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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第三百二十八話 夫婦円満の秘訣は?

 予定通り、三時になったら王城から軍の施設へと移動した。

 シーリアさんとクリスが進めていたイベントって何だろうなと思いつつ、無事に軍の施設に到着。

 シーリアさんが色々と教えてくれるそうなので、その辺りはお任せしよう。


「ケン君、クリスちゃんが妊娠したんだってね。本当に良かったわね」

「ケン君も、とうとう父親になるのね。おばちゃんも嬉しいよ」


 軍の施設を、歩いていると顔見知りのおばちゃんがニコニコしながらクリスの懐妊を祝ってくれた。

 本心からお祝いしてくれるので、僕もとても嬉しい。

 知り合いの軍人からも祝福の声をかけられながら、目的地の軍の食堂に到着した。

 ここで、今日のイベントが行われるらしいが、何やら飾り付けなどもしてあるぞ。

 シーリアさんがあれこれ指示を出していたので、合間を見て話しかけた。


「シーリアさん、お疲れ様です。手伝いにきました」

「ケン君、ありがとうね。実はね、軍人の婚活イベントをやろうとしているのよ。どうしても女性軍人は婚期が遅くなりがちだから、手助けをできないかってね」


 シーリアさんらしい企画と言えるかもしれない。

 そういえば、セレナさんとユリアさんも昇進して忙しくて、中々結婚相手が見つからないと嘆いていたって。


「そうそう、セレナとユリアは今回の婚活に参加しないわよ。最近、近衛騎士と付き合うようになったみたいなのよ」

「えー!?」


 セレナさんとユリアさんに恋人ができたの?

 スラちゃんは何で僕が知らないのって表情だが、僕はいつも軍の施設に来ている訳ではないの。

 今度セレナさんとユリアさんに会ったら、お祝いをしてあげないと。

 あと、ローリー様は絶対に参加するかなと思ったけど、今は仕事がとても忙しいらしい。

 ローリー様に会うと、いつも「婚活が流れた……」と嘆いているんだよなあ。

 さてさて、会場内の設営も終わり軽食も準備できた。

 食堂のおばちゃんも、このイベントに協力してくれた。


「わあ、いつもの食堂と違うね」

「とても綺麗に飾られているわ」


 開始時間が迫ってくると、続々と参加者が食堂に入ってきた。

 今回は、新兵や問題を起こした兵以外は参加オッケーで、事務職員も可だ。

 女性兵は比較的若い人が多く、逆に男性兵は若い人から中年まで幅広い。

 すると、この人が姿を現したのだ。


「あっ、ケン君じゃない。帝国から帰ってきたんだね」

「クリスちゃんも、懐妊したんだね。おめでとうって伝えて置いてね」


 さっき恋人ができたと聞いたセレナさんとユリアさんが、普通に食堂に入ってきたのだ。

 あれ?

 もしかして、婚活イベントに参加するの?

 何だろうと首を傾げていたら、シーリアさんが色々と教えてくれた。


「セレナとユリアには、元々イベントの手伝いをお願いしていたのよ。恋人ができなければ、そのままイベントに参加してもらおうかと思ったのよ」


 おお、そういう事だったんだ。

 今日は、普通にスタッフとして手伝いをするという。


「あっ、そうだ。セレナさんもユリアさんもおめでとうございます。いつの間にか恋人ができていて、僕もとてもビックリしました」

「ケン君、ありがとうね。実は、昨年末から付き合い始めたのよ」

「お互いの両親にも挨拶に行ったし、このまま婚約すると思うわ」


 セレナさんとユリアさんは、ちょっと頬を赤らめながらも嬉しそうに報告してくれた。

 僕に関わった人が、こうして幸せになるのはとても嬉しい。

 しかも、相手の人をスラちゃんがチェックまでしていたそうだ。


「まあ、セレナとユリアの場合は紛れもなく【蒼の治癒師】様の直弟子だもんね。だから、余程の覚悟がないと二人に近づくことはできないのよ」


 シーリアさんの話を聞き、ちょっと驚いてしまった。

 二人に何かあると、僕が大魔法で懲らしめるとまで言われていたという。

 うーん、僕はそんな事はしないのになと思ってしまった。

 いよいよイベント開始なのだが、ここでシーリアさんによりとんでもない爆弾が投入されたのだ。


「皆さん、軍主催の婚活イベントに参加して頂きありがとうございます。本来でしたら宮廷魔導師ローリー様が参加される予定でしたが、良いお相手ができたと連絡が入りました。よって、本イベントは欠席となります」

「「「「「えっ?」」」」」


 イベント参加者だけでなく、僕も思わずぽかーんとしてしまった。

 あのローリー様に、良いお相手ができた?

