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【7月24日第一巻発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第三百七話 ビクトリア皇女様の結婚式の朝

 ピピピ、ピピピ。

 カチャ。


「うーん、もう朝か……」


 帝国滞在三日目の朝となり、僕は時計型魔導具のアラームを切った。

 今日は、滞在期間中最大のイベントであるビクトリア皇女様の結婚式が行われる。

 予定では、帝国の大教会で結婚式を挙げてお城で披露宴を行う。

 ビクトリア皇女様は、傍系皇族として新たな貴族家を興す事になっているらしい。


「うーん……」


 さて、そろそろクリスとスラちゃん達も起こさないと。

 僕はもう一度背伸びをしてから、みんなを起こし始めたのだった。


「結婚式、とっても楽しみなんだ!」


 皇族一家との朝食の際、ライアンちゃんがパンを食べながら元気よく声をあげた。

 大好きなお姉さんをお祝いしたいんですね。

 マルちゃんも一緒に触手をあげていて、更にスラちゃんがマルちゃんにあれこれ話をしていた。


「僕も、ビクトリア皇女様の結婚式がとても楽しみです。やっぱり、人が幸せになるのはいいですね」

「そうね。幸せなイベントなら、私も幾らでも歓迎よ」


 皇妃様も、僕にニコリとしながら返事をした。

 帝国でも皇帝陛下と皇妃様の結婚式以来の大きな結婚式らしく、お城は朝から関係者が忙しく動いていた。


「今日は、余も大役を務めねばならぬ。久々に緊張する」


 皇帝陛下とビクトリア皇女様の父親は、今は亡き先代皇帝陛下だ。

 なので、亡き先代皇帝陛下に代わって実の兄の皇帝陛下が、ビクトリア皇女様と共にバージンロードを歩く事になっていた。

 更に、こんな演出もするという。


「【蒼の治癒師】の結婚式で、多くの子ども達がフラワーボーイとフラワーガールをしたという。そこで、今日は息子と知り合いの子ども達が似た演出をする」

「頑張るよ!」


 ライアンちゃんが張り切っているもう一つの理由が、このフラワーボーイをする事だった。

 というか、僕とクリスの結婚式の内容がそこまで伝わっているとは……

 僕とクリスの結婚式では、風魔法使いのリーフちゃんが演出を手伝った。

 今日も、マルちゃんへの指導を兼ねてリーフちゃんが演出に参加する事になった。

 リーフちゃんの風魔法なら、きっと演出も盛り上がるはずだ。

 なお、僕達は皇帝陛下の座る席の近くにいることになっている。

 近衛騎士も警備につくし、安全は問題ないはず。


「皇帝陛下、ビクトリア皇女様の結婚式を邪魔しようとするものはいるのですか?」

「謁見で、余に意見を申した連中がそうだ。まだ残党が残っているから、十分に気をつけないとならない」


 チビスライム達の活躍もあり、多くの犯罪者を捕まえることができた。

 それでも、現体制に反感を持っている者はいるという。

 帝国の中では開戦派と言われていて、王国を倒して利益を得ようと考えているらしい。

 まさに、謁見で色々な事を言って捕まった貴族みたいだ。


「また、余に側室などを送り込めないでいる貴族もだ。余は側室を持つ意思はないが、無理矢理勧めるものもいる。王家の後ろ盾になって、権力を握ろうとするものたちだ」


 王国でも、アーサー様に嫁を送り込めなかった貴族が恨みを募らせた事があった。

 ハッキリ言ってかなりの迷惑だし、欲のある者を王家が受け入れる事もない。

 そういえば、僕に何とか嫁を送り込もうとした貴族が、様々な罪で捕まった事もあったっけ。

 そういう貴族に限って、後ろめたい事をしているんだよね。


「最後に、結婚式に招待されなかった者だ。余の結婚式とは違い、全ての貴族を招待している訳では無い。そして、招待していない貴族は、何かしらの不安要素がある」


 これは、僕の結婚式もだけどルーカス様の結婚式にも共通する話だ。

 今日のビクトリア皇女様の結婚式には多くの軍人が参加する予定で、その中には貴族でない者もいる。

 特権意識の強い貴族は、何故呼ばないのかと反発しそうだ。

 ヘルナンデス様とルーカス様も状況が直ぐに分かり、クリスとスラちゃん達もふむふむと頷いた。


「我々も、自分の身の安全を確保するように気を付ける。願わくば、結婚式がつつがなく終わる事だ」


 皇帝陛下は、一種の願望みたく話をしていた。

 僕だってビクトリア皇女様の結婚式が無事に終わって欲しいし、多くの人にも喜んで欲しい。

 そんな事を話しながら朝食を終え、僕達は客室で結婚式用の服に着替えた。


「私も、ケンとの結婚式はとても素敵だと思ったわ。女性は、結婚式に憧れを持っているのよ。だから、邪魔をする者がいるのが許せないのよ」


 赤いドレスに着替えたクリスは、ちょっとプリプリしながらそんな事を言った。

 スラちゃん達も同意見らしく、結婚式会場となる大教会に着いたら少し調べるらしい。

 僕も、周囲の人達に怪しい者がいないか警戒しよう。

 リーフちゃんは、そのまま皇妃様とライアンちゃんの警備につくそうだ。

 二人の安全も、確実に確保しないと。

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