35.それぞれの訓練
side:栗谷
本格的に訓練が始まった。
「アレン君、よろしく頼むよ」
「よろしく頼むっす!」
「さっそくだが、最初に炎について教えて貰ってもいいかな?」
「おっす!えっと、俺説明下手くそだから、何とか覚えて欲しいっす!」
まぁ、それは薄々感じておりますよ。
親父のグエンさんから聞いたことあるしなぁ。
よく言えば素直、悪く言えばアホ……
でも、強いし、戦闘感は優れている。
「やってみるよ、でも、現状炎系統でできるのはこのくらいしか出来ないよ」
手の平の上に炎を生み出す。
ロウソク3本分くらいの炎が浮かんでいる。
「栗谷さんは風系統はすげぇのに、炎はレベル5もないんだな!」
ゔ、その通りなんだが、正直過ぎて心にくるな…
でも夜白隊長はこれを改善しろってことなんだろうなぁ。
「そう…なんだよなぁ…これまでも鍛錬はほとんど風だけだ」
「隊長が言うにはイメージらしいっす」
「あぁ、確かにイメージって話はずっとあるな、その中で自分のイメージと相性があり、伸び代も変わっている、と」
「そうらしいっす!血液のなんかとバグズのなんかが混ざって…えー、なんだっけな」
「バグズ固有のBB因子と人の血液が混ざることで、原子に干渉し特殊能力を実現する。なぜ可能かはよく分かっていない。
脳波が色々関係しているらしいが……」
「それっす!!
それはかなりイメージで結構保管されるらしいんすよ!」
「イメージは、分かるんだがな…してるはずなんだが…」
「俺が隊長に言われたのは、完成形をイメージしろと」
「そうなのか?元素の動きをイメージしてやるように教わらなかったか」
「そうっすけど、隊長からは上手くイメージ出来ないところは省いても大丈夫って言われてるっすねー。なんか、ほかん?されるからお前は完成形をイメージしろって!」
どうゆうことだ?元素の動きをイメージすることで、色んなことを可能にするのでは?
「……アレンはどんなイメージでやってるんだ?」
「えっと、炎を通す道のイメージをまずやってるっすね」
炎を通す道……炎の通り道?
……
酸素か!?
「もしかして、それは炎を使う前に炎の通り道を確定させてる感じなのか?」
「あ!!そうっす!そういえば隊長が炎系統は風系統と大きな差は無いって言ってた!!」
なるほど……
元素イメージは実際イメージしにくい。見えるもんじゃないし、理解してても形にはなりにくい。だったら、風系統の容量で酸素を集めてやる感じにすれば……
俺は右手を前に向けてイメージする。手から直線に5mくらい炎が燃えることができる酸素の道を…
「はぁぁあ!!」
ブォ!!
「おぉ!!」
10cm程度であるが、手から火炎放射のされた。さっきのロウソクを頑張って燃やした程度の炎から比べれば大分進歩したように思う。
「熱ッ!?」
「はっはっは!俺も何度か火傷してるッス!慣れないと自分への熱をカット出来ないっスからね」
なるほど……何となく分かった。
なかなか難しいが先が少し明るくなった気がする。
通りで私とアレン君を組ませたわけだ。
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side:佐藤
私の相手は、BSF最強の夜白隊長だ。
実際の戦闘は見た事がない…
OKTubeの公式アカウントから最近配信された、紹介動画で初めて見た。うちの隊長に聞いても、意味わからんくらい強いって説明しか出てこないからピンと来ていなかったが、動画見て私も思った。
意味わからんって。
栗谷隊長でもあのコンクリートブロックを風で持ち上げることは可能だろう…
でも、あんな気楽そうに、出来ないだろうし、あんな色んな属性は使えない。
上位ランクの隊長達までも、夜白隊長に1目置かれているのがその証拠だろう。
「さて、こっちも始めようか」
「はい!」
「佐藤の課題は能力の行使と同時に動くことがまだあまり出来ていないところだな」
「はい!」
「反応速度や動きは問題ないからな、それを高いレベルに引き上げて行くぞ!」
「はい!」
これは気合い入れて行くぞぉー!!
「と、言うわけで、模擬戦をしながら都度指摘していく。本気で攻撃してこいよ?準備はいいな?」
「はい!よろしくお願いします!」
「よし、打ち込んでこい!」
「はぁああ!!」
横に一閃し、躱される。
わかってたけど、余裕そうだ。
「はッ!!」
私は上段から刀を振り下ろしながら、木刀を水圧で加速させる。私にできる最速の振り下ろしで、能力と併用した動き。
私の最速だ。
しかし、夜白隊長は左にズレて躱される。
「そうそう!
でも、それだけだと後隙がデカくなってるぞ!それを躱されたら、水を逆噴射すれば返しが早くなる!」
私の手首が捻られ、刀を返されると水が噴射され、今度は下から上に刀を振るわされた。
私は水を噴射してない。そうされた、足運びから何から最適に動かされた。
風系統か何かで動かされた…
そんなことできるの?って気がするが、実際にやられている…
「そうやって連続で出せるようにしよう!」
「はい!!」
「よし、もっかい打ち込んでこい」
「ふぅ、はぁあ!」
集中して、また水流加速で刀を振るう。また簡単に躱されるが、水を停止、手首を返して、逆噴射して振り上げる…水流が上手く出来ず剣速はただ振った程度の物だった。
「うん、いいよ、そこから出力と自分の動きを合わせて、まずは2連続を安定させよう。2連続が出来れば、安定して連続使用できるはずだ」
「はいっ」
確かに、大変だけど、強くなれる気がする、
「はァァ!」
訓練だ。
……全く、夜白隊長に当たる気がしない。
定期的に無理やり体を動かされるこの指導は、果たして模擬戦なのだろうか?
_________
「さぁ、私達も始めましょうか!」
「はいっ、お願いします!」
私と佐々木健くんが木刀を持って向き合う。
私はレベル7、健くんはレベル5だ。模擬戦ということで、叩くことになるだろう。木刀と言っても、刃にはスポンジを巻いているからある程度は大丈夫なはずだが、ある程度加減しないと。
「特殊能力は使わないで、全力で来てください」
「はいっ!!いきます!!」
健くんが刀を右から真横に振るってきたため、木刀でガードし、すかさず右から彼の木刀を叩く。
健くんの木刀が吹き飛ばされる。
「1度で完結しない!手を緩めない!」
「は、はいッ!」
直ぐに刀を拾ってかかってくる。
弾いて、左肩付近を切ろうとすると、今度はちゃんと反応してきた。ガードされるが直ぐに引いて右足に攻撃を放つと、間に合わず木刀が右足のスネに当たる。
「いっ!!」
健くんは思わず屈む。このくらいの力加減なら痛いだけか…
「隊長から言われています。健くんはまだ戦闘経験が浅いから、沢山叩き込む。まずはそれだけで強くなるって!」
「そうなんですか!?強くなりたい!頑張ります!!」
「まぁ、私が戦闘経験を叩き込むので容赦はしませんよ」
「ッ!?」
引きつった顔をしている健くんにはボロボロになって貰いましょう。
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