第二百四十六話 大変な資料整理
強制捜査を進めつつ、僕達は通信用魔導具である指令を受けた。
それは、ピーちゃんとスラちゃんに、五家が逃げようとした王都郊外にある領地への偵察だ。
スラちゃんは軍の施設で書類確認をしているので、ピーちゃんがオオクズ男爵家から軍の施設へと向かった。
「しかし、オオクズ男爵家も全ての家人が捕まりました。更に、使用人もドンドンと捕まっていますね。この分だと、他のところも似たような状況ですね」
「というか、ほぼ同じだな。一家だけまだ結婚したての嫡男夫人に罪をかぶせて家に残そうとしたみたいだが、そんな事をしても直ぐに捕まるのは目に見えている」
ナッシュさんは、最近支給されたばかりの通信用魔導具を見るなり溜息をついていた。
嫡男夫人が残されていたのはクリスが向かったところらしく、同行したリーフちゃんによって嫡男夫人は無罪だと判明した。
ただ嫡男夫人もこんな事になっているとは全く知らず、かなり動揺しているという。
嫡男夫人が状況を飲み込むのに、数日はかかるだろう。
「追加の木箱を持ってきてくれ」
「輸送用の馬車もだ」
オオクズ男爵家には追加の兵も到着し、とんでもない数の木箱を次々と運んでいった。
キングレオと知り合いの兵もおり、頑張りましたと満面の笑みを浮かべるキングレオの頭を撫でてやった。
「押収品が、これでもかというくらい出てきますね。というか、こんな金ピカなネックレスなんて王妃様でも持っていないですよ」
「贅沢の極みだな。贅沢をすることしか興味がなかったのかもしれない」
執務室だけでなく、寝室からも大量の宝石などが見つかった。
一つ一つ鑑定魔法で確認するのは大変だけど、間違える訳にはいかない。
でも、残念ながら押収品は全て犯罪で得た金で買ったものだった。
こうしておやつの時間まで忙しく対応し、僕達は一足先にオオクズ男爵家から軍の施設へと戻った。
「ケン、遅かったね」
軍の施設に戻ると、他の貴族家に行っていた面々が先に戻っていた。
クリスも戻っており、倉庫で証拠品の整理を手伝っていた。
「押収品が多くて、鑑定に時間がかかったんだよ」
「そういえば、ケンの行った屋敷は凄かったってゴードン様が行っていたよ」
僕もクリスの隣に行き、証拠品の整理を始めた。
アーサー様からも、今日はこのまま証拠品の整理をするように指示を受けていた。
「そうなの。みんな、とても頑張ったのね」
「「「「「ガルッ!」」」」」
ミュウさんは、僕達と一緒に行動した魔物達を褒めていた。
頑張っていたのは間違いないし、魔物達もミュウさんに褒められてご満悦だ。
財務職員も、キングレオ達の頭を優しく撫でていた。
では、僕もここは頑張らないと。
えーっと、証拠品を種類別に分けて一覧に記載してと。
ペラペラ、カキカキ。
ペラペラ、カキカキ。
ペラペラ、カキカキ。
「け、ケン様は本当に凄いです。あっという間に、確認が済んでいます」
「まあ、ケンは事務能力も凄いからね。私も、流石にケンには勝てないよ」
「「「「「ぐ、グルッ?」」」」」
ミュウさんとクリスは苦笑しながら、魔物達は何をしているのと不思議そうに僕のことを見ていた。
身体能力強化魔法を使えばもっと早くできるが、ここは確実にやらないと駄目だ。
こうして、定時まで頑張って仕分けや分析を行った。
すると、この人が倉庫に姿を現した。
「やはり、ケンがいると凄いスピードで処理が進むな」
ルーカス様が、満足そうに作業の様子を眺めていた。
そして、僕とクリスを手招きした。
「スラちゃんが行った偵察の結果、奴らが向かおうとしたオオクズ子爵領でも不正が起きていた。馬車でも一時間で着くから、明日朝二人とも軍の施設に来るように」
「「はい!」」
流石スラちゃん、もう不正の証拠を掴んだんだ。
スラちゃんとピーちゃんは、このままオオクズ子爵家の屋敷を監視するという。
スラちゃんのアイテムボックスには食料も入っているし、二匹の食事もバッチリだ。
ちびスライム達は引き続き証拠品の整理をするそうで、トラちゃんは一緒についてくる事になった。
明日の準備もあるので、僕達は足早に屋敷へと戻った。
「アルファはエレンお祖父様の護衛で暫く不在だから、ベータとガンマでアイちゃん達や屋敷の人を守ってあげるんだよ」
「「ピッ!」」
屋敷に戻り、僕は改めてベータとガンマに色々とお願いした。
リンゴちゃんもアイちゃん達の側にいるが、今はスラちゃん達もフル稼働だ。
屋敷の人に何かあっては大変だから、負担になるけど頑張ってもらわないと。
勿論、軍も町の巡回を強化するという。
「クリス、日帰りで帰る予定だけど念のために着替えなども用意していて」
「分かった。ケン、後で荷物預かって」
夕食前に、僕達はハンナおばさんに手伝ってもらいながらドタバタと荷造りをした。
念には念を入れておけば、後になって助かったと思うはずだ。
こうして荷物を作り終えて、僕達は食堂へと向かった。
「ハグハグハグ」
トラちゃんは、今日の捜索でとても頑張ったからご褒美に美味しい肉を用意してもらった。
きっと今頃は、ミュウさんの屋敷でも魔物達が美味しいご褒美を貰っているはずだろう。
ミュウさんは優しいから、張り切ってご褒美を用意しているのかも。
「みんなも、暫くは屋敷の中か屋敷の前で遊んでね」
「「「はーい」」」
アイちゃん達も、僕の注意を聞いてくれた。
暫くは屋敷の警備も増やし、万が一に対して警戒しておく事に事はないはずだ。
早く普通の日常が戻れば良いなと、そう思うばかりだった。
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