炎の大魔導師とわきたつ競馬場 -13-
「む、そういえば児童化から戻れた話をしようとしたら、聞く耳を持たず、すぐ競馬の話に持って行こうとしたのはミリアだったではないか」
「優先事項が高いほうに気持ちが傾くのは当然のことです」
「ーーミリアのいうこともわかるよ。しかしだね、そもそもわたしたちがこれまで行動を共にしてきたのは、わたしがきみの魔道のせいで児童化してしまったことが原因なのだよ。それがこうして元の姿に戻れているわけなのだから、いくら競馬があるからといっても、もう少しわたしのことに気を配ってもらってもいいーーーギャアアアッ!」
「邪魔です。馬が見えません」
ゴーフォーザサミットに先導されて、目の前を高市宮記念を走る馬たちが常歩で周回してきました。
今や競馬会のスプリント路線は、シャパン競馬の将来を担っているといっても過言ではありません。強い結果を出した牡馬は種牡馬になる道が示されることが多いですが、現代競馬の主流はスタミナでもパワーでもメンタル面でもなく、スピードです。スピードがあることがよい馬を作る第一条件でもあり、大いなる土台でもあります。スタミナもパワーもメンタル面も、ある程度は調整や成長、相手との力関係を見ながらバランスを補いやすいところではありますが、ことスピードにかんしては圧倒的に持って生まれた能力がものをいいます。
スピードは競馬の核です。
スタートしてから最初の位置取り。
長い距離を走ったのちの、最後直線だけのスピード勝負。
どんな距離のレースだろうと、たとえ中長距離だろうと、ダートだろうと、勝負ごとにスピードは欠かせません。
たとえどれだけスピード以外の能力がすぐれていたとしても、まずスピードがないことには、勝負どころで劣ってしまい、特に強いところ、G1では、そうそう勝つことはできないのが現状です。
スピード以外の能力は、スピードがまずあってこそ活きる利点だと、少なくともわたしは考察しています。
そのスピードがもっとも重要視されるレースこそ、短距離路線であり、短距離レースの最高峰のひとつが、1200mG1高市宮記念というわけです。
もっともレベルの高い路線は、中距離かもしれませんが、いまやスプリント力は競馬界を支えていくための最重要能力であり、ほぼスプリント力のみで争う短距離G1は、改めて注目されるレースであり、スプリンターから輩出された種牡馬の血統もまた、シャパン競馬を支えていく重要な位置をしめていることはいうまでもありません。
「ブ、ブブブブブリザード……ミ、ミリア、わずかにきみの視界をさえぎってしまったかもしれないが、だからといってわたしを焼くのはやめないか」
※個人の見解です




