浜に着いたら何するつもりなんだろう」
わたしはおもむろに呟く。
「巡のことだからね、何するかわかったもんじゃないよ」
朔は呆れるように答えた。
「問題はどこで待ち伏せるかだな」
影が言う。
「家?やっぱ家はありそうじゃない?」
「たしかに……でもなんかわざわざ帰ってきて家って、あんまなさそう……?」
「じゃあバイト先?どっちだろ居酒屋の方かな」
「そっちだろ、だって巡バーの方は縁切ってるし」
「霞さん絡みのところじゃない?」
「あー」
「えー巡の霞ちゃんとの思い出のとこってどこだろ」
わたしたちは考察を重ねていき、最終的に自宅と居酒屋と巡の母校で待ち伏せすることにした。朔が自宅、影が居酒屋、そしてわたしが高校。巡が横浜に到着してそのどこに現れるかはわからない。もしやそのどこにも現れないかもしれない。それでも、わたしたちは巡を探そうと、そう決意した。
急停車します――そういうアナウンスが流れて、バスが急ブレーキをかける。わたしはよろついて足元のバランスを崩す。転びそうになると、横で影がわたしの腰を引いて支える。距離が近くなって、「平気?」と、影はわたしを案じた。
「あっ」
そんな声にならない声しか出なくて、目が合ってしまう。いつもの長い前髪は分けられていて顔がよく見える。すると影はすぐに手を離した。
「ごめん」
「う、ううん、ありがと」
先日インターネットコミックカフェであった出来事から、なんとなく気まずい。しかも朔もいるこの空間で、一旦距離を取るためにも、早く横浜に着いてほしかった。
バスが一度急停車し、安全確認が終わったあと、また出発する。
日は沈んでいって、そろそろ巡に再会できるのが待ち遠しなと、無理矢理思考を変えた。




