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機械仕掛けの眠り姫  作者: ローラ
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5/10

第五場 Strap

藤野瑠衣・・・大学一年。事故で体を失い、サイボーグに。

飯村ナオト・・大学二年。瑠衣が思いを寄せる人物だが、イケメンというわけではない。

豊田エミカ・・大学一年。瑠衣の親友で面倒見がいい。かわいい系。

神田智・・・・大学二年。ナオトのよき友人。イケメン。実はサイボーグで、松戸の助手。

松戸才蔵・・・研究所の所長。

藤野夫妻・・・文字通り瑠衣の両親。

山中昌子・・・松戸お気に入りの助手。美少女。


余談:舞台装置は二階建てを想定しています。


瑠衣の下宿。スマホからプラナリアのストラップを外して捨てようとする瑠衣。なぜか捨てられず、首をかしげる

エミカ上イリ。SE:ドアチャイム


瑠衣  はーい……(ドアを開ける)

エミカ や、瑠衣。

瑠衣  いらっしゃい。遅かったね

エミカ うん、ちょっとね。

瑠衣  あがってあがって。コーヒーと紅茶、どっちがいい?

エミカ んー、コーヒーで!(ストラップに目をとめて)あれ?それ、はずすの?

瑠衣  あ……うん、まあ。

エミカ どうして?もしかして、前にダサいって言われたの気にしてる?

瑠衣  そういうわけじゃなくて……別に、つけてなくてもいいんじゃないかって思って。

エミカ え、でも、飯村先輩がくれたやつでしょ?大切なやつじゃ……

瑠衣  コーヒーがいいんだったよね?

エミカ あ……うん……

瑠衣  わかった。すぐ、淹れるね。


コーヒーを淹れる瑠衣。


瑠衣  (マグを手渡しながら)はい、どうぞ。

エミカ ありがと。(一口すすって)はー、やっぱり藤野家のコーヒーは一味違うなー。

瑠衣  へへ、そうかな。

エミカ なんか隠し味入ってるんでしょ?教えて~

瑠衣  ダメ。教えたら、飲みに来てくれないでしょ?

エミカ 瑠衣ったら!そういうのは飯村先輩に言うもんだよ。

瑠衣  ……そんなもんかな。

エミカ そんで?話って、何?

瑠衣  あ、そうだ。神田先輩のことなんだけど。

エミカ ……神田、先輩……

瑠衣  うん。エミカの愛しの、神田先輩。

エミカ っ……あの人が、どうかした?

瑠衣  先輩ね、松戸さんの研究所の人なんじゃないかって。

エミカ へ?

瑠衣  昨日検査に行ったときね、神田先輩そっくりの人がいたの。ゴーグルしてたからはっきりとは言えないんだけど、たぶんそうだと思う。神田先輩、サイボーグの助手の一人だったんだよ!

エミカ ……そう、だったの?

瑠衣  うん。考えてみたらあの人、前に大学の実験中に大やけどしたって噂だったから、きっとその時に……エミカ?

エミカ ……ううっ……ぐすっ……

瑠衣  え!?どうしたの、エミカ!

エミカ わ、わたし……さっき先輩と、喧嘩してきて……

瑠衣  喧嘩?

エミカ うん……先輩ね、私に会うたび、瑠衣のこと聞いてきて……むかついたから、瑠衣のほうが好きなんでしょって言ったら……そしたら、先輩が、こうするのは俺の義務なんだって……そのまま別れてきちゃって……そういうこと、だったんだ……

瑠衣  そういうことって?

エミカ だからぁ、先輩は、所長さんの命令で、瑠衣を観察してて……私は、瑠衣のこと探るための道具だったってことだよぉーっ!(激しくなく)

瑠衣  エミカ……お、落ち着いてよ。

エミカ 落ち着いていられる!?自分の好きな人に、利用されてたんだよ!?しかも他人のために!

瑠衣  (無感動に)別にデメリットはないでしょう。

エミカ え……?

瑠衣  相手の目的はなんであれ、好きな人の役に立っているというのはいいことだと思う。それに、浮気の疑いも晴れたわけだし……

エミカ 瑠衣……そんなポジティブだったっけ?

瑠衣  (感情を取り戻して)え?

エミカ いや、いつもの瑠衣なら、先輩ひどいーって……怒って、飛び出してるとこだよ。

瑠衣  怒って……

エミカ ……まあいいや。確かにそうとも考えられ……

瑠衣  エミカ。

エミカ 何?

瑠衣  “怒って”って、何?

エミカ ……は?

瑠衣  “怒って”って、状態をあらわしてるんだよね。“怒って”いるって、どんなの?

エミカ 瑠衣、どうしちゃったの?

瑠衣  え、だって、知らない言葉が出てきたら、確かめたくなるじゃん。

エミカ 知らない!?瑠衣、怒ったことないの!?そんなわけないよね、私瑠衣が怒ったとこ何回も見てるし!

瑠衣  “怒った”ことあるの、私!?ねえ、いつ?どんな瞬間?

エミカ 瑠衣……ほんと、どうしちゃったの?気持ち悪い……

瑠衣  エミカ……?

エミカ ……私、もう帰るよ。お邪魔しましたっ!

瑠衣  え、ちょっと待ってエミカ、エミカってば!


エミカ、逃げるように上ハケ。


瑠衣  ……結局、何だったんだろう……


瑠衣、ストラップを手に取る。


瑠衣  ……これも、捨てられないし……もしかして。



小さい頃、アゲハチョウの幼虫のヘアピンがほしかったです。

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