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「あんたこの後どうすんの?」
揺られる車に睡魔を煽られながら、俺は夏子の言葉を聞いた。
「まあ、とりあえず横浜に帰って、感動の再会かな」
当初はできるだけ南に行って自決しようと考えていたが、地元から離れれば離れるほど決意は弱くなっていった。ので、結局横浜まで帰ることにしたのだ。
「ふーん、まああたしにはあんたの今後とか関係ないけど」
無言で、俺は後部座席から運転席の夏子を見た。
たまたま旅先で出会って拾ってもらっただけの仲。なのに、こんな自分にまだ構ってくれる人がいたことになんとも言えない気持ちになる。
今頃、翠や影、朔はどうしているだろうか。俺のことを心配してくれているだろうか。
「……まさかな」
誰にも聞こえない声で、囁くように言った。
手元の熊のぬいぐるみはもう、霞の姿になってくれはしない。それでも、たとえ今までの霞との夜がすべて幻覚だったとしても、このぬいぐるみには罪なんてなくて、俺にとって数少ない救いであったことは、変わりはしないのだ。
『あげる』
『え』
『巡くん、1人で寝る夜が怖いって、言ってたじゃん』
『いいの……?』
『うん。言っとくけど、手作りだからねっ、大事にしてね』
目を瞑れば、今でも鮮明に思い出せる、かつての霞とのやり取り。自分の死に際死に時は、やはり霞とつながれるものがいいと、改めて思った。
「あたしが送れるのはここまでだわ、降りな」
車が止まる。窓の外を見ると、どうやらサービスエリアに着いたみたいだ。
「ありがとうございました、送ってもらっちゃって」
「ん。あんた、好きな子に告白するんでしょ?絶対成功させなさいよ」
「いやもうそれは、成功率100パーっすよ」
から笑いとともに、俺は車から降りた。夏子は手を振ってから、すぐに見えなくなる。
バスを探さなきゃ、なんて思いながら、売店へ向かう。
『わたしと一緒に、今を生きてよ』
唐突に誰かの声が頭に鳴り響いて、俺は頭を叩いた。
自分を望んでいる人なんていないのだと、そう思うほうが今は楽だった。




