17
授業を終えて、わたしは軽い足取りで教室を出る。友だちには酷評されたが、きっと巡なら褒めてくれるのではないか。そんな淡い期待と少しの緊張を抱いて、正門までキャンパスを移動した。
門の前に、巡は立っていた。深呼吸する。と、目が合う。驚かせようと思ったが、先に気づかれてしまった。
巡はこちらに振り返ってわたしに気づいた途端、目を見開いて呆然とする。
「巡く、ん……?」
目が合ったまま、巡は呆気にとられたような顔をする。
「え?え?ど、どしたの?」
わたしは自分の髪やメイクが変なのかと不安になって、顔を赤くした。
刹那の無言の後、巡は言った。
「あ、いや、その、びっくりした。イメチェン?なんで急に?」
「ええ?うーん、ないしょー」
言わなくてもわかるだろうと、そう思ったので、あえて言わなかった。
「変じゃない……?どう……?」
恐る恐る、わたしは聞いた。
「うん、あのー、すげー可愛いよ。可愛い」
巡が少し照れたように言うので、わたしは心の中でガッツポーズをして、なぜだかすごく幸せな気分になった。奮発した甲斐があった、そう思った。
「今日、迎えに来てくれてありがとね」
わたしは顔を赤くしたまま言う。
「うん全然ー。暇だったし」
巡はわたしの肩に触れて車道側に移動しながらそう言った。
ますます、好きになってしまう。
このままだと浮かれて聞こうとしていたことを忘れそうなので、わたしは軽く頬を引っぱたいてから聞いた。
「あのさ、巡くん今度一緒にディズニー行かない?」
勇気を振り絞った誘いだった。ずっと前から考えていて、なぜならそのディズニーの日にわたしはある行動を起こそうと思っていたからだ。
しかし、巡の反応は期待していたものとは真逆だった。
「あー、ごめん、ディズニーは無理かも」
「えっ」
わたしは思わず声を漏らす。
「なんかさ、俺ー、あんまディズニー好きじゃないんだよね、ごめん」
頭の中でごちゃごちゃと思考が錯綜したが、無言になってしまってはまずいと気付き、わたしはすぐに「あっおっけ!なるほどね、そういうことね」と返した。
「じゃあ今度家来てよ」
「えっ」
巡の方から思わぬ提案が来る。
「前はみんなでタコパしたけど、今度は二人で遊ぼうよ」
「い、いいの?」
「うん、おいで」
少しだけ落ち込んだ気分が回復する。計画は崩れてしまったが、またそのお家デートの日のために練り直そうと思えた。
再び足取りが軽くなって、わたしは小さくステップを踏みながら帰路を歩いた。




