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「あーあれ振ったんだよね」
ファミレスに着いた途端、優花がわたしと三宅の関係について尋ねてきた。
「なんでー!?もったいな」
華が言う。
「いや、なんか別に好きなわけじゃなかったし」
「でもとりあえず付き合っとけばよかったじゃん。三宅くんみたいなイケメンに告られることなんてもうないかもよ?」
「そうだけど」
席について、メニューを開く。なんだか今日はラーメンの気分だった。
「いいなー、うらやま。あたしも三宅くんに告られたいー」
「まあたしかに朔が三宅くんと付き合ったらそれはそれでちょっと複雑だわ」
「どゆ意味よ」
「うちらの朔が三宅くんに取られて寂しーってこと!」
そんなような会話を何度か交わし、わたしたちは注文を終える。料理が運ばれてきて、わたしはカバンからスマホを取り出した。
「何撮ってんの?」
ラーメンの写真を撮ったわたしに向かって、優花は言った。
「あーうちね、知り合いにラーメン好きなやつがいて」
「へー男?」
「まあそーなんだけど、だから自慢してやろーと思って」
「うわー、三宅くん振ってんのに朔ったら魔性の女だわー」
「その人の写真ないの?写真」
「えっ見る?」
わたしは影にラーメンの写真を送信した後、写真フォルダを開いた。フォルダには、影の写った写真が山ほどあった。
「見てこれ!この人!」
優花と華に写真を差し出す。
「えお家デート?めっちゃ仲良いじゃん」
「付き合ってんの?」
「なわけ!うちがこんな根暗ニートみたいなのと付き合ってるわけないじゃん!」
「根暗ニートやばい。まあたしかにちょっと前髪長めかも?」
「でしょ!いかにも毎日家で一日中百合ゲーしてますみたいな顔つきでしょ。でもねこいつね、いっつも筋トレしてんの。ゲームもたまにするけどめっちゃ弱いの!まじうけるしかもこんな見た目で猫ちゃんだーいすきなんだよ」
わたしがけらけらと笑っていると、2人は顔を見合せて訝しげに聞いてくる。
「何?どんな関係なの?」
「えっ、うーん、幼なじみ」
「あーね、てっきり朔この人が好きなのかと思ったわ」
「えっ」
華の思わぬ発言に、わたしは虚をつかれたかのように肩を跳ねさせる。と同時に、店員が空いた食器を回収しに来た。
「あれ、朔?」
わたしを呼ぶ声の方を見て反応すると、店員の装いをした人物はわたしのよく見知った人だった。
「ええ翠!?」
わたしはあまりの驚きに身を捩らせた。
「なんでここにいんの!?」
「何?知り合い?」
ついに優花もテンポについてこれず、眉を寄せる。
「あ、うん友だち」
「こんにちは、朔さんの知り合いの者です。わたしここでバイトしてるって言わなかったっけ?」
「聞いてないし!」
わたしの脳内に、一抹の不安が過ぎる。
「ここ大学から近いしお給料いいんだよねー」
「ねえさっきの話聞いてた?」
「えっあー、影くん……」
「わー!まじかよなんでー!」
わたしは文字通り頭を抱える。
「朔影くんのこと好きだったんだね、初知り」
「だから違うってもー!」
なぜだか全身が熱くなってきた。別にただの幼なじみの話をしていたところを聞かれただけで、何も不都合はないというのに。




