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24.【タイプ:δ】

水鎧を纏ったオヤジを先頭に、タイプ:δ(デルタ)と対峙する。

オヤジの、喝で隊員は動きだしているが、奴は動く気配はまだない。


機銃部隊が既に大きく包囲している為、ホール及びδを中心に特殊戦闘部隊、機銃部隊で2重の円状に包囲網が完成した。


「サラ、機銃部隊ヘリよりバグズへ向け一斉攻撃!」

オヤジがそれほど大きくない声で話す。

「了解!ヘリ部隊一斉攻撃開始!」

オペレーターのサラさんから通達された機銃部隊が動き出す。

ブヴヴヴヴゥゥ!!!

私達の頭上で囲んでいる10機の戦闘ヘリから銃撃が始まった。

ものすごい音だ……

タイプ:αであったなら、身体中に穴があくほどの一斉射撃だ。

「やめ!」

徐々に煙がはれていく。

そこにδの姿はなかった。

私にはホールに逃げる所も、飛び上がって躱す所も確認出来なかった。チラッとオヤジを見る。

視線が空中を見ていた。

先程までいた位置から上空に奴がいた。


見えなかったことに、冷や汗をかく。

「レベル7のみ戦闘!、6は援護!前に出るな!」

オヤジの指示が変化する。

距離がある状態でこれだ。

私では…いや、

ラーズ先輩やミラー先輩でも近接戦闘は出来ないだろう。


奴の姿がブレる。

遅れて、戦闘ヘリが4機が空中で爆発する。残りのヘリもどんどん制御を失って、落ちてくる。

直ぐに爆発を抑えるため、機体に氷を張る。

4機は出来たが2機は間に合わず爆発する。

くそッ、反応しきれていない。


「アリス、大丈夫、上出来だ!

今は、私達が出来る援護をするんだ!」

ミラー先輩が剣の先をホールに向けている。

見るとホールからタイプ:αがまた出てきていた。

「はい!!」

まだ足でまといであることが、歯痒くてでも、理解出来るから、気合いだけは入れ直す。


オヤジ、ママ、メイさん、ローガンさん、トーマスさん5人にタイプ:δを託すしかないのだから……


______________


side:レイモンド



おいおい、なんじゃこいつ…

甲殻が尋常じゃなく硬い。

赫灼した甲殻が、他のバグズとは桁違いに硬い。

30年前の大規模進行時、レベル7でも10人がかりだ。当時よりもレベル7の基準が高くなっていることを基準にしても、5人はしんどいものじゃ。

ワシの水鎧で傷が全然つかん。

動きも速い。

腕が6本とか、捌くので精一杯で全然反撃できん。

メイとトーマスはようやっとついて来とる感じじゃ。

フォローを入れつつ、首を斬りつける。

簡単に腕で弾かれる。一応、首の作りは人間のように可動している。

明らかに人間よりも回転してくるが…

しかし、節は節だ。

恐らく斬れる…が、甲殻には弾かれてしまう。高周波ブレード(日本刀式)は切れ味が最も高い武装だ。それに能力で高圧水も纏わせているが、δの腕はそれでも打ち合いになる。


的確に節を切断するしかないが…


上段から振り下ろした刀を両腕で交差して防いでくる。

動きの止まった瞬間を狙ってδの右腕が胸を抉りに突き出される。水鎧で抵抗しつつ、右に体を捻って躱す。しかし、隊服が少し破ける。水鎧越しでもギリギリだ。もう1本の右腕が更に突き出されるが、刀を引いて弾きながら少し下がる。

同時にレミーが横なぎに刀を振るうが左腕で抑えられた。δがレミーに向けて蹴りを放とうとするのをメイが氷で地面に縫い付けて止める。

ワシとローガンで足を固定されたδに斬りかかるが、右腕3本に全て止められた。


氷が破壊され、改めて回し蹴りをしてきたので、全員一旦、距離を開ける。


「これがタイプ:δか…」

「強いのぉ、これほどとは…全員節を狙え、腕に止められてもじゃ。腕を切り落とすだけでも変わる」

「了解です」

「引き続き、メイとトーマスは距離を置きながら援護メインで戦闘だ。レミー、ローガン、やるぞ!!」

「「「了解!」」」


再び3人同時に切りかかる。

腕によって阻まれるが、δの足元が瞬時に凍り、奴はバランスを崩す。体勢を崩したδに追加で刀を振り下ろすが、地面に腕を突き刺して、体勢を変え、そのまま蹴りを放ってくる。トーマスの能力により、δが腕を突き刺した地面を軟化させてやつの姿勢を更にくずす。

ローガンの能力により帯電した剣を振るうが腕で受止められた。しかし、体勢は崩している。飛ぶため羽を広げようとした部分をレミーが刀を入れる。δの上にワシとレミーが跳んで、羽に弾かれながらも飛び立つのを抑えていた。

飛び立たれるとやったかいだ。奴の体勢を崩している今、押し込む。


ほんの少しだが長く感じた拮抗は直ぐに終わる。

「ギシャーッ」

δのアリのような顎の間、口から何か液体状のものを吐き出してきた。咄嗟に躱すが、レミーの左腕に付着する。


「レミーッ!!」

「だい、じょうぶ…」

レミーは直ぐに腕を新たな水で洗い流すが、左腕は肘から隊服が溶け、腕の肉が荒れ、爛れ、融解しているようだ。

レミーは水の手甲を作ってその噴出による高機動戦が得意だ。水手甲に混じって直ぐ洗ったのに防ぎきれないほどの強酸性なのだろう。

「トーマス!!」

ッ!?

振り向くとトーマスの肩から胸にかけて溶けており、骨やその奥も見える程になっていた。

不味い!!


こちらが完全に崩された。

クソッ!あんなのは初めてだ!トーマスがやられ、レミーも左腕をやられた…

「ぐっ」

そう思った瞬間背後から衝撃を受け、吹き飛ばされる。

地面に陥没した穴を開けるほどの衝撃で叩きつけられ、血が喉の奥から上がってきて吐き出される。


急いで振り向くと、δがメイに左腕を伸ばしていた。

気持ちを切り替えろ!今は奴を!

メイは氷を張ってガードしたが、直ぐに割られて、右脇腹をδの腕に貫かれる。

「ぬぅヴヴ!」

力を振り絞り、刀をδの首に振り下ろす。

δには反応されたが、腕のガードは1本だった。

「やってください!!」

メイが必死に氷を生成し続け、δの腕を5本も固着させている。

「はぁあああ!!」

残り1本の腕を弾き、首を狙うも止められた。警戒されている。

「ぬあああ!」

首を再び狙う振りをして、固定された腕を節から5本全て切り落とす。

「ギギシギシ」

δがこちらを睨みつけながら、距離をとる。

腕が1本になったが、こちらも負傷している。

正念場だ…



_____________

side:???


「もうすぐ目的地上空です」

「了解です、具体的な距離を教えてください」

「約10kmになります!」

「分かりました、5kmになったらハッチを開けてください、飛び降ります」

「えッ!?高さ3万フィートありますよ?」

現在はほぼ一般的な航空旅客機と同じ高さを飛んでいる。

「なるべく速度も落とさないようにお願いします」

「え!?マッハ2出てるんですけど!?」

「問題ありません、タイプ:δがいると聞いています。急ぎたいので!」

「わ、分かりました」


ご覧いただきありがとうございます。

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