表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
81/110

炎の大魔導師、風邪をひく -8-

「正直な感想、ありがとうございます。あの鳥もみじからのみ染み出した、こっくりとしたスープ。愚直でありながら、手間隙のかかった、あの味をわかってもらえたのですね」


「あれはハマるやつペン」


 といいながら、トビーは神妙な顔でうなずきました。


「でも、おれは知ってるペン。あの油ギトスープは、おばはんが特別なときに、わざわざ時間かけて煮出しているスープペン」


「よく、知っていますね」


 普段はどちらかというと質素な食事を好みます。


 あまり、油っこいものが食べたいとか、高価な食材が食べたいとか、そういう欲はありません。


 甘いものは好きですが、それは食後に少量あれば十分ですし、なければなくても、涙を飲んで我慢できます。


「おばはんは油物を摂取すると、元気になるっていうか、ハイになるっていうか、そのときだけは体格も見違えるくらいのサイズになって、人が変わっちゃうペンからね」


 ラーメンスープを飲んだくらいで、見違えるくらいのデブになるのなら、それこそ体調は悪化しています。ラーメンスープを飲む前と後で、いちいち体重計に乗ったり、鏡に姿を映したりはしませんが、ひどい言いがかりです。


 が、ひとまず置いておきましょう。


「それで、わたしがラーメンスープを煮出しているのは、それを飲んで体調を整えるためだとトビーはわかっていたのに、すべて舐め尽くし平らげてしまった、というわけですね」


「(体調を整える……? あれが……? おかしなハイおばはんにはなってるけど) そこはよくわからないけど、おばはんがなにか壁に行き詰っていて、それを打破するためにラーメンスープが必要なことくらい、それなりに長く一緒にいたらわかるペンよ」


 まあ、そうですね。どうにも熱っぽく、風邪の引き始めのようだったので、それらの不調を打破するために、確かにラーメンスープを煮出していました。


 当然のことながら、スープができれば、それを素にラーメンを作ります。鳥のもみじのみを煮出したこってりスープは、一度食べたら二度と忘れられない味です。その汁を飛ばしながら麺をすする喜びといったら。それに勝る幸福は他に思いつきません。心酔の域に達するほどです。一日余裕で五十杯いけますし、腹が満たされれば、おのずと体調も整っていきます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