024話 エルトワール王国宮廷錬金術師エトワの悲劇
この作品を選んで、お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字があると思いますが、出来れば誤字報告して頂ければ幸いです。
この物語はフェイクションです。
物語中の世界観は独自の世界観で書いておりますので、法律、慣習、習慣、常識等に異質な部分が多々ありますが、其れ含めて楽しんで読んで頂きたいと思います。
魔境イフラインの南西にあるエルトワール王国の王宮では5千万ランドの資金横領事件が発覚し、容疑者として宮廷錬金術師エトワが捕まると、囚人服に着替えさせられて地下牢に投獄されてしまった。
騎士による取り調べではエトワは『王宮のお金を扱う立場でないし、鉱石や資材については全て財務部に申請を出して研究に使っている。何故5千万ランド程のお金を横領出来るのですか、私は無罪です』と主張していた。
エトワが不正をしたされる理由は1千万ランド相当の貴金属を過去5回に分けて申請し、取得した貴金属を転売に掛けて不正にお金を横領したとして、王宮内に在る寮の自室に1千万相当の貴金属が見つかり、転売したお金が押収されたとの事であった。
「私はそんな申請を出した覚えがない、誰か別の者が私の名を使って申請したに違いない、まさか・・・そんな事をあの方は仕組んだのか・・」
エトワは3回目の取調べで容疑者として捕まった理由を初めて聞かされて、無実を主張し、誰かが仕組んで事だと訴えた瞬間に思い当たる人物が脳裏に浮かんだのが第2王子ルシトオル様であり、その名を上げる事が出来なかった。
もし無実を主張して第2王子ルシトオルの名を口にすれば下手をすると、王家に対する不敬罪で死刑になる可能性もあったからだ。
エトワは無実を主張するが、それ以上の事は言えず、無実を立証する手立てがなく地下牢で裁判が始まるのを待つばかりとなった。
エトワは宮廷錬金術師の中でもトップクラスの錬金術師であり、周りからの信頼も厚く日々研究に励んで今までも功績を称えられていた。
年齢は18歳で天才錬金術師として宮廷に15歳と最年少に就職を果して、魔道具開発に多くの功績を上げていた。
しかも銀髪碧眼の美少女で胸も大きくスタイルも良いので、若い貴族の子息からも婚約の申し込みが殺到する程の人気ぶりである。
ただエトワは男爵家の非嫡出子であり、ほぼ平民の立場であり教会の成人の儀で行われた職種の神託で錬金術師になった。
成人の儀が行われる以前から母親の実家である魔道具店で、エトワは魔道具作りの仕事を手伝っていたのもあり、一気に錬金術師としての才能が開花して、その名が王城まで届き宮廷錬金術師となった経緯があった。
エトワは1年前に第2王子ルシトオルの執務室に呼ばれて訪れると、執務室には誰も居らず行き成り抱きついて来て関係を迫られ、強く拒絶して思わず突き飛ばし執務室から逃げ去った経緯があった。
その後はルシトオル殿下からは何事もなく日々を過ごしていたけど、ただ貴族令嬢等の噂では執念深いとの話が耳に届いていたけど油断していたら、こんな事になるとはエトワは夢にも思っていなかった。
裁判が始まり、初めて物品請求申請書を見せられていたが、申請書のサインの筆跡が似せてはあったけど自分の筆跡ではないと主張した。
ただ筆跡は後で見つかった時の為に少し変えたものだと裁判官に言われてしまい、エトワの主張が却下されてしまい自室に貴金属とお金が有った時点で有罪だと断定されてしまった。
「判決を申し伝える。容疑者エトワには流刑の刑とする」
エトワは判決を聞いてその場にへたり込み涙していたが2人の宮廷騎士に両腕を抱えられて地下牢に連行されて流刑の刑が執行される日を待つ日々を送った。
流刑の刑は実に100年振りとなるらしく、日曜日に行われるのが過去の慣例であり、それ以外の日に執行すると周辺まで巻き込むか祟りが起こり災いが起こると言い伝えられていた。
流刑の為の転移陣はゼノン前世の大賢者ゼノスが創りあげた転移陣であり、当時のオークランド王国では余りに理不尽な裁判が行われていたのを見たゼノスが考えて国王に進言した。
大賢者ゼノスが当時の国王に言葉巧みに流刑の刑を制定させて、城の地下室に転移陣を創り出し、魔境イフラインの奥地に転移させる事で冤罪の流刑者を聖域で匿ったのが発端である。
流刑の刑は死体の始末が要らないと各国から依頼されて大賢者ゼノスが出向いて、転移陣を各国の城や教会に設置して行ったのが現在でも残っている。
