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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第三百十七話 帝国から王国に帰る日の朝

 チュンチュン、チュンチュン。

あ

「うーん……」

「「すー、すー」」


 四日間の滞在を終え、とうとう王国へ帰る日の朝となった。

 僕が起きた横では、クリスと昨晩僕達と一緒に寝たライアンちゃんの寝息が聞こえた。

 二人とも抱き合って寝ていて、何だか微笑ましい光景だ。

 スラちゃん達も枕元に集まって寝ていて、その中にマルちゃんとスイちゃんの姿もあった。

 みんな気持ちよさそうに寝ているが、もうそろそろ起きないとならない。

 僕はむっくりとベッドから起きて、みんなを起こし始めたのだった。


「皇帝陛下、滞在中色々とご対応頂き本当に感謝する」

「こちらこそ、色々配慮頂き感謝する」


 朝食後、僕達は出発用の服装に着替えた。

 そして、王城の馬車乗り場に移動し、皇族や主だったものから出発の挨拶を受けた。

 ヘルナンデス様が代表して皇帝陛下と対応し、僕も時々他の人と握手をした。


「また、あおーね!」

「うん、ぜひ会いましょうね」


 ライアンちゃんは、僕と握手をした後にクリスと握手をした。

 もう、昨日の夕食時みたいな暗い表情ではなく満面の笑顔だ。

 スラちゃん達も、マルちゃんとスイちゃんと握手をしていた。


「帝国の方々を王国へ招くように、早急に調整に入ります」

「両国間の交流が益々盛んになる事を、余も願っている」

「おおー!」


 ヘルナンデス様と皇帝陛下の話を聞き、ライアンちゃんももの凄く盛り上がっていた。

 この分だと、王国と帝国の交流も近々本格的に始まりそうだ。


「ははは、息子がいの一番に王国に行くと手をあげそうだな」

「まさに、そうですな。ははは」

「「「「「はははは!」」」」」


 皇帝陛下もヘルナンデス様も、この場にいる多くの人も思わずニコリとしながら笑った。

 きっと王国のアリアちゃん達もライアンちゃんに会いたいというはずだし、小さい子が文化交流の中心になるかもしれない。


「そして、その交流の中心にケンがいるのは間違いない。なにせ、【蒼の治癒師】は両国共通の偉人だ」

「それは間違いないですな。両国の関係者の殆どが、何らかの形でケン君に関りがありますぞ」


 皇帝陛下、ヘルナンデス様、その他の人たちも、僕を見てニヤリとしないで下さい。

 でも、確かに帝国でも僕に関わった人がこの場にいるんだよなあ。

 さて、そろそろ出発の時間だ。

 僕達は、出迎えの馬車に乗り込む準備を始めた。


「ライアンちゃん、またね」

「また会いましょうね」

「じゃーね!」


 僕とクリス、それにライアンちゃんは、敢えてバイバイと言わなかった。

 両国の関係が更に改善すれば、近い内に会える。

 そんな気がしたのだった。

 そして、僕達は馬車へと乗り込んだ。


「では、レーベンス頼んだぞ」

「はっ。皆さまを安全に軍の施設にご案内いたします」


 僕達の馬車を挟むように騎馬隊が組まれ、レーベンス様が先頭に立った。

 そして、ゆっくりと隊列は動き始めた。


「じゃーねー!」


 僕達は、馬車の窓から一生懸命手を振るライアンちゃんに手を振り返した。

 ビクトリア様なども、僕達に手を振っていた。

 そして、段々と手を振る人達の姿が小さくなった。


「無事に帝国との日程をこなす事ができたのも、あの小さな皇子様のお陰だな」


 見送りの人たちが見えなくなると、ヘルナンデス様がポツリと呟いた。

 ルーカス様もクリスも、そして僕もスラちゃん達もヘルナンデス様に頷いた。


「そうですね。ライアンちゃんは純粋なところもありましたし、僕を題材にした絵本で僕の存在を知っていたのもあります」

「ははは、確かに今回の帝国訪問で【蒼の治癒師】様の影響力の大きさを感じた。もはや、【蒼の治癒師】様の偉大さは各国共通だな」


 僕だって、まさか僕を題材にした絵本が帝国にあるだなんて思わなかった。

 もしかしたら、ビクトリア様やレーベンス様辺りが僕の話を広めたのかもしれないね。


「さて、この後だが夕方には辺境伯家の屋敷に到着予定だ。色々あって疲れているのだから、魔導船に乗っている間はゆっくりするといい」

「「「はい」」」


 ヘルナンデス様がこの後の予定を教えてくれたが、魔導船に乗って最初の間は通信用魔導具で仕事をする気がした。

 そして、お城を出発して程なくして軍の施設へと到着した。


「レーベンス大将、いつでも出発可能です」

「そうか、ご苦労」


 帰りの魔導船でも僕達の担当をしてくれるサザン様が、魔導船の前で僕達を出迎えてくれた。

 それよりも気になったのが……


 じー。


 僕と手合わせをしたニックが、どうも一緒に同行するみたいだ。

 魔導船の魔石に魔力を充填する役目があるとはいえ、流石に僕を見過ぎではないかな?


「か、勘違いするな。仕事はキチンとやる。そして、今度こそお前に勝つんだ!」


 何だかツンデレっぽい発言だが、そこは大丈夫だとレーベンス様もサザン様も頷いた。

 まあ、元から悪い人ではなかったし、お仕事を頑張ってもらいましょう。

 それでは、僕達も魔導船に乗り込まないと。


「レーベンス様、滞在中色々とありがとうございました」

「こちらこそ、色々助かった。ケン君、また会おう」


 魔導船に乗る際に、僕はレーベンス様とガッチリと握手をした。

 レーベンス様も、無事に日程が終わってホッとしていた。

 さて、いよいよ王国へ向かいますね。

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