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コントローラーを操作しつつも、気持ちは上の空だった。
自分が本当は何をしたかったのか、自分でもわからなくなる。
翠の恋心を応援したい気持ちだって本当だし、でも巡の過去を言ってしまって傷つけてしまうのも嫌だった。
「あんたはさ、どうするのが正解だと思う?」
「……マリカ?」
「違うわ巡と翠のこと。まじおもんないよそういうの」
テレビにリザルト画面が表示される。また影は9位だった。
「巡の方を解決させる」
おもむろに、影は言った。
「ほんとにできると思ってんの?もう霞ちゃんが死んで3年経つよ」
「じゃああのままにするってのかよ」
「まあそれは……」
「あのまま過去に囚われて翠を騙しっぱなしにするってか?」
「ねえ巡は騙してるわけじゃないと思うよ」
「でも結果的にそうなってる」
「コースどれがい?」
「レインボーロード」
機械的にコントローラーを動かす。やはり気持ちはゲームの中にはなかった。もちろん影だってそうだろう。今回の件、影はいつも以上に感情的にになっていると、わたしは感じる。
「なんでそこまで必死なの?」
そういうわたしの声は、少し震えていた。
「影はなんでそこまで巡とか翠のために何かしようと思えるの?」
しばしの沈黙、ゲームの音だけが流れている。わたしがアイテムを拾ったのと同時に、影は言った。
「巡は、俺にとって恩人なんだ」
わたしは無言になる。影と巡の関係は知っているつもりだ。もちろん影が巡に対して、相当な恩義を感じていることも。
「俺が行く宛てがないときに、巡は拾ってくれた。その恩を返したいと思ってる」
「ほんとにそれだけ?」
「あとそれと、友だちが辛そうにしてんのは見てて辛い」
ふーん、と小さくわたしは唸った。
レースの1周目が終わり、2週目に入る。今のところわたしは1位だった。
「翠は?」
影は無言のまま。
「翠は?関係ないの?」
ちらっと、わたしは影を横見した。
「いや、まあ、翠は」
影は口元を手で押え、伏し目がちに言う。そんな表情、わたしは知らない。
「……別にあのまんまでいいじゃん。翠は巡のこと好きだけど、巡はずっと今も昔も霞ちゃんのことが好き。だから翠は失恋しちゃう。それでいいじゃん。巡は昔から変わらず霞ちゃんのことが好きなんだよ、たとえ報われなくてもね」
声がうわずる。ずっと昔から人を好きな気持ちは、報われないとしても生き続けるものなんじゃないのか。なんでだか、虚しくなった。
「なんで泣いてんの?」
影がわたしの方を覗き込むように聞く。
「えっ、泣いてないし、何言ってんの」
影の思わぬ指摘に、涙が引っ込んだ。依然、泣いてなどいないが。
「まあとりあえず、俺は巡を解決させるから。朔は朔がやりたいようにやれば」
そう言って影はゴールインする。今度は8位だった。
わたしは今日初めて1位をとったが、嬉しいだなんてそんな気持ちは微塵も湧いてこなかった。