エトワは地下牢の中でただ黙って床にへたり込み、食欲も無くただ水のみを飲んで執行まで日々を過ごし絶望の縁にいて、刑の執行の前日に第2王子ルシトオルがエトワの前に姿を見せた。
「いい気味だな、大人しく僕の女になっていれば良いものを、アッハハ・・」
第2王子ルシトオルは絶望に縁に落ち込み痩せ細ったエトワを見下ろして高笑いをする。
エトワはそんな第2王子ルシトオルの言葉など耳にも入らず、ただへたり込み茫然として居ただけで何も感じる事はなかった。
高笑いをしていた第2王子ルシトオルはただへたり込み何も反応がないエトワを見て、面白くなかったのか直ぐにその場から離れ立ち去って行った。
流刑の刑が執行される日曜日を迎え執行される10時に合わせて宮廷騎士の2人が地下牢の中にいるエトワを迎えに来て、両手を前に出せて縄で縛り転移陣の在る地下室へ連行して行く。
転移陣ある地下室に入るとエトワを円形の転移陣の真中まで連れて行くとエトワは直ぐにへたり込んだ。
エトワが転移陣の中央にいる事を確認すると、魔術師が台座の上に置かれた転移陣を起動する円形の魔水晶に魔力を注ぎだし、転移陣が眩しく光を発生させるとエトワの姿が消えた。
日曜日にいつもの様にユランとレティアはアズナとエイリンの4人で森の中で魔物の間引きを兼ねた魔肉の補充をする為に魔物と討伐していた。
ルキスとメイラは転移陣が反応したのを察知して、ルキスがユランに吠えると転移陣の方へ視線を送り尻尾をグルングルンと何度も振った。
「えっ、まさか転移陣の方向に誰か来たのね、分かったわ、レティア様転移陣が反応したみたいなの見てくるね」
「そうなの、分かったわ、私も行くわ、アズナ、エイリン直ぐに戻って」
レティアは他人事ではないので直ぐにアズナとエイリンを呼び付けた。
直ぐにルキスとメイラの背に乗って転移陣の方へ向かって走り出して、10分程で転移陣に到着すると転移陣の中央に囚人服を着た女性が倒れていた。
エトワは意識もなくただ呼吸だけはあったので、レティアが風魔法でエトワをメイラの背に乗せるとメイラの背に乗った。
「私が聖域に連れて行くから、ユランさん達はそのまま引続き間引きを続けてくれる」
「うん、分かったわ、気を付けてね」
ユランはレティアの気持ちを察して任せる事にした。
レティアは直ぐにメイラに合図をして聖域に向って走らせて、30分程で聖域に入り、そのままログハウスに連れて行く。
ログハウスに到着するとメイラの背から意識の無いエトワを風魔法でそ~と地面に下ろすと中にいるルアンを呼び、2人でエトワをログハウスのレティアが使っていた部屋のベッドに寝かす。
「生きているわね、取り敢えず裸にして身体を綺麗にしましょう」
「うん、お湯とタオルを持って来るわね」
レティアは直ぐに露天風呂に行き桶にお湯を入れて、それとタオルを4枚持って部屋に向う。
裸にされたエトワの身体をレティアとルアンが綺麗に濡れタオルで拭いて、身体を綺麗にすると、予備の回復ポーションを飲ませてから掛布団を掛ける。
「うふふ、中々良い女子だな、ゼノンの性魔術で治療させようか」
「あら、良いわね、最近激しくて大変だもの、エイリンさんとアズナさんを誘ってるけど良い返事をくれないのよ」
「まぁ、奴隷の立場を気にしてるじゃない、だがこの女子は違うからな聖域に住むならゼノンの女にするしかないわね、取り敢えずお粥でも作って来るわ」
「うん、お願いね」
レティアはルアンがお粥をつくり行くのを見送り、そのままエトワの様子を見守る。
「うっ、う~んん・・・」
「あら、目覚めたのね、私はレティアと申します。貴女の名前を教えてくれる」
「えっ、此処は天国ですか」
エトワは意識を戻ると目の前に金髪碧眼の美少女が見えたので天国かと勘違いして擦れた声で呟く。
「違いますよ、此処は魔境イフラインの最深部に在る私の婚約者のゼノン様が治める聖域よ、ところでお名前を教えてくれるかな」
「あぁ、私はエトワと申します」
「エトワさんね、私はオークランド王国のエドバンス公爵家の娘レティアと申します。エトワさんはどうして流刑の刑になったの、言いたくなければ無理に聞かないけど、冤罪とかかしら」
「はい、ハメられました・・・・・・」
エトワはレティアにかすれた声で流刑にされた経緯を途切れ途切れに話した。
レティアはエトワが話すのを最後まで黙って聞きいり、エトワが涙を溜めながら語る内容に行き通りを感じてエトワの手を握り締めて、エトワの無念さを理解する。
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