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「影と知り合いなの!?」
照明が消えた居酒屋を出ながら、巡はそう聞いた。
「知り合いっていうか、この前巡くんちに行ったらなんかいて」
街灯と月の明かりを頼りに、わたしたちは夜の街を歩く。
「待ってそれ俺寝てたやつでしょ。うわー、あいつなんか変なこと言ってなかった?」「変なことっていうか……。いや、何も?」
以前の影の言葉が少しわたしの頭の中を過ぎったが、わたしは気づかないフリをした。
すると巡は疑うような目でわたしを見たあと、「はー、もうほんと疲れるわ」とため息混じりに言う。
辺りは段々人気がなくなり、街灯も少なくなっていった。
「でも最近大学行ってないんでしょ?」「行ってなーい」「じゃあなんでそんな」「今日はバイトあったからー」「あー……」
歩きながら、指先が揺れて時々当たる。少し伸ばせば届く距離だった。
分かれ道まで来て、立ち止まる。
「今日来ない?」
巡は自宅の方に立って言った。逡巡して、わたしは答えた。
「いや、いいよ、疲れてるっぽいし」
伏目がちに言うと、巡はわたしの方に近づいて肩をぽんと叩く。
「はは、優しいね。おやすみ」
笑顔でそう言って、彼は今度こそ自宅の方向に歩いていった。
わたしはしばらく、立ち尽くしたままだった。




