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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第三百十八話 王国まで戻ってきました

 王国と帝国の国境に向かう魔導船内では、最初は仕事をしたけどその後はいつの間にか寝てしまった。

 クリスも同じだったらしく、僕と肩を寄せてスヤスヤと寝ていた。

 スラちゃんはというと、通信用魔導具を使って黙々と仕事をしていたという。

 そんなこんなで、おやつの時間前には無事に帝国の国境にある麓の町まで到着した。

 ここから馬車に乗り換えて、王国と帝国との国境へと向かった。


「サザン少将、ここまで対応頂き感謝する」

「こちらこそ、ニース将軍の配慮に感謝します」


 国境に到着し、ヘルナンデス様とサザン様がガッチリと握手した。

 僕達もサザン様と握手をし、迎えに来た王国軍の馬車に乗り込んだ。

 そして、気持ち的には久しぶりに国境の基地へと到着したのだった。


「皆様、長旅お疲れ様でございます。一時間ほど休憩頂き、ガルフォース辺境伯家へと向かいます」


 司令官室へと案内されると、ピーター様がまたもや眼鏡をクイッとしながらスラスラと予定を教えてくれた。

 流石、仕事が出来る変態司令官様だ。

 とはいえ、道中ずっと座っていて身体が固まってしまったので、散策を兼ねて基地内を歩く事にした。


「うーん、同じ姿勢でいたからガチガチだよー」


 クリスも、うーんと歩きながら背筋を伸ばした。

 ずっと帝国にいたから、緊張していたのもあるだろう。

 今になって、どっと疲れが出てきた気がした。

 スラちゃん達も、ちょっと疲れたといった表情だ。

 そして、久々に食堂に顔を出した。


「おばちゃん、久しぶりです」

「あら、ケン君じゃない。クリスちゃんも一緒なのね」


 食堂のおばちゃんは、相変わらず豪快に笑っていますね。

 いつ会っても、元気いっぱいですね。

 僕達も、席についておばちゃんと軽く話をすることに。


「ケン君は、小さい頃から本当に忙しいわね。軍の幹部でも、ヘルナンデス様とルーカス様くらいしか何回も国境にはこないわ。まあ、幹部になる人は最低でも一回は国境に来るわよ」


 おばちゃんは前線基地に勤めて長いから、色々な人に会っている。

 因みに、幹部は新人兵として赴任するのではなく、キチンと何らかの対応で来ているらしい。


「そういう意味では、クリスちゃんとお兄さんはもう幹部になるための条件をクリアしているわね。いつでも、バッチリね」

「あ、ありがとうございます……」


 ウインクするおばちゃんに、クリスは微妙な返事を返した。

 クリスは上級官僚試験に合格しているから、十分に軍の幹部候補生なんだよなあ。

 その後も、僕達は出発の時間になるまで食堂のおばちゃんと他愛のない話をした。

 おばちゃんだけでなく顔見知りの兵も食堂に姿を現し、かなり話が盛り上がったのだった。


「おかえりー!」

「りー!」


 国境を出発して夕方前にガルフォース辺境伯家の屋敷に到着すると、またもや元気のよい兄妹が出迎えてくれた。

 特に、ランディちゃんはいつも元気いっぱいだ。


「おお、無事に帰ってきたな。夕食まで時間はないが、客室でゆっくりするように」


 ハーデス様も、僕達の顔を見てホッとした様子だ。

 やはり、帝国に行くというのは大変な事だと実感した。


「いこー!」

「こー!」


 そして、僕達はランディちゃんとマミちゃんに手を引かれながら客室へと向かった。

 どうやら、ランディちゃんとマミちゃんは僕達と一緒にお風呂に入りたいみたいだ。

 念のためハーデス様に確認すると、昨日から僕達と一緒にお風呂に入るんだと意気込んでいたという。

 それならばと、僕達は客室でランディちゃんとマミちゃんと一緒にお風呂に入ったのだった。


「帝国でも、【蒼の治癒師】様の絵本を読んでいた者が複数いた。ライアン皇子も、【蒼の治癒師】様の絵本の愛読者だったぞ」

「「おおー!」」


 夕食時にヘルナンデス様がライアンちゃんの話をすると、ランディちゃんとマミちゃんは凄いという声を上げた。

 そういえば、ランディちゃんも僕が題材になった絵本を愛読していたっけ。

 すると、クリスもこんな事を言ってきた。


「ケンの話をすれば、きっと帝国の皇子様や他の人とも仲良くなれるわ。【蒼の治癒師】様は、王国と帝国の共通言語よ」

「僕、ケンお兄ちゃんのお話好きー!」

「ちゅきー!」


 クリスよ、僕の話が共通言語ってなんですか!

 しかも、この場にいる全員がウンウンと頷いているぞ。

 いやいや、もっと話題になりそうな事が……


「王国と帝国との共通する話題は、長らく戦争しかない。平和的な話題ができたのだ、全く問題ないだろう」


 ルーカス様も、お肉を頬張りながらそんな事を……

 うう、確かに僕が六歳で国境に行ったのも戦争だったからだ。


「しかも、【蒼の治癒師】様が王国と帝国の更なる友好関係を築く橋渡しになった。これから、益々【蒼の治癒師】様関連の絵本は増えるだろう」

「「おー!」」


 ハーデス様の話を聞き、孫の兄妹は喜びの声を上げた。

 多分、ランディちゃんとマミちゃんは僕関連の絵本が増えるのが嬉しいのだろう。

 というか、王太后様と王妃様が僕の絵本の続刊を考えていると言っていた。

 しかも、その後も夕食では【蒼の治癒師】様の話題が中心となり、僕は居た堪れない気持ちになったのだった。

読んでいただき、誠にありがとうございます

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