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53.緊急会議

栗谷さんからの連絡を受けて、急いで会議室へ戻った。


会議室には本部の隊長各など、役職者がゾロゾロと集まっている。また、各国支部の重役達もがオンラインで参加している。かなり大きな緊急会議が始まるのだ。


「諸君、緊急ですまないが、まずはこの通信を聞いて欲しい」

会議テーブルの上座に座った本部長、橋本雅也(はしもと まさや)、白髪も混じる短髪を整えている真面目そうな見た目をしている。見た目通り、適合者ではないが仕事の出来るおじさんだ。

橋本本部長の号令の元、録音された音声が流れる。




〖本部!応答願います!総長付秘書の橋本です〗

〖こちら本部です!どうぞ!〗


この声は栗谷さんのとこの長瀬オペですかね。当直だったようです。

橋本さんからの通信とこの状況……

思い至ってしまい、私は心臓が掴まれた気がした。


〖本日、13:00中華連邦国支部に到着した、マイルズ総長、楠木副室長及び私の3名ですが、連邦支部から連邦政府側への技術提供違反を確認しました。既に適合者にて軍部を編成しているようですマイルズ総長の名のもとに規約第2条違反として、連邦支部所属の全員へ捕縛処分を要請します〗


「っ!?」

「なっ!!??」

橋本さんが焦ったように早口で報告した内容に会議室の全員が衝撃を受ける。


連邦支部がそこまで、やっているなんて…


〖っ!?り、了解!!本部長へ連絡します!そちらの状況は!?〗

〖到着後、罠に嵌められ現在は総長がランキング上位隊員と交戦中!楠木副室長は行方不明!総長もランキング4.5.6位と同時戦闘に発展しており、現在も戦闘音が聞こえておりますが、分は悪いかと!〗

〖い、急ぎ救援に向かいます!!〗


オヤジっ!?

悪い予感が現実となった。心臓が早くなる。ランキング上位【11の頂点(イレブンバーテックス)】は正直、そこまで大きい差はない。

功績や戦闘の相性にて序列こそついているが、圧倒できるような差はなく、2対1、ましてや3対1で勝てる差なんてないんだ。せいぜいがその戦闘にそもそもついてこれないレベル6以下が巻き込まれて倒せるくらいだろう。

ランキング1位のオヤジでも……


〖脱出を試みますが、この通信も限界かと…〗

橋本さんの声の奥から、ガチャガチャとドアをこじ開けようとしている音が聞こえる。

〖っ!!橋本さん!?橋本さん!??……橋本さん!応答してください!!〗




「これが最後の通信だ。この後は何も通信出来ていない。我々はこの要請を受け、連邦支部へ連絡を取ったが、回答はない!

本会議では正式に連邦支部に対し、技術供与規約違反並びに同胞への交戦容疑で全員拘束することを提案する」

橋本本部長が拳を強く握りしめ話す。私と同じだ。当然だ、本部長は橋本秘書の父親なのだから…


「賛成だ!こんなこと、許されぬ!!」

「そうだ!」

「総長達は無事なのか!?」

「大問題だぞ!!」



反対する訳が無い。ふざけんな!

バグズに対してのみ使う力だからこそ世界が協力出来ていたんだ。それを軍事利用なんて、そんな事まかり通るかよ!


はぁ…それにオヤジは……

隊長に続いてオヤジまでこんなことに……

私の大事な人が次々にいなくなってしまう。



「では、連邦支部は直ちに封鎖、連邦所属隊員は全員捕縛し事情聴取を行う。なお、抵抗された場合、武力行使することも許可するものとする!」


通常、BSF公安委員が適合者の犯罪を取り締まるが、今回は規模が大き過ぎる。

連邦支部VS各国BSFの構図となるのだろう。



「しかし、既に軍が出来ているとなると、連邦政府側も黙っていないでしょうな…」


「そうだろう。各国政府からも抗議はされるだろうが、こちら側の政府は武力介入までは踏み切らないだろう。我々だけで、連邦支部と連邦政府を相手する可能性を視野に入れる必要がある」


「なるほどねー、だから鳴ちゃんが行方不明の今、行動を起こしたんだね。鳴ちゃんと敵対するのは怖いから!」


「ユ室長の想像通りだろう。こちらの戦力は、各国でバグズ出現の可能性がある以上全ては投入できん。が、こちらも【11の頂点(イレブンバーテックス)】をできるだけ投入したいところだ」


「向こうは3人います。こちらも最低3人、いや欲を言えば6人投入すれば確実ですね」


「6人いれば安泰だが、それだと各国からほぼ全員を導入することになるが、今回はなりふり構ってられないな。」


「そうですね。懸念なのは未知数の軍側適合者ですね」


「ユ室長、把握出来ていない適合者はどの程度いると予想しますか?」


「んー、そーですね、いつから技術供与されていたか分からない以上正確ではないんですが……

少なくとも、通常生産分をこちらにバレないようにしながらであれば、それほど余力はないはず。1年準備したとして、そこから更に希望者の中から適合した者が30人もいるとは思えないね」


「そう何年も異変に気付けないとは思えません。準備期間2・3年が想定される範囲でしょうか」


「多めに想定すると100人規模の適合者軍か?なかなかに脅威だな」


「しかし、レベル7がそういるとも思えないですが……」


「だがな……連邦支部も勝算なしに仕掛けてこないだろう。最大限警戒せねばなるまい。現状動かせる最大戦力を投入する!急ぎ公安部隊を編成するぞ!」


「「了解!!」」



_________________


オヤジ、大丈夫だろうか。


「アリス、大丈夫?」


オヤジは強い。隊長に教わって水だけでなく、水に相性の良い雷も扱えるようになった。ますます手がつけれなくなったオヤジはランキング1位の座に相応しく、歴代最強と言われるほどのを持っている。

隊長はまぁ、置いといて。


最近は模擬戦していないが、数年前まで全然勝てる気がしなかったくらい、強いことは私も分かってる。


でも、3対1……

橋本さんの状況から、みんな生きているかも怪しい。一刻も早く行かないと。でも、隊長の手掛かりにクリスタルも探さなきゃ!

でも、みんな既に死んでたら?

既に……


どうしよう…

私は……




「アリス!!!」

リリさんに顔を両手で掴まれる。

ほっぺをぷにぷにと揉まれる。

「リリふぁん?」

モミモミと揉みしだかれている。


「やっと戻ってきたね。アリス、途中からずっと目が虚ろだったよ!心配なのは分かるけど、あんたがシャキッとしないと!今は助けられるように、やれることをやるしかない。無事だった時にあと1歩やってればなんてこと嫌でしょ!?」




……リリさんの言う通りだ。

まだ生きていた時、助けられる時に、何もしてなかったなんて、絶対に嫌だ。


「すみません。リリさんありがとうございます。

もう、大丈夫です!絶対に助けます!!」


「うん、絶対助けよう!きっと、隊長も総長も橋本さんも生きてるよ!」


「はい!!」


「それ、副室長も入れてやれよ」


あ、楠木副室長忘れてた。

アレンに1本取られてしまって、なんか悔しい。

少しでも面白いと思って頂けれれば、

ブックマークやいいね評価等して頂けると、モチベーションも上がって非常に嬉しいです!

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