第十四章 新たな勝負
「……あれえ……?」
ふと目を覚ます。どうやら、寝落ちしていたようだ。
でも、ちゃんとベットで寝ていた。服はそのままだったけど。すると……。
コンコン!
ドアがノックされる。
「(誰だろ……?)」
「おーい!」
それは、ミライ・ユくんだった。
「もう八時だぞー!土曜日とはいえ、そろそろ起きろー!」
ミライ・ユくんが起こしに来てくれた!すぐ会いに行く。
ガチャリ。
扉を開けると、スーツをピシッと決めたミライ・ユくん。
「おはよう!ミライ・ユくん!」
「おはよ、カゲエくん」
ミライ・ユくんは淡々と挨拶するが、どことなく嬉しそうな感じだ。
「皆はもう食堂についてるぞ。昨日風呂入らなかっただろ?食べたらさっさと入れよな」
「うん!分かったよ!」
ミライ・ユ君と一緒に食堂へ行く。つくと、皆がいた。
「お、カゲエちゃん来たね~おはよ~」
「カゲエ殿、おはよう」
「おはよお!カゲエくん!」
「はは、おはよう。カゲエくん」
「おはよう!皆!」
今日も気持ちのいい朝だ……。すがすがしい朝日が、大きな窓から入ってくる。今日の朝ごはんは
、ちょっと和風。バターを少しのせた鮭おにぎり・豚汁(豚肉・大根・ごぼう・にんじん)・ゆで卵・牛乳……。どれも口に入れた瞬間、まろやかな風味がハーモニーを奏でる!それはまるで……音楽のように……。
ブオーーーーン!!!♪♪
「「「!?」」」
突然外から、爆音の音楽が流れてきた!もう、とにかく豪音で、耳が張り裂けそうだ!!
「な、何事……!?」
すると、執事が慌ててやってきた。
「皆さん!正面玄関に、敵襲ですッ!」
「「「!!」」」
グリザイユくんとキアロくん、バロロさんが真っ先に向かう。僕、ミライ・ユくん、トロンプくんも急いで向かう。
◇
「……やっと来たか」
敵は、僕たちが到着すると、音楽を止めた。
敵の後ろには……真っ赤な、かっこいい車があった。
「な、なんなんですか!あなたは!」
「こんな朝っぱらから迷惑だぞ!」
「我々の拠点に直接来るとは……相当覚悟があると見た」
グリザイユくんとキアロくんが今にも攻撃を仕掛けそうだ。しかし、
「おっと!俺と勝負するのは、お前らじゃないぜ」
敵は、ビシッと指を指す。その先は……ミライ・ユくんだった。
「!?」
「テメエ、お前もミライ・ユ狙いか……!そうはさせねえぞ!」
「……勘違いするな」
敵は、冷静に言葉を発する。
「……お前、Venom Desire一の車の技術を持ってるらしいな。……気に入らないぜ。一番は俺だッ!」
「!!」
なんと……!車の勝負とは!敵は続ける。
「……だが、普通に頼んでもきっと受けてはくれねえよなぁ。そこで、だ」
敵は、指パッチンする。すると……部下と思われる人間が、巨大なスーツケースを持ってきた。ガチャッと開ける。そこには……!
「一億だ」
「えっ……!?」
そこには、今まで見たこともない量の札束が入っていた。
「お前が勝ったら、この金をお前らにやるよ。そして……ブラッド・ワークスに、情報を消させる」
「何……?」
バロロさんが眉をしかめる。
「ブラッド・ワークスは先程、俺らが本部から誘拐した。今俺んとこの連中で監禁してる。……カゲエ様の護衛人を倒したら、その実力が認められて今度は自分が護衛人になれるっていう噂流したの、ブラッド・ワークスだろ……?いかにもあいつがやりそうなことだ」
「お前とブラッド・ワークスは、一体なんだっていうんだよ!?」
トロンプくんが聞く。
「……ブラッド・ワークスは、元は俺らのリーダーだった。なのに、カゲエ様一行に簡単に負けちまうとはねえ。しかもボスの情報全世界にバラ撒いた張本人だとか。これじゃリーダーの資格無いねえ……!」
敵は続ける。
「ま、そういうことだ。お前らが勝ったら一億と、ブラッド・ワークスに情報を直させてやる。どうだ?受ける気になったか?」
「……どうしてそこまでするんだ?」
ミライ・ユくんが、敵に質問する。
「……本来は、俺がお前の立場にいるはずだったんだ」
敵は語る。
「俺は、Venom Desireの中でも、屈指の腕前を誇る運転手だった!何十年とだって努めてきた!大幹部を乗せて走ったこともあった!なのに……!!」
敵はこぶしを握り締める。
「ポッと出のお前が、ボスに認められてボスのご令弟の運転役だあ……??クソッ!!気に食わねエ!!一番運転が上手いだとかもてはやされてよ……ッ!一番は、俺だッ!!!」
「……なるほど」
ミライ・ユくんは、一呼吸置く。そして。
「……いいだろう。その勝負、受けたッ!」
「え!」
僕はミライ・ユくんの方を向く。
「そんな……!ミライ・ユくん、大丈夫なの……?」
「……今まで、俺のせいで皆には沢山迷惑をかけた。だから……。俺の手で、決着をつけさせてくれ!」
ミライ・ユくんは覚悟の表情をする。その顔は、昨日見せた泣き顔や、笑い顔とは違う、勇ましさにあふれた表情だった!
「ミライ・ユくん……!」
「……ま、良いんじゃねーのお?」
グリサイユくんが口を開く。
「ミライ・ユが車の運転で負けるなんて思えねーしな!」
「ああ、そうだな。完全に同感だ」
「Venom Desire一の運転手は、ミライ・ユくんだって証明してやりなよっ!」
皆も賛同する。
「でも……」
僕だって、なんなら僕が一番、ミライ・ユくんの力を信じている。でも……昨日のこともあるし、少し不安だった。また、ミライ・ユくんに何かあったらって思うと……。
ポンと、肩に誰かの手が触れる。バロロさんだった。
「……昨日は、色々あったみたいだけどね」
バロロさんは優しく微笑む。
「ミライ・ユくんを、信じてあげようじゃないか」
「!」
……そうだ。リーダーの僕が。親友の僕が!ミライ・ユくんを一番に信じなきゃ!
ミライ・ユくんの方を見る。
「……ミライ・ユくん」
「なんだ……?」
「勝ってきてね!!」
ミライ・ユくんは一瞬驚いた顔をして、
「応ッ!!!」
覚悟を決めた顔をした。
ミライ・ユくんは、敵に向かって歩み始める。
「……仲間との会話は終わったか?」
「ああ、待たせたな。……準備はできた。いつでもかかってこい」
「は……それは俺のセリフだッ!!」
アツいカーチェイスバトルが始まる!!




