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炎の大魔導師と酒場 -8-

「きみは、まだ子供だから競馬には興味がないのだろうね。だとしても、それできみが酒場にいる理由にもならないがねーー。そうか、わかったぞ! ご両親といっしょにここに来たのだね。それで、朝になると、ご両親だけで競馬場に行ってしまわれたのだな。だからきみは今、ひとりで店を出て行こうとしていた。そうだな? そういうことなのだな?」


 そこは自分の読みにいっさいの曇りはないと言った様子で、フレデリックは有無を言わさぬ勢いで畳みかけてきました。


 わたしとしてもいちいち説明するのが面倒なので、


「ええ、そうなんです」


 と、しおらしく返事をしておきました。


「やはりそうなのだね、きみのようなうら若き乙女を置いて行ってしまうのは問題かもしれないが、そこは競馬なのだから仕方ない。多めに見てやってくれたまえ。なに、きみも大人になったらわかるさ。競馬に取り憑かれてしまう理由がね」


「……」


 競馬に取り憑かれてしまう理由。


 当然のことながら大人のわたしは、その理由を重々理解しています。


 であるからこそ、いっこくも早く競馬場に向かいたいのはやまやまですが、偶然にもこのようなところで、どうしたわけか大人の姿に戻っているフレデリックに再会したのです。


 高市宮記念はおおいに気になるところですが、このままさらりとなにごともなかったかのようにこの場をあとにするわけにはいきません。


 いったい、ピルピルのレシピなくして、どのような方法をもって元の姿にもどったというのでしょう。


 それとも、ピルピルのレシピをどこよりか獲得して、元に戻る魔法を導き出したとでもいうのでしょうか。


 ・・・・・・この男、単なるはた迷惑な自称氷の大魔導師だと思っていましたが、その正体とはいったいーーーー。


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