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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第三百八話 帝都の大教会へ

 僕達は、結婚式用の服に着替え終えると皇帝一家と共に馬車に乗り込んだ。

 お城から大教会へは、近衛騎士による厳重警戒の中で向かった。


「わあ、綺麗……」


 大教会はお城からほど近い場所にあり、皇族が絡む結婚式というのもあってかとても綺麗に清掃されていた。

 王国の大教会とはまた違ったノスタルジックな造りで、クリスはその美しさに感嘆の声を上げていた。

 大教会の入り口に馬車を停め、僕達は馬車から降りた。

 すると、高位の聖職者と思わしき豪華な聖職者の服を着た一人の老人が皇帝陛下に話しかけた。


「皇帝陛下、わざわざ来て頂き感謝申し上げます」

「ベクター枢機卿、今日は妹の結婚式を宜しく頼む」


 ベクター枢機卿と呼ばれた男性は、ニコリとしながら皇帝陛下に頭を下げた。

 そして、僕達にも向き直った。


「かの有名な【蒼の治癒師】様をお迎えでき、私もとても嬉しく思いますぞ」

「あ、ありがとうございます……」


 ベクター枢機卿はニコニコしながら僕を出迎え、僕も握手をしながらちょっと苦笑してしまった。

 とはいえ悪い感じの人ではなく、スラちゃんチェックも問題ない。

 すると、ベクター枢機卿は皇帝陛下にこんな事を言ってきた。


「皇帝陛下より指示を頂いた聖職者の確認の件、全て終えております。残念ながら、数名聖騎士団によって拘束しております」

「そうか、ご苦労。引き続き、警戒するように」

「畏まりました」


 ベクター枢機卿が恭しく頭を下げたが、やはり何かをしようとした者がいたんだ。

 様々な理由で結婚式を妨害しようとする者がいるのは確かだし、教会側に協力者がいる可能性もある。

 僕も、周囲の様子を気にするようにしよう。


「新郎新婦とも、そろそろ着替えが終わっている頃かと」

「そうか。では、控室に行くとしよう」


 僕達は、ベクター枢機卿の案内で新郎新婦がいる控室へと向かった。

 最初にやってきたのは、新郎のいる控室だ。


 コンコン、ガチャ。


「失礼する」

「陛下!?」


 モーニングに着替え終えた新郎のピエール様が、両親と話をしていたタイミングでした。

 ピエール様は、急いで立ち上がり陛下に臣下の礼を取ります。


「よい。今日はめでたい日だ。こうして、そなたの笑顔が見れたのは良いことだ」

「もったいないお言葉です」


 皇帝陛下の言葉に、ピエール様は深く頭を下げました。

 この様子を見るだけでも、ピエール様がとても誠実な青年だと分かった。

 そして、皇帝陛下はジュドー公爵にこんな事を言った。


「教会に命じて、式を妨害しようとした者を排除した。しかし、全て対応できた訳では無いだろう。公爵も、新郎の父親としてそして新婦の義父として周囲に目を配るように」

「畏まりました」


 ジュドー公爵も、皇帝陛下に深々と頭を下げた。

 どちらかと言うと、ジュドー公爵夫人の方がならず者は許さないって表情だ。

 新郎のピエール様も、改めて陛下に頭を下げた。

 皇帝陛下は、満足そうな表情をして新郎の控室を後にした。


 コンコン。


「どうぞ」


 ガチャ。


「私だ」

「お兄様!?」


 次に、新婦のビクトリア皇女様の控室へと向かった。

 ビクトリア皇女様も、いきなり皇帝陛下が入ってきてビックリしていた。


「わあー、きれーだね!」

「ふふ、ありがとうね」


 ちょっと緊張した空気も、ライアンちゃんの明るい声でかき消された。

 ビクトリア皇女様は、見事な作りの純白のウェディングドレスに身を包んでいた。

 ビクトリア皇女様は背が高くスタイルもいいので、ウェディングドレスがとても似合っていた。

 すると、スラちゃん達がある方向に向かった。

 それは、テーブルの上に置かれた様々な花で出来上がったブーケだ。

 スラちゃん達は、そのブーケの中を調べてあるものを取り出したのだ。

 全員の視線が、スラちゃんがブーケの中から取り出したある小さな箱みたいなものに注がれた。


 シュイン、もわーん。


「これは、盗聴の魔導具です!」

「なんだと!?」


 近衛騎士の鑑定結果に、皇帝陛下が驚愕の声を発した。

 皇帝陛下からの依頼で僕が鑑定魔法を使っても、結果は同じだ。

 しかも、ある貴族の名前が出てきた。


「直ぐに、教会に確認するように!」

「はっ」


 皇帝陛下の命を受け、近衛騎士の一人が直ぐに控室を出た。

 その間に、スラちゃん達はブーケを手直し……寧ろ、もっと立派な作りへと修正していた。


「これは素晴らしいわ。なんというか、見た目は立派なのにとても品のある感じね」


 スラちゃん達によって修正されたブーケに、ビクトリア皇女様は感嘆の声をあげた。

 そして、ライアンちゃんがこんな事を言った。


「あのね、僕とマルちゃんで結婚式を盛り上げるんだ!」

「ふふ、そうだったわね。期待しているわ」


 ビクトリア皇女様は、元気いっぱいなライアンちゃんとマルちゃんを笑顔で撫でていた。

 さっきまでの張り詰めた空気が、一気に和らいだ。

 因みに、リーフちゃんは既にライアンちゃんの側についていた。

 マルちゃんに、護衛などについても色々と教えているみたいだ。

 その間に近衛騎士が控室を調べ終え、更に新郎のいる控室も調べ終えた。

 幸いなことに、不審なものは見つからなかったという。


「では、後ほど会うとしよう」

「お兄様、ありがとうございます」


 ビクトリア皇女様に見送られながら、僕達は控室を後にした。

 さて、ここからは馬鹿なことをした人への成敗タイムだ。

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