 うん、頭の処理が追いつかない。

 どうも、スラちゃん、セレナさん、ユリアさんは、このビッグニュースを知っていたみたいだ。

 今はイベントを手伝う事が優先だから、後で教えてもらおう。

 そんな中、ある女性兵から僕に質問があった。


「あの、ケン君とクリスちゃんってとても仲が良いですけど、何か秘訣がありますか?」


 先輩夫婦として、僕とクリスの事を聞いてみたい様だ。

 よく見ると、参加者だけでなくシーリアさん、セレナさん、ユリアさん、食堂のおばちゃんも僕に注目していた。


「えっと、お互いに信頼し合う事が大切だと思います。あと、たまに奥さんの買い物に付き合ってあげるのも夫の務めです。クリスの悪阻が悪くて僕が回復魔法をかけていますが、やはり生まれてくる赤ちゃんのために夫の僕が妻のクリスのために何かしたいと思っています」

「「「「「おおー」」」」」


 僕の話を聞き、参加者から感嘆の声が漏れた。

 シーリアさんも、ウンウンと満足そうに頷いていた。


「流石ケン君ですね。お互いを信頼し合うのが、とても大切です。自分だけでなく相手を思う気持ちも必要です。あと、買い物の件も出ましたが、ストレスをため過ぎないのも夫婦円満の秘訣ですね」


 シーリアさんの話を聞き、参加者は深く感銘を受けていた。

 きっと、ルーカス様もシーリアさんのために色々と苦労をしているのだと思った。

 その後も、シーリアさんによる婚活アドバイスがあり、いよいよイベント開始だ。

 とはいっても、人数が多いのでグループ分けしてドンドンと自己紹介やアピールをしていた。

 僕も、移動を促したり会話が止まっていたら話をしたりと何とか頑張っていた。

 最後に、お互いの番号がマッチした人を前に呼んでカップル成立とした。


「はい、本イベントはこれにて終了です。お互いの連絡先などを聞くのは、もう少し後にして下さいね」


 二時間のイベントも無事終了し、最後にシーリアさんが色々と注意事項を説明した。

 手分けして飾り付けを外して、これで終了だ。


「シーリアさん、お疲れ様でした。カップル成立も多くて、とても良かったです」

「ケン君も、よく手伝ってくれたわ。スラちゃんと一緒に、もう上がって良いわよ」


 シーリアさんから労いの言葉をかけられ、僕達は馬車に乗って軍の施設から屋敷へと戻った。

 そして、イベントに注力していてローリー様の件を聞くのをすっかり忘れてしまった。

 ところが、屋敷に戻ってクリスに話を振ったら、意外にもローリー様の件を知っていた。


「シーリア様と通信用魔導具でやり取りしていて、私も今日知ってビックリしたのよ。どうも最近奥さんを病気で亡くした上級兵がいて、娘さんが病気になってしまったらしいの。たまたま上級兵と話をしていたローリー様が、娘さんを預かって看病したそうよ。そこから、二人の仲が進展しているそうね」


 ローリー様はキレると怖いけど、基本的にはとても優しい。

 だから、病気の娘さんを見過ごせなかったのだろう。

 今度ローリー様と会った時に、お祝いを言ってあげないと。


「イベントも、ケン、スラちゃんのお陰でとても盛り上がったとシーリア様から通信用魔導具経由で御礼の言葉があったわ。私からも、ケンにお礼を言うわ。本当にありがとうね」


 クリスは、少しはにかみながらもお礼を言ってくれた。

 お互いに感謝し合う関係が、夫婦円満の秘訣なのかもしれないと思ったのだった。

読んでいただき、誠にありがとうございます

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