~Episode・2~
「はあぁあ~」
窓辺でぼんやりと外を眺めながら何度も溜息をついているレイテに
「何を黄昏てるんですか? さっきから溜息ばかりついて。姉上らしくないですね」
そうクロサイトは声をかけた。
「ロード~! 私、セラフィナイト様の事は諦めますわ」
「何だ、そんな事ですか? ……って、姉上がセラフィナイト殿の事を諦め、る? えっ? え、えぇええ~~~~~っ!!?」
それはクロサイトにとって正に驚天動地な言葉だった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
二ヶ月ほど前……
「ロード、貴方は知っていて? どうやらセラフィナイト様に意中の方がいらっしゃるみたいなんだけど……」
「はぁあっ!? セラフィナイト殿に、ですか!?」
素っ頓狂な声を上げたクロサイトに
「ほんと、貴方は鈍感ですわね! 何時もセラフィナイト様の傍に居て気づきませんの?」
「えっ? ……でもこの前まで『セラフィナイト様は剣一筋で異性に興味がないから安心ですわ』って仰ってたじゃないですか?」
(それは姉上も同じですよ……って言いそうになって、突っ込まない方が身の為だって自重しましたけど)
「ロード! 事態は刻一刻と変わるものですわよ!」
「それはそうですけど、別に今までと変わったところは……。今でも剣一筋だと思いますけどね。……と言うより、今まで以上に剣にのめり込まれているような?」
「ほんっと、貴方はっ! こんな時は全く当てになりませんわね! でも構いませんわ。私は負けませんわよ! どんな高貴な姫君が相手でもセラフィナイト様は渡しませんわ~!!」
「だって、相手があの方だとは思わなかったんですもの! どんなに努力しようとあの方にだけは絶対に敵わない。……諦めるしかないじゃない!!」
「えっ? セラフィナイト殿の意中の方が分かったんですか? 姉上が敵わない相手って、一体、誰なんです!?」
「ぜ~~ったいに教えてあげませんわ! 貴方の方が何時もセラフィナイト様の近くに居るんだから、自分で見つけなさいな!」
「もう、意地悪だなあ~姉上は! セラフィナイト殿に聞いても否定されるだけだし……。一体誰なんだろう? ある意味、最強の姉上が絶対に敵わない相手。そんな姫君いらっしゃるかなあ~? セラフィナイト殿にはお気の毒だけど、姉上とセラフィナイト殿が結ばれるのを楽しみにしてたんだけどなあ~」
「ちょっと、ロード! それ、どういう意味ですの!?」
「あっ! いえ、深い意味はありませんよ。セラフィナイト殿が“義弟”になってくれたら嬉しかったな、と」
弁明しながらもお気楽に笑うクロサイトにレイテは溜息をつきながら……
どこまでも、その手の感情には疎いクロサイトだった。
★ ★ ★ ★ ★
この物語は、Episode・1から三年後~クロサイト&レイテ18歳。
セラフィナイト16歳の時のエピソードです。
セラフィナイトが自分の本当の気持ちに気づいた直後の話ですね。(「セラフィナイト~巡り来る青陽~」第一章参照)




