41.生配信
過ぎてみると1週間って早くないかな?
今日はもう、グエンさんとのランキング戦の日だ。
ランキング戦はグエンさん率いる1番隊の本拠地で行われる。
私達は先程到着し、控え室に来ている。
「アリス緊張してる?」
「リリさん、そりゃしますよ?配信されるって昨日まで知らなかったんですけど!?」
まさか配信するなんて、しかも、生配信。
そんなの緊張するに決まってる。
「へー、アリスはグエンさんとの対戦よりも配信の方が緊張するんだー」
「い、いや、ランキング戦も緊張するんですけど!配信なんて聞いてなかったから!!」
「ふふっ、焦っちゃってー、バグズとの戦闘だってカメラで撮られてるんだよ!?いつもと同じじゃん。なにー、映りでも気にするのー?
このこのー」
リリさんに脇腹をツンツンされる。
「ちょっ、リリさん!そんなことないですもん」
確かにそうですけどね…
いつもと同じだと思えばいいのか。ふー、深呼吸、深呼吸。
「そう、ですよね」
コンコンッ
「おーい、いいかー?」
隊長とアレンが来たようだ。
「はい!大丈夫です!」
私は戦闘服で来ているし、着替えの必要もない。
「緊張は、あんまりしてないようだね」
「なんたって私がほぐしてますから!物理的に!」
またツンツンされる。
「ちょっ、リリさんっ」
「仲が良くてなによりだ。その分だと大丈夫だな!」
「アリスも頑張れよ!」
アレンがなんとも言えない顔をしている。これはこれで面白いと思いつつ、複雑な心境であることも理解している。
「えぇ、私は全力でぶつかっていくだけです」
「おう!」
アレンとグータッチをする。
零番隊でよくやるものだ。何故か力が湧く気がする。
「さて、アリスそろそろ時間だよ、頑張ってね」
リリさんともグータッチ。
「練習の成果を出せば大丈夫。アリスなら勝てる」
「はい!がんばります!」
隊長ともグータッチをする。よし、頑張る!グエンさんに勝つんだ。
◇
私達は訓練場の真ん中で向かいあう。
「まだまだ負ける気はないぞ」
グエンさんが不敵に笑いながら、話しかけてくる。
「私も勝ちたいんで、全力で行かせてもらうだけです」
お互い握手をして、距離をとる。
審判は隊長だ。ランキング上位戦は審判も強くないと務まらない。
広報部のシャルルは実況するようで、訓練場がよく見える、2階席のような場所にいた。
コメントも読みながら、多数のカメラを切り替えて配信するらしい。
しかも、私達の声もいつもの通信機で拾っているらしいのだ。気をつけないと。
______________
side:シャルル
「視聴者の皆様!こんにちは!
本日はなんと、生配信ですよ!皆さん心の準備はよろしいですか?
さぁ、間もなく始まります。ランキング2位決定戦!
実況は私、広報部のシャルル・テイラーがお送りさせていただきます。
〈わくわくしてきた〉
〈これは興味しかない〉
〈全力待機します〉
〈楽しみで仕方がなかったぞー〉
皆さんのコメントも私には見えるようになってますよ。解説は零番隊オペレーター七瀬・リリーナさん」
「はーい、よろしくねー!」
「そして、1番隊オペレーターマリー・フィッシャーさんです」
「はい、よろしくお願いします」
「マリーさんは硬いねー、もっとリラックスしてもいいんじゃないですか!?」
「あなたがリラックスし過ぎなんですよ」
「零番隊と1番隊は結構接点が多いんですか?」
「そうだね、代表会議とかね。何かと一緒になるかな。零番隊はあくまでも特殊だからね。正規の代表部隊は1番隊、それだけ私達は一緒にやることが多いよ」
「全部隊の代表的立ち位置が1番隊です。そして零番隊は最高戦力。良く会いますし、仲はいい方ですよ」
「おっと、話すぎてしまいました。ただ今、向かって左の扉から入場しましたのは、現ランキング2位、炎系統最強!グエン・クーパー1番隊隊長です!」
〈イケおじキター!〉
〈見た目で分かる強者感〉
〈炎なのに暑苦しくない顔、予想外です〉
「対する挑戦者、右手より入場してきました。
ランキング3位、氷姫の異名で知られる氷系統最強!皆さんご存知、アリス・ミスカ・マイルズ零番隊副隊長です!」
〈キタキター!〉
〈今日も可愛い〉
〈氷姫〜!!〉
〈頑張れー!〉
「向かいあい、試合開始前の挨拶をしたようですね。
本試合の勝者がランキング2位となります」
〈ランキング2位決定戦!これは熱い!〉
〈この上にランキング1位がいるのか〉
〈そりゃみんなの隊長だろ!?〉
〈隊長以外いないやろなー〉
「あら、シャルルちゃん、ランキングってみんな知らないものなの!?」
「えっ!?あっ!そうですね、まだしっかりとお伝えしていませんね!」
〈え?〉
〈ん、どゆこと?〉
「それではここでランキングをおさらいしておきましょう。BSFランキングは対バグズの殲滅能力を順位化したものです。適合者の中でも上位の実力を持っている、レベル7のみで争われるもので、ランキングに載っている時点で既に隊長クラスの実力者なのです。」
「正直、レベル7は本当にレベルが違う動きしてるね」
「適合者はレベル6が大多数で、ほとんどがレベル6です。あくまでレベル7は1割程度です。私も最近知ったのですが、ランキング11位以内の所でまた壁があるそうなんです!
確かに11位以内はアリスちゃん、アレン君両名が加わるまで長らくメンバーが変わっていません。そんな強者の中の強者なんですね」
〈ほえー〉
〈レベル7ってそんな凄かったんや〉
〈アリスちゃんもアレン君もエリートだ〉
〈零番隊すげー〉
「この、11名を敬意を込めて、【11の頂点】と呼びます!!」
「え!?そうなの?」
「っ!?そうだったんですか?」
「私が考えました。」
リリさんがズッコケ、マリーさんはポカーンとしている。
〈自分で考えたw〉
〈やりおるw〉
〈シャルルちゃん、可愛い〉
〈一晩考えたんかな〉
「結構、悩んだんですからね。でも、なかなか良くないですか?」
「ま、まぁ、【11の頂点】ね。確かにその通りだわ。いいね!それでいこう!」
「ありがとうございます!えっと、それでですね。ランキングなんですけど、現在は3位がアリスちゃん、2位がグエンさん、今回のランキング戦ですね。そして1位がレイモンド総長です!」
〈へー、そうなんだ〉
〈え?そうだったん?〉
〈ん?〉
〈1位って隊長じゃないの!?〉
「レイモンド総長はグエンさんとライバルで、切磋琢磨してきて1位と2位なんです!そして、娘のアリスちゃんがそこに食らいつこうとしている!
ドラマチックですね!」
〈いや、そうだけども!〉
〈レイモンド総長の娘がアリスちゃんだと!?〉
〈情報量が一気に多くなった〉
〈まてまて、隊長はどした??〉
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