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37.私の憧れ

side:シャルル


いやー、すんごい強い。

昨日の映像を編集しているところだけど、スローでも何とか残像のように映ってるだけ…

夜白隊長が強いのは知ってるんだけど、こんなに強いの!?

アリスちゃんがニヤついて話していた通りだった。好きだからこそ、フィルターがかかって話が盛られてると思ってたよ。

これはまた話題になるよ!




10歳の検査の日、私は絶望した…

私の家は父が適合者で、母が非適合者。4つ上の兄は適合者で、父と同じく土系統を得意としていた。

私も同じように、土系統を使うのだろうと、そう、思っていたところで、渡された適合検査結果は非適合。

当時はショックで何度も見返すが、結果が変わるはずもない。

父には怒られたのを覚えている。私が半ば放心したまま渡した適合検査の通知をみて、第一声は怒鳴られた。

今でこそ、その後、我に返った父に色々言われたが私の耳には入っていない。本心ではないのがわかっていたから。怒られたことは私に深くトゲとして残っている。

その後も父と母は優しく私に接してくれるが、父のは表面上、どう扱っていいのか分からない感じわかってしまい、子供心に父との距離が開いたことを自覚していた。

兄も直ぐに入隊して疎遠になった。そのまま、私はBSF訓練学校に通う。

適合者のいない、普通の学校だ。普通じゃないといえばそうなんだけど、専攻分野が機銃、オペレーション、研究と分かれているくらいで、能力持ちはいない。


私は同期の中でも、とびきり優秀だったアリスちゃんが適合者になったことを知り、嫉妬と羨望が入り交じった感情をしていたと思う。

私も適合者になりたかったのに…って。それでも戦闘に参加したくて機銃部隊を選んだ。だが、憧れてた戦闘は無惨なものだった。

私の初出撃はヨーロッパ大規模侵攻と呼ばれる4年前の戦闘だ。

私は当時、戦闘ヘリに乗っていた。初出撃はよく見える位置にとの配慮だったのだが、よく見えたその戦闘は軽く考えていた私には衝撃的なものだった。

私が適合者になったところで、あんなに風に動くことは出来なかっただろう。

ましてや、4つも上の適合者の兄ですら入隊したてのアリスちゃんに実力で負けていたのだ。

タイプ:δが恐ろしくてたまらない私は、適合者じゃなくて良かったと思ってしまった。あんなのに挑む気になれなかった。あんなの、みすみす殺されに行くだけだと思ったから…

それでも、あの状況で、戦闘ヘリを助け、立ち向かっていくアリスちゃんには尊敬の念でいっぱいだった。

命の恩人となったアリスちゃんはみるみる強くなっていき、ついには3位の存在となる。

とっくに嫉妬心など微塵もなかった。

既にアリスちゃんは憧れの人となっていたし、父への言い難い確執も私の中から取り除かれた。

「なぜ、あんな小娘に私が抜かれるのだ!?歴史深いテイラー家なのだぞ!」

私がやった訳じゃないのに、父の適合者としてのプライドを尽く蹴散らしてくれたアリスちゃんにまた救われた気がしていたのだ。

同級生の頃から朝から晩まで頑張っていたアリスちゃんが上に行くのは当然だと思うし、納得がいく。そのせいで遊び盛りの子供の頃は浮いた存在になってしまっていたが……

私はその後も蛇足で機銃部隊にいたが、心地がいいとはいえず、そんな折に、広報部設立募集の話がまいこんできた。

ここだと思った。

支部長にモーレツにアピールして、掴んだ広報部。とっても忙しいけど、充実した日々を送れている。

何より零番隊に近付けたのは、幸運だった。仲の良かった機銃部隊の面々はさぞかし羨ましいだろう。

機銃部隊やオペレーション室からすれば零番隊は憧れだ。

配信を行ってから聞く話によれば、アイドル化しているらしい。

配信としては成功と言えなくもないが、世間的にはまだ厳しい目も残っている。


今度は私がアリスちゃんの力になるんだ。


この動画はアリスちゃんも夜白隊長も話題になると思うなぁ。

アリスちゃんの素が出てるし、アレンくんはお馬鹿キャラがいいかもしれない。

アレンくんには悪いけど…

夜白隊長がオタクだったのは予想外だった。でも親近感が湧くだろうからそこを押していこう…

ふふっ、こうしてるけど、私もすっかりファンなんだよね。

1ファンとして、零番隊を推していきますよぉー!!

今日は夜白隊長とアレンくんの絡みが少なかったなぁ……残念……





____________



「あ!?隊長?どこに行くんです?」

18番隊との合同訓練の翌日、一応、1日オフの予定だ。バグズ出現の連絡あったら直ぐに行かなくてはいけないんだけど…

まぁ、自主訓練はするし、そんなに出かけることもないが。

もうすぐ10時、隊長にしては早い気がして気になった。

「あぁ、これから映画館に行くんだよ」

な!?映画!?

まさか!?誰かとデート??そんな素振りなかったのに!?

「え?え??どなたかと?」

「ん?1人だよ?落ち着いたから、見に行こうと思ってね!」

「あ、そうなんですね」

良かったー!!


ん?リリさんが隊長の後ろでなんか口パクしてる?

さ?そ?え?

ん?……は!!

「た、隊長!」

「どしたー?」

「わ、ワタシモイッショニイイデスカ?」

しまったー、緊張してカタコトになってしまった。

「ん?いいよ!一緒にいこか!」

「はい!」

「11時からだから10時半にー、…門のとこ集合でどうだ?」

「ッ!はい!そうしましょう」

やった!待ち合わせなんて初めてだ!

「じゃぁ、10時半に!」

「了解です」


隊長が宿舎に向かっていく。

「アリス!」

「リリさん!」

「よくやったぞー!!このこのぉー!急いで着替えるんだ!」

「はい!あっ!何を着ていきましょう?」

急過ぎて何も準備していなかった。

「…私もいくから、急いで宿舎いこう!」

「はい!お願いします!」

リリさんと一緒に私も急いで向かう。

あ、そういえばなんの映画見るんだろ?





「ん?今日はみんな終わりかー!?俺も今日は終わろっかな。」

ご覧いただきありがとうございます。

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