第三場 Crush
藤野瑠衣・・・大学一年。事故で体を失い、サイボーグに。
飯村ナオト・・大学二年。瑠衣が思いを寄せる人物だが、イケメンというわけではない。
豊田エミカ・・大学一年。瑠衣の親友で面倒見がいい。かわいい系。
神田智・・・・大学二年。ナオトのよき友人。イケメン。実はサイボーグで、松戸の助手。
松戸才蔵・・・研究所の所長。
藤野夫妻・・・文字通り瑠衣の両親。
山中昌子・・・松戸お気に入りの助手。美少女。
余談:舞台装置は二階建てを想定しています。
大学。エミカが上イリ。後ろから瑠衣が駆け寄る。
瑠衣 だーれだっ!
エミカ うわっ!?
瑠衣 エミカ、おはよう!
エミカ る……瑠衣!?生きてたの!?
瑠衣 うん、そうだよ。
エミカ え、でも……瑠衣、死んだって……
瑠衣 そうそう。それでそのあと、あたし生き返ったの。
エミカ 生き……かえった?
瑠衣 うん。
エミカ ゾンビ!?
瑠衣 違うよ
エミカ え、じゃあ幽霊?
瑠衣 違うッたら
エミカ じゃあ何?
瑠衣 ふふーん、聞いて驚け見て笑え!
エミカ たぶん笑えない……
瑠衣 あたしね、サイボーグになったの!(デデン!みたいなポーズ)
エミカ ……やっぱり笑えない!頭、大丈夫?
瑠衣 大丈夫だよぉ。研究所の所長さんがね、私をサイボーグにして生き返らせてくれたの。
エミカ そんなことできるの!?
瑠衣 うん。所長さん、この研究で不慮の事故で死んだ若者を救うんだって。かっこいいよね!生き返って、この研究に興味持った人もたくさんいるらしいよ。
エミカ ……その所長さんって、どんな人?
瑠衣 松戸さんっていうの。
エミカ MAD!?こわそっ!
瑠衣 まーつーど。ちょっと変わってたけど、いい人そうだったよ。お父さんもお母さんも頼りにしてたから、うん、いい人だよ!
エミカ へえー……
瑠衣 あ、それよりもさ、あたしが休んでたぶんのノートとか見せてよ~お願いっ
エミカ ……うん、いいよ!
瑠衣 やったー!ありがとエミカ様!
エミカ ……あれ。
ナオト、智、下奥入り。意味ありげに瑠衣を小突くエミカ。
ナオト ……!瑠衣!?
智 ……
瑠衣 おっ……おはようございます!
ナオト (駆け寄って)事故に遭ったんじゃなかったのか!?
瑠衣 それは……えっと……
エミカ かくかくしかじかで。
ナオト それじゃわかんないよ!……え、なに、もしかして……俺、霊感あったの!?
瑠衣 あのっ……そうじゃないんです!あの、実は私……サイボーグになって……
ナオト ……サイボーグ?
瑠衣 はい。事故で、体がダメになっちゃったから……研究者の人に、機械の体をもらって……それで……
ナオト ええと……話がふわふわしすぎなんだけど。
智 松戸才蔵の、若者復活プロジェクトのことだろ。口コミで有名な、あれ。
ナオト あ、聞いたことあるかも。少子化に歯止めをかけるとか、なんとか。
瑠衣 そ、そうです!若者の死亡率を減らすんだって。
エミカ 脂肪率……メタボ?
瑠衣 お前もかいっ
ナオト あはは。まあ、元気になったみたいでよかったよ。大怪我したって聞いて、心配してたから。
瑠衣 せ、先輩……
BGM:こ~い~しちゃったんだ、たぶん気づいてな~いでしょ~♪
瑠衣 す、ストップストップストーップ!誰、今曲流したの!
エミカ (スマホを隠しながら)え~、音響さんじゃない?
瑠衣 そういう問題じゃない!ってゆーか、絶対あんたでしょ!
エミカ だって、いい雰囲気だったし。
ナオト え、そ、そうだったの?
瑠衣 そんなんじゃないっ!
智 ふふっ。
エミカ へ?
ナオト お?
瑠衣 ん?
智 あれ……変だな。
瑠衣 何がですか?
智 ……いや、何でもない。ナオト、そろそろ行こう。
ナオト ああ。それじゃ、俺こっちだから。
瑠衣 あ、はい!お疲れさまです!
ナオト、智、上ハケ。
エミカ よかったね、話せて。
瑠衣 うん!
エミカ ところでさー、隣にいたの誰だっけ?
瑠衣 ああ、神田智先輩だったかな。飯村先輩と同じ学部で、お友達らしいよ。
エミカ へー……結構いいじゃん、あの人。
瑠衣 出たー、イケメンハンターエミカ!
エミカ 愚か者!美しいものに惹かれるのは人の性だ!
瑠衣 そういうと立派だけどさ……最近じゃあ、女の子をとっかえひっかえって話だよ。
エミカ えー?そんな人には見えなかったけどなあ。しかもクールだし、笑顔も素敵だったし、すっごいタイプだったわ~……ああー!
瑠衣 何事!?
エミカ L●NEのIDきくの忘れたあ……
瑠衣 ……聞いといてあげるから。
エミカ サンキュー、心の友よ☆
瑠衣 抜け目ないなあ。
智、上イリ
智 おい。
エミカ あっ!
智 (メモをエミカに差し出して)これ、よかったら。
エミカ え……
智 俺の連絡先だ。
瑠衣 えーっ!なにこの急展開!
智 迷惑なら、いいけど。(メモをポケットに戻しかける)
エミカ ! 待って!(思わず腕をつかむ)
智 ……
エミカ あっ……ごめんなさい、つい……
智 ……いや、別に。(メモを握らせて)じゃあ。
智、上ハケ。
エミカ はぁ~ん、素敵っ!
瑠衣 エミカ……もはや見事だね。
エミカ えー、だってあんなの反則じゃん!またやってほしい……っ
瑠衣 まあ、顔はいいけど……(ふと考え込む)
エミカ どうかしたの?
瑠衣 ……ううん、別に。ただ……あんな感じの人、どっかで見たような気がしてさ。
エミカ あはは、大学いたら会うこともあるでしょ?当たり前じゃん。
瑠衣 ううん、ここじゃなくって……
SE:チャイム
エミカ わ、やっば!いこ、瑠衣!(瑠衣の手を引く)
瑠衣 え、あ、ちょっと!
エミカ、瑠衣、下ハケ。
大学の試験がこんなに大変なんて聞いてないぞ。




