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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第三百十話 ビクトリア様の結婚式

 段々と大教会内に来賓も多く集まってきたが、厳戒態勢の為皇帝陛下や関係者への挨拶はしないように周知された。

 遅れて来た来賓は何があったのかと思われていたが、これだけの厳重な警備が敷かれているのを見て直ぐに察した様だ。

 ベクター枢機卿が結婚式を仕切るため、結婚式自体に何か変更があるわけではない。


「では、向かうとするか」

「じゃあ、行ってくるね!」


 そして、新婦の介添え役の皇帝陛下とフラワーボーイをするライアンちゃんが、リーフちゃんとマルちゃんと共に控室へと向かった。

 勿論、何があっても対応できるようにと近衛騎士による厳重な警備を受けていた。

 皇帝陛下とライアンちゃんが準備するために控室に向かったことで、結婚式が近づいたと実感する。

 更に、ジュドー公爵家の人達も控室から会場に来て新郎席に座った。

 来賓を取り巻く空気も、少し張り詰めたものに変わった。


「大変お待たせしました。これより、結婚式を執り行います。最初に、新郎が入場します」


 司会役のシスターさんのアナウンスと共に、来賓から大きな拍手が起きた。

 会場後方のドアが開き、ピエール様が一礼して会場内に入ってきた。

 ピエール様は背が高く、ビシッと決めたモーニングもとても似合っていた。

 会場内の来賓からも大きな拍手が送られる中、ピエール様は少し硬い表情でバージンロードを歩いて行った。

 祭壇の前に進み、こちらも少し硬い表情のベクター枢機卿の前で止まった。

 少しの静寂の後、司会役のシスターが再びアナウンスを行った。


「それでは、お待たせしました。新婦の入場です」


 来賓から多くの拍手が起こる中、ビクトリア皇女様は皇帝陛下と共に一礼した。

 二人の前には、ライアンちゃんを含む数人の子ども達の姿があった。

 子ども達は、ペコリと頭を下げると手にしているカゴから花びらをまき始めた。


「「「「「わーい!」」」」」


 沢山の拍手が起こる中、子ども達の微笑ましい光景に来賓も思わず目を細めていた。

 勿論、リーフちゃんがお得意の風魔法で花びらが綺麗に舞うように調整している。

 マルちゃんも、ライアンちゃんと一緒に頑張って花びらをまいていた。

 そんな微笑ましい光景とは裏腹に、子ども達の後ろを歩く皇帝陛下とビクトリア皇女様の表情は硬かった。

 そういえば、ピエール様とベクター枢機卿の表情も硬かったが、もしかしたら何かあったのかもしれない。

 そして、祭壇前でピエール様と皇帝陛下がガッチリと握手した。

 皇帝陛下と子ども達が席に着いたのを確認してから、ピエール様とビクトリア皇女様は改めて祭壇の前に向き直った。


「ライアン、とても良かったわよ」

「えへへ!」


 皇妃様に褒められて、ライアンちゃんはとても良い表情だ。

 リーフちゃんも、マルちゃんを良くやったととても褒めていた。

 そういえば、スラちゃんと他のチビスライム達がいないなと思ったが、さっき教会内を調べると言っていた。

 教会内の偵察をしているのかと、僕はちょっと軽く考えていた。


「それでは、これより神に新しい夫婦が誕生する事を報告する」


 ビクター枢機卿の厳かな声に、教会内にいる人は全員静かに姿勢を正した。

 勿論、ピエール様とビクトリア皇女様も真剣な表情でビクター枢機卿を見ていた。


「ピエール・ジュドーはビクトリア・ベルファストを妻とし、終生愛することを誓うか?」

「誓います」

「ビクトリア・ベルファストはピエール・ジュドーを夫とし、終生愛することを誓うか?」

「誓います」


 二人のハッキリとした声が教会内に響いた。

 そして、二人は結婚指輪をお互いの指にはめた。


「それでは、神の前で誓いの口づけを」


 ビクター枢機卿の言葉を聞き、ピエール様とビクトリア皇女様はお互いに向き合った。

 ビクトリア皇女様が軽く膝を折り、ピエール様がビクトリア皇女様のヴェールを頭の後ろに流した。

 そして、少し見つめ合ってから軽く口づけをした。


「おお、ここに新たな夫婦が誕生した。大きな拍手で祝福する様に」


 ビクター枢機卿の声に、来賓は大きな拍手で応えた。

 勿論、僕もクリスも二人に大きな拍手を送った。


「わー!」


 間違いなく一番喜んでいるのがライアンちゃんで、マルちゃんと共に一生懸命拍手を送った。

 皇帝陛下も、目を細めながら拍手をしていた。

 そんな数多くの拍手に祝福されながら、ピエール様とビクトリア皇女様は腕を組んでゆっくりとバージンロードを歩いた。

 時々顔見知りからの祝福の声に応える様に、ビクトリア皇女様はにこやかに軽く手を振った。

 そして、二人は教会内のドアの前で僕達に向き直り、深く一礼した。

 ドアが閉まり、拍手も止んだ。


「以上をもちまして、結婚の儀を終了します。皆さまにおかれましては、係の合図があるまでもう暫くお席にお座り下さい」


 本来ならここで馬車に順次乗り込んでお城へと向かうのだが、全員待機となった。

 どうやら、一部関係者の表情が硬かった事とスラちゃん達がいない事に関係しているみたいだ。

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