22.大規模進行
「ラスベガス支部より連絡!バグズ殲滅完了とのことです!」
無事殲滅したようだ。念の為の出動だったが問題ないに越したことはない。
「お、順調だったな、じゃぁ、引き返すか!」
「おっけ、あ!?追加連絡…
「こっち向かってるなら、そのままこっちに顔出せよ!飲むぞ!」とのことです」
「ウィルソンさんだな。
…もう、半分超えてるしなぁー、いいですよ!って伝えてくれ」
「わかりました!」
この【零番隊専用超高速輸送機:サンダブリッツ】はマッハ2を超えて安定飛行出来る。詳しくはよく分からないけど、かなりの予算が掛けられた代物らしい。
片道1時間あれば日本とアメリカを移動できる。零番隊はこのサンダブリッツを使用することで、本部のある日本から世界中に移動して遊撃を行えるのだ。
警報から30分と少し、既に経路の半分を超えていた。
「隊長ー!じゃあ、今日はラスベガスに泊まりっすね?」
「そうだな!向こうから誘ったんだ、奢って貰おう」
「はーい!私、ステーキが食べたいでーす!」
「あ、私もステーキがいいです!」
「よーし!ウィルソンさんには高いとこ連れてって貰わないとな!」
やった!今夜はステーキだ!なんかお腹空いてきたなぁ。
ビー!ビー!ビー!ビー!
「え!?」
「日本、愛知県!バグズ複数出撃!本部より18、68番隊出撃!」
「Uターンだ!急ぎ向かうぞ!」
「「了解」」
「こんな連続で現れるなんて…」
「やはり頻度がこれまでの比じゃないな…
バグズの総数は未判定か…」
____________
side:栗谷
最近、出現頻度が多くなっている。
先日の東北出現頻度上昇のため、零番隊が警戒していたところで、大量進行があった。
零番隊がいなければ大変な被害になっていたことだろう。
レベル7になって5年、ランキングは16位にまで上がった。だが正直な話、この辺りのランキングはあまり大きな実力に差はないと思う。年々特戦隊全体の力のレベルが上がったと思う。
常に上を目指さなければこされてしまう。だが、ランキング11以内は同じレベル7なのが疑問に思うくらい違う。
零番隊が入ってくるまで、上位は同じメンバーで争っていた。そこにはもう1つの壁があるとレベル7の間じゃ話題だ。
当初はメキメキ実力を伸ばすアリスやアレンに嫉妬が大きかったが、上位勢に加わったことで純粋に凄いって気持ちが大きくなった。
完全に嫉妬が消えないのは俺の向上心がまだあるからだろう。
42歳になるが上位勢にはまだまだ年上がいる。適合者であれば遅くはない。
今回の出撃だって評価に繋がると思えば気合いも入る。
ましてや、オペレータードローンでの撮影は動画投稿も有り得るらしい。
「栗谷隊長、目標もう間もなくです」
オペレーターである、長瀬だ。
「了解した、全員降下準備」
「「「「「了解!」」」」」
今日は68番隊と我々18番隊の合同出撃だ。
大隊長は俺。基本的によりランキング上位が指揮を取る。
68番隊隊長の柳はまだレベル6、必然的に俺になる。
「緊急!タイプ:βを確認!大規模進行です!」
「先日の2体のやつが先遣隊だったか?」
大規模進行の前は複数回タイプ:α2~4体くらいの進行が連発すると予想されていた。前回の桜花高校大規模進行はこれで予想出来ていた。
「先程数15となりました。ホールはまだ塞がっていない模様です。タイプ:γ1体、確認しています。」
ホールはタイプ:βが掘ってくる進行トンネルだ。タイプ:γより上位個体は掘削能力が退化した代わりに戦闘能力が高い。
「俺がγから倒す、柳はβ優先後に各員の援護をしてくれ。ホールに警戒しろよ!」
「「「了解!」」」
高速ヘリを低空飛行させ飛び降りる。新兵のいないこのメンバーなら全員レベル5以上だ。20m以内なら問題ない。
場所は山間部だが、民家まであまり遠くない。ここで抑えなくては。
「バグズが隊長達に向かって進み始めました!」
バグズもヘリに気付いたのだろう、向こうもこちらに向かってきたようだ。
「γを視認、先行する」
γはまだ高く飛んでいない。走りながら風を操り加速する。
踏み込んだ右足に力を込め、γに向け跳躍する。風を使って再度加速する。γが自分に来ることを認識したようだ、4つの腕を広げて威嚇している。
「ギシギシギシギシ」
加速はそのまま一瞬で距離は近付きブレードを上段から振るう。こいつの腕を風で左右に無理やり開かせる。抵抗されるが、こいつは反応が遅れたことで肩口から左胸半ばまでかなりの傷を追わせた。タイプ:α共は飛び越えたが、手傷を負わせたγがこちらを見ている。αは柳達に任せばいい。
「それでいい」
再度、地面に降り立つと、両足で踏み込んでγを切りに行く。
今度は左から横なぎに振るうが、残りの2本の腕に阻まれて弾かれる。
俺は自分が自然落下するのに合わせて、こいつの頭上から風を下向きに発生させる。
「はぁあ!!」
ヤツは予想していなかったのか、羽のコントロールを失って俺に続いて降りてくる。先に地面に着いた俺は、ブレードを下から上に渾身の力を込めて振り抜く。今度はバグズの、頭をしっかりと切断した。
「まずはγの討伐を完了」
「流石、隊長、了解です」
振り返ると残りのメンバーとバグズの戦闘が始まっまった所だった。
「援護に向かう」
すぐに仲間の方へ駆け出そうとしたとき、背後からすごいプレッシャーを感じた。
「ッ!?」
ちょうどホールから新しくバグズが出てきたところだった。
人型で2mくらい、6本の腕に2足歩行、タイプ:γより少し赤っぽい甲殻をしている。目は蜘蛛のように8つあり、それでいて全てこっちを見ているかのように感じた。
特徴は全て一致している。
間違いなく、タイプ:δ、あまりいいことでは無いが、レベル7でも死亡例を持つため、隊員からは別名"死神"と呼ばれる種だ。
俺も実際には初めて見るそいつから、これまで感じたことの無い程の圧力を感じていた。
…絶対に間違いない。
奴から殺気をヒシヒシと感じる。
これはヤバいな…
「ッ!?」
奴の腕をブレードで弾く。1本防いでもまだ5本の腕がどんどん俺に向けられてくる。
「ギギシ」
躱す、ブレードで弾く、能力を使って弾く。全部を絶え間なく行わなければすぐに死ぬ。
えげつないない攻撃が次々にくる。
防御に徹しているが全部捌ききれていないせいで、傷が増えていく。
自傷覚悟でこいつとの間で空気を圧縮、一気に解放する。
俺も吹き飛ばされるが、一旦、距離は置けたようだ。
「ギシギシギシャァァァ!!」
「ふぅー」
強い…
なるほど…こりゃ、ヤバい…
レベル7でようやっと抵抗できるくらいか!?絶対にアイツらの方には行かせられないな…
「隊長、増援まもなくです!持ちこたえてください!」
「ふぃー、了解だ。
直前のアメリカ進行と立て続けだったはずだが、流石に早いな」
だが……こいつと斬り合うの1分でも嫌だわ。
増援待ちで防御一辺倒の遅延戦闘だから耐えてるだけ。それでも無傷とは言い難い…
早くきてくれーーー!!
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