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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第三百二十九話 謁見の日の朝

 謁見が行われる日となり、僕は朝から準備をしていた。

 勿論、謁見用のいつも以上にキチンとした服を着ていく。


 シュイン、ぴかー。


「これで大丈夫だよ。クリス、調子はどうかな?」

「ええ、良くなったわ。やっぱり、ケンに魔法をかけて貰う前と後では全然体調が違うわ」


 朝の治療を終えると、クリスはすっきりとした表情をみせた。

 状態異常回復魔法は母体に影響はなく、過去にも治療実績はあるという。

 更に、治療後のクリスの反応を見るとやはり無理させない方が良さそうだ。

 さて、アイちゃん達を起こしてノヴァ君達と一緒に朝の訓練を行わないと。


「グー、グー」


 スラちゃん達はいつでもスタンバイオッケーなのだが、トラちゃんはお腹丸出して野性味ゼロの恰好で寝ていた。

 僕の屋敷の生活に慣れた証拠だが、もう大きな猫そのままだと思ってしまったのだった。


「今日の謁見は、いつもよりも時間が早いですね」


 アーサー様の執務室に到着後、今日の予定を確認していた。

 いつもなら、謁見は午後イチが多かった気がした。


「単純に、父上が午後から公務に出るからだ。元々昨年から決まっていた公務だから、動かしようがないのだよ」


 アーサー様が、苦笑しながら理由を教えてくれた。

 謁見の方が後から入ってきたから、こればかりは致し方ない。

 公務中は、陛下の護衛としてスラちゃんとピーちゃんも同行する。

 謁見にはシロちゃん、アクアちゃん、リーフちゃんも参加する。

 でも、ギンちゃんもいつも通り一緒に来ていた。


「あっ、そうだ。ローリー様に良いお相手ができたと聞いて、本当にビックリしました」

「私も、その話を聞いた時は耳を疑ったよ。でも、経緯が経緯なだけに納得もできよう」


 やはり、アーサー様もローリー様に良い人が出来たのは寝耳に水だったという。

 ただ、お相手の奥さんが亡くなったばかりなので、当面は婚約などはしないらしい。

 でも、病気が回復した娘さんもローリー様に懐いたそうで、僕は上手くいくのではと思っていた。


 ガチャ。


「ローリーの件は、余もオーフレアから聞いた。オーフレアも、最初聞いた時にはかなり驚いていたみたいだ。余も、オーフレアの気持ちは分かるがな」

「父上……」


 たまたま執務室に入ってきて話を聞いた陛下も、思わず苦笑していた。

 青天の霹靂とは、こういう事を言うとまで言っていた。


「何にせよ、軍の憂いが一つなくなって万々歳だ。ローリーは面倒見は良いし、大丈夫だろう」


 陛下は、アーサー様の隣に椅子を持ってきてどっかりと座った。

 陛下は僕も手招きして呼んで、持ってきた書類を説明した。


「メアリーから提案のあった、預かり保育施設拡張の件だ。現在の王城の前にある施設を拡張し、使用人なども集める」


 少し前から、前世でいう保育所みたいなものを増やせないかとメアリーさんが動いていた。

 王太后様、王妃様、シーリアさんも賛同していて、先ずは基本施設の拡張をする事になった。


「父上、メアリーの意見を採用して頂きありがとうございます」

「よい。優秀な人材確保の意味合いも兼ねている。国益にもなる」


 結婚して退職する女性職員もいるので、安心して子育てできる環境があるのは良いことだ。

 前世でいう小学校みたいな教育施設をどうするかという検討も出ているし、教育関連の改革は沢山ありそうだ。

 ふと、ここで書類のあるところに目が止まった。


「陛下、施設名が「イリス記念保育施設」ってなっていますが、これってイリスちゃんの事ですよね?」

「これか。【蒼の令嬢】の事だ。ケンの母親は孤児院訪問もしていたし、ちょうどいいだろう」


 おう、まさか王城の施設に母親の名前が付くなんて……

 これは、完全に予想外だ。

 僕的には、同じ名前のイリスちゃんと思ってくれるとありがたい……


「軍の施設にも、空き部屋を利用して保育施設を作ることにした。軍人は貴族でない者が多いから、以前より要望は上がっていた。どっかの貴族主義の馬鹿が反対しておったがな」


 うん、その、そのどっかの貴族主義の馬鹿と聞いて、僕は父親の顔が浮かんだのは気のせいではないかな。

 その、本当に申し訳ありません……

 とはいえ、この件もいいことだし計画を進める事にした。

 その後も、陛下と簡単な打ち合わせを行ったが、その中でこんな話が出てきた。


「先日ケンの行った王国と帝国間の関係についてのグループディスカッションは、良い話が出たと聞いている。今度、官僚にも研修で同じ内容のグループディスカッションをやらせる。ああ、ケンは当事者だから除外するぞ」


 陛下、僕もまだ新米官僚なんですけど……

 どちらかというと、グループディスカッションを見守る役目だという。

 そこは、ベテラン官僚にお任せしたい。


「では、余は執務室に戻る。謁見の時間に遅れないように」


 陛下は、部下と共に部屋を後にした。

 今年もやる事がいっぱいだ。

 さて、時間まで頑張って仕事をしよう。

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