~第一話~
あの刻を無かった事に出来るなら何を捨ててもかまわない!
己の命さえも……
この世の全てを引き換えにしても……!
けれど、どれだけ悔やもうと刻はもう戻らない。
あの方を護る事、それが我らの存在理由だった。
あの方を護れなかった我らに生きる意味はない。
それは同時に彼らの全てが凍りついた瞬間でもあった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
凄まじい轟音と衝撃……
大砲から撃ち出された砲弾三発が着弾した音は森の方角から聞こえてきた。
「シェルタイト様!」
セラフィナイトの声にシェルは即座に反応した。
「分かってる! 俺は神殿に向かう! お前たちは此処でクンツァイトの兵を食い止めろ! これ以上の侵入を許すな!!」
「御意!」
地上の人間を遙かに凌駕する身体能力を誇るノンマルタス一族。
そのノンマルタス一族の中でも歴代最強と謳われるムーカイトの碧い髪を持つシェルは、その力ゆえに、自らの力を著しくセーブして戦っていた。
相手を傷つけないようにと、剣さえも使わない。
その戦い方は彼の体力を悪戯に消耗させていた。
シェルを一人で森に行かせることは不安だったが、このまま此処でクンツァイトの兵と戦わせるよりマシだとセラフィナイトは思った。
しかし……
森に向かおうとしていたシェルは急に向きを変えて正反対の方向に走り出した。
「どちらに行かれるのですか!? シェルタイト様!!」
だが、セラフィナイトの声はシェルには届いていないようだった。
「お待ち下さい! 御一人では危険です!!」
その方向は敵の只中!
シェルの後を追おうとするが、クンツァイトの兵に行く手を阻まれてシェルとの距離は開くばかりだった。
如何に一騎当千を誇る四天王とはいえ多勢に無勢。
相手の数が多すぎる。
セレスの許に戻ろうとしたシェルだったが、その時! まさに船から島へ上陸しようとするクンツァイトとアンバーの姿が目に入った。
けれど、皮肉な事にセラフィナイトの位置から二人の姿は死角になって見えなかった。
それは他の四天王も同様だった。
ズドォォオオオオーーーーンッッッ!!
一発の銃声が響き渡った。
四人は一斉に音のした方に目をやった。
……セラフィナイトだけだった。
「シェルタイト様ァァァーーーーーーーーーッッ!!!」
しかし彼らは、そのセラフィナイトの絶叫でそれが何を意味しているのかを瞬時に悟ったのだ!
四天王完結編でございます。
これは「ノンマルタス伝説」本編の第十四章の後半部分から後を、四天王視点で書いた物語という事になります。
本当は「ノンマルタス伝説0(ゼロ)~はじまり編~」以降(本編第三章)から書きたかったですが(セレス&シェル視点で。そして十四章から四天王視点)それをするとメチャメチャ長くなるので、悩んだ挙句ここからのスタートにしました。




