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炎の大魔導師とわきたつ競馬場 -16-
「策を打ちます」
「ちょ、ちょっと、何をするのだね!?」
問答無用です。フレデリックのジャケットから馬主バッジを外し、わたしの襟元につけます。
これで右襟が馬主バッジ。左襟がフレデリックからもらい受けたリバティンのバッジとなります。
「そういうことなら、わたしだけで馬主席に向かいます。高市宮記念まで時間がないので急ぎます」
このような最悪のタイミングで親子喧嘩に巻き込まれるわけにはいきません。
宙京競馬場はパドックから馬主席まで一直線に向かえるルートがあることは空き時間に予習済みです。
馬主バッジさえあれば、フレデリックの有無は問いません。
「くっ、わかったよ。いたし方ない、わたしも一緒に行こう! ミリアだけを馬主席に入れるわけには行かないからね。馬主バッジを他人に貸与したとして、もしばれたらいったいどんなペナルティが待っているか……って、む? ミ、ミリア? ま、 まっ――!?」
遠ざかるフレデリックがなんと言っているかは問題ではありません。わたしの視界には、馬主席という特別な観戦席に続くルートだけが黄金色に輝いています。




