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炎の大魔導師とわきたつ競馬場 -19-

「フガフガッ! プハッ! そなたというやつは、いくらファンファーレに集中したいからといって、わしの口をふさぐやつがあるか! ーーう、ん? アツ……?」


 危ないところでした。つい心の赴くままに、小うるさいカノープス様にむかってファイアーを放つところでした。放つ寸前、掌の中で炎を鎮火させたのはここだけの話です。


 さすがにカノープス様ほどの権力者を焼いてしまえば、かつては宮廷に属する炎の大魔導師として活躍していたわたしも、いまや賢いヒロイン枠の一般人にすぎないゆえ、人知れず闇に葬り去られてしまうかもしれません。


「カノープス様、いよいよゲートが開きます」


「う、うむ。レースが終わったらそなたから倅についての話を聞か……あ、アツい……! アツい!」


 ガシャコン!


"スタートしました!

 ×××好スタート! 内から×××も先行。 ×××押して前へ。

 そして外から×××。 各馬激しい先行争いです!"


 1200mG1など、一瞬で、息をしているあいだに終わります。


 左回りコース、下り坂のコーナーを2回回ったら、あとは長い直線の上がりスピード勝負です。


「あ、アツい! アツいぞ!」


 2コーナー目の4角を回ったら長い直線で、末脚勝負に目が向きますが、追い込み一気で勝てるほどG1は甘くありません。勝ち鞍を上げるには、中段馬混みでじっくり脚を溜め余力を残しながら残り300mまでに追い出しのポジションを確保し、ラスト200mで一気に加速し後続を突き放さなければいけません。


 やはり短距離G1を勝ち切るには上がり32秒台の脚が不可欠です。時速は66km台にもなり、そのスピードの馬にヘルメットひとつで跨るジョッキーたちの度胸と技術には、今さらながらただ敬服するばかりです。


"×××先頭! 作戦に一切の迷いなし!×××並びかける! 内で×××も食らいつく!

 ×××先頭! ×××苦しくなったか! その外から×××!!

 来た!! ×××一気に差を詰める!!

 さらに外から×××! ×××も追い込んでくる!!

 ×××並んだ!! 並んだ!! かわしたーーー!!

 突き抜けるサルノレーヴ!! 外から×××!

 しかし前はサルノレーヴ!!

 前年王者強いーーー!後ろを突き放す!

 サルノレーヴ先頭!! サルノレーヴ連覇達成ーー!!!"


「うる……うるうるうる、ぐずっ」


 サルノレーヴ、高市宮記念連覇達成です。強い馬が強い競馬をしてG1を勝ちました。


 無事に実力を発揮して結果を残しました。


 下克上ももちろん感動を呼びますが、王者が王者として競馬界に君臨する。


 このような王道物語にもまた、競馬ファンとして盛大なる拍手を送りたい、そんな心持ちです。


「き、貴様だな! さっきからこっそりわしを焼いておるのは! ハンカチで涙を拭っとらんで、はようその火の玉をしまわんか!」






 ※作中の実況中継は実際の競馬を参考にAiを活用していることをここにご報告いたします


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