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二人で化粧をしながら、わたしは聞く。

「あんたは今日何すんの?」

隣の翠はカラコンを入れながら答える。

「だから巡くんち行くんだって」

「え!待ってじゃあ今日告白する日!?もしかして」

わたしは下地を塗りながら聞く。

翠はカラコンを入れるのに苦戦しているみたいで、まだ片目しか入っていなかった。

「え告白!?今日した方がいいかなえっどうしよ」

「だってディズニー行けないじゃん。じゃあ今日じゃないの?ていうかカラコン入れるの下手すぎでしょ」

「わたしほんとにコンタクト苦手ー。でももともとディズニーの日にしようと思ってたから、まだ心の準備が……。あ、告白の話ね」

「あーね。……まあ、うちはいつでもいいと思うけど」

「ていうか朔は告白しないの?」

「え?」

「だって影くんのこと好きなんでしょ?」

「ちょっ、前のは忘れてってば!全然そんなんじゃないし!」

「うそー、顔赤いよ。朔こそ今日告っちゃえばいいじゃん」

「もうやめてよー」

「わたしは影くんいいと思うけどなー」

「てゆーか影、くん付けで呼ばれんの好きじゃないと思うよ」

「えっそなの!?呼び捨て?」

「うん」

そう言うと同時に、チャイムが鳴る。

「げ。もう来たの?」

わたしは鏡の前を離れて玄関へ向かう。鍵を開けて扉を開くと、そこには予想通りの人物が立っていた。

「化粧濃。顔赤いぞ」

影の第一声に、わたしは不意をつかれた。

「ま、まだチーク塗ってないし!てか来んの早いよ!」

「わりぃ」

それだけ言って、影は何事もないかのようにわたしの部屋の中に入る。

「え」

影は机上で化粧をしている翠を見てそう発する。

翠は「あ、どうも」とちょっと気まずそうに言った。

「あ、これ?似合ってる?影く……影に見せんの初めてだっけ?」

翠は自分の髪に触れて影に言う。が、影はそれには注目せず、なんでこいつが?という表情でわたしを見つめてくるので、わたしは「今日巡んちいって告るんだって」と言う。

すると、案の定翠は「まだ告るか決めてないってー」と照れたように言った。それを影が冷めた目で見ているのに、わたしは気づいてしまう。

「やめたら?」

彼の割にははっきりと、影は翠に言った。

翠のカラコンを入れる手が止まる。

わたしは影の空気で、影が言わんとしてることにやっと気づいた。

「なんで?だめなの?告っちゃ」

少しの沈黙の後に、影は「似合わないよそれ」と呟いた。

「え?髪?」

「前の方がいい」

「結構巡くん褒めてくれたよ?だめかな?」

影がそう言う理由が、わたしにはわかってしまう。

なんとなく、空気が重い。わたしは予後を察して場を取り繕おうとする。

「似合わなくはないけど、まあ、うーん、そうだな」

失敗。

「え?なんか怒らせちゃった?」

「いや違う、けど巡んち行くのもうやめたら?」

「え?どうして?急に」

影はわたしを見る。が、わたしは翠にどう言えばいいのかわからず、結局なにも言えなかった。

「巡の好みに合わせたんでしょ?」

「!やっぱわかるよねー……」

しばらく沈黙が続く。

「巡くんちに行くのやめたら?って、どうして?」

翠が聞く。わたしたちは顔を見合わせなくとも、同じことを考えているだろうと悟る。

「え?なにそれ、もしかして巡くんに彼女さんができたとか?そゆこと?」

わたしたちは黙った。影がなにも言わなさそうなので、わたしは押し殺したような声で言おうとする。

「翠、巡の――」

「ほんとになにも言ってないんだな」

するとわたしの声を遮って影が言った。

「じゃあ行けば?巡から聞いてくればいいよ」

「な、何を?」

「俺は行くのおすすめしないけど」

「ちょっと待ってよ影」

思わず声を出す。完全に冷たい空気が流れて、わたしは2人の間に誤解が残らないようにすることで必死だった。

なんとなく、いい気分ではなかった。

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