~第七話~
(ひと月前は反応することすら出来なかった、ジェムシリカ殿の全力。太刀筋は辛うじて見える。けれど、速い! かわすのが精一杯だ!)
ジェムシリカの剣は神速。
剣自体はかわせても剣圧によって生じる“鎌鼬”まで全てかわす事は出来ない。
セラフィナイトの服は裂け、皮膚にもあちこちに擦過傷が出来ていた。
「流石はジェムシリカ殿! やはり四天王最強はジェムシリカ殿ですな」
「何という試合だ! 練習試合でここまで……」
「クリソコラ殿は何故、止められない? このままではセラフィナイト殿が……」
見物人たちのざわめきが次第に大きくなる。
この勝負の真相を知らない者たちにとっては確かにそうだろう。
ただの練習試合であれば、ここまでやる必要性はない!
しかし、二人にとってこれは紛れもなく真剣勝負なのだ。
(邪魔をしないでくれ! これ以上二人の邪魔を……っ!!)
そうクロサイトが思った瞬間!
「静かにしろ! 二人の決着はまだついてない!!」
「シェルタイト様……」
そのシェルの一言で辺りは水を打ったような静けさになった。
正に“鶴の一声”だった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
(分かっている。ジェムシリカ殿の力はひと月やそこ等で追いつけるものじゃない。剣の技術はまだまだジェムシリカ殿が上だ。我が身を庇っていて、勝つ事など出来る訳がない。私に勝つ術があるとすれば……唯一つ! 玉砕覚悟の捨て身の一撃!!)
『セラフィナイト! 俺の側近筆頭の座、護りたいのならジェムシリカに勝て!』
シェルの言葉がセラフィナイトの脳裏を過ぎる。
その刹那、セラフィナイトの気が変化した。
(私のシェルタイト様への想いは、決して報われる事はない。生涯、告げる事も許されない。私はシェルタイト様の特別な存在にはなれない。私は一臣下にすぎないのだから……。そんな事は充分過ぎるほど、知っている。だからこそ、臣下として望み得る最高の位置“側近筆頭の座”を貴方に渡す訳にはいかない!)
「そこまで! 勝者、セラフィナイト・シャモス殿!!」
クリソコラの声が響き渡った。




