~第六話~
「ジェムシリカ殿とセラフィナイト殿の練習試合とは……」
「これは見応えがありますね」
「立会人は、クリソコラ殿」
「おお~っ! クロサイト殿までおられる! 四天王の皆様方揃い踏みとはっ!」
「シェルタイト様……? あれはシェルタイト様ではっ!?」
「王子殿下までいっしゃるとは、これはただの練習試合ではないのか!?」
噂を聞きつけて訪れた者は皆一様に驚きを隠せなかった。
四天王専用の剣の練習場は隔離された場所にある訳ではない。
二人の勝負に気づいたのは偶然その場を通りかかった男だった。
男は暫く二人の試合を眺めていたが……
(これは、凄い!)
男は早足にその場を後にした。
試合開始から既に二時間近くが経過している。
その間に見物人は次第に増えていった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
(……負けない。負ける訳にはいかない! あの方をお護りする為に! あの方の一番近くに居る為に!! そして貴方に私を認めて頂く為にっ!!)
このひと月の間、セラフィナイトはジェムシリカに勝つ為に懸命に努力してきた。
己を遙かに凌ぐ力をその身に体感したのは初めてだった。
ジェムシリカの全力の剣技とそれを上回る"ムーカイトの碧い髪"の真の力。
だが、知った事でセラフィナイトは自分の努力をそれに見合った成果に引き上げる術に気づく事が出来た。
一族最強の男になる!
……という目標の為に重ねてきた努力だったが、その目標自体は漠然としたもので実態がない。
何処までやれば、"其処"へ到達出来るのか分からない。
しかし、一族最強の剣士という明確な目標を持った事で……。
そして、その真の力を知った事で、セラフィナイトは自身の目指すものの到達点をを見出す事が出来た。
後はただ、それに向かって努力するのみ――だった。
(ジェムシリカ殿より速く! ジェムシリカ殿より強く!!)
二人は最初から全力を出して闘っていた訳ではなかった。
ジェムシリカは少しずつ己の力を上げていく。
セラフィナイトもそれに合わせて自身の力を引き上げていった。
(やはり、シェルタイト様の仰った事は正しかったんだ。ジェムシリカ殿は私を鍛えようとして下さっている!)
そうセラフィナイトは確信した。
そして、その直後!!
(貴方の決意がどれほどのものか、試させて頂く! ……セラフィナイト殿っ!!)




