第二百四十四話 今まで見た中で一番の豪華な屋敷
「「離せ、離しやがれーれ」」
庭からオオクズ伯爵と嫡男の叫び声が上がったが、僕達は特に気にしない。
ここからは、みんなで手分けして作業をしないと。
「スラちゃん、アクアちゃん、リーフちゃんは、屋敷に悪い人がいないか、兵と一緒に調べてね」
スラちゃん達は了解だと、顔見知りの兵の肩にピョーンと飛び乗った。
兵も、ここは任せろととても張り切っていた。
シロちゃん達が引き続き執務室で捜索をしているのだが、その執務室から複数の人物が拘束されながら運ばれてきた。
「私を離しなさい! 誰だと思っているのよ」
「不敬よ。この対応は不敬よ!」
連行されていく人の中にはオオクズ伯爵夫人と嫡男夫人と思われる人物がいた。
旦那よりも体が大きいので、連行していく兵もかなり一苦労だ。
しかも、香水の匂いがぷんぷんとしていて気持ち悪くなりそうだ。
一瞬、念動で運んだ方が良いかもと思ったりもしたり。
「しかし、今の時点でもう動かぬ証拠が多数あります。おや、これは架空取引の伝票ですな」
「はあ、久々に大捕物になりそうだ。頭が痛いぞ」
さっきスラちゃんがアイテムボックスから取り出した伝票の数々を、エレンお祖父様は頭が痛そうに手に取っていた。
ルーカス様も思わず溜息をついていたが、この間にも続々と証拠品が運ばれてきた。
「えっと、シロちゃん達は普通に取引していた伝票は除いているそうです。悪意のある伝票は、その伝票に僅かだけど悪意が残っているから直ぐに分かるそうです」
「奴らの下心なら、伝票にも乗り移っていそうだな。しかし、余りにも不正な伝票が多い。こりゃ、調べるのも一苦労だ」
執務室からドンドンと証拠品を詰めた木箱が運ばれており、玄関ホールに出されたものも木箱に詰められて運ばれていた。
ヘルナンデス様もその量に驚いていたが、執務室の中に入るともっと凄かった。
ガチャ。
「うわあ、これが執務室ですか? まるで博物館みたいに、たくさんの調度品や豪華な服が置いてありますよ!」
「どれだけ贅沢をしていたのか、想像に難くないな。こんな馬鹿な事をするのが、オオクズ伯爵にとって一つのステータスだったのだろう」
金細工や豪華な壺、金や銀の刺繍が施された豪華な服がところ狭しと飾られており、宝石や金のネックレスや指輪などもあった。
ヘルナンデス様も、またまた溜息をつきながら豪華な宝石があしらわれた指輪を手にした。
いったい、この部屋にある豪華なものだけで幾らするのだろうか。
贅沢をする事でしか、自身の虚栄心を満たすことができなかったのだろう。
勿論、豪華なものも全て押収された。
すると、今度は使用人の捕縛を手伝っていたクリスが執務室に顔を見せた。
「ケン、寝室も凄いことになっているよ。しかも、専用の宝石室ってのもあったよ」
専用の宝石室って、僕も初めて聞いたんだけど。
勿論、ヘルナンデス様も初めて聞いたらしい。
ルーカス様が宝石室と呼ばれる部屋にいるそうだが、思わず閉口してしまったらしい。
更に、使用人も次々と捕まっていき、最近採用された使用人のみ残っていた。
こうして夕方まで捜索は続き、大量の証拠品が押収されたのだった。
「ケンもクリスも、明日は大変だな。学園が終わったら、押収物の分析の手伝いだ」
「「えっ……」」
僕とクリスは、ルーカス様にそう言われ思わずキョトンとしてしまった。
そして、思わず木箱が大量に積まれた馬車を見た。
えっ、あれを調べるの?
僕とクリスは一瞬顔を見合わせ、そしてガクッとしてしまったのだった。
「「「ただいまー」」」
「「「「おかえりー!」」」」
僕とクリスは、エレンお祖父様と共にノーム準男爵家の屋敷に向かった。
ルートちゃんやアイちゃんたちが元気よく出迎えてくれ、そのまま僕達に抱きついた。
お昼寝も一緒にしたらしく、元気いっぱいだ。
「あのね、夕食一緒に食べようだって」
「お肉だよー!」
しかも、この後の予定まで決まっていた。
とはいえ好意を無碍にできないし、何よりもちびっ子達がとても楽しみにしていた。
僕達は、ちびっ子達に手を引かれて食堂へと向かったのだった。
「まさか、ここまで大捕物になるとは思わなかった。どれだけ罪が膨れ上がるか、見当もつかん」
「「「「もぐもぐもぐ」」」」
お肉を頬張りながら、エレンお祖父様も流石に愚痴をこぼしていた。
横領関係の強制捜査だったのに、まさか架空取引やならず者との関わり、更に犯罪組織との繋がりまで出てきたのだ。
これでもかと犯罪が積み上がったので、罪状もとても大きくなった。
「しかし、流石スラちゃん達というべきだろう。スラちゃん達の機動力があったからこそ、今回の作戦も上手くいった」
「「「「もぐもぐもぐ」」」」
エレンお祖父様に褒められ、スラちゃん達は上機嫌だ。
ヘルナンデス様とルーカス様もスラちゃん達を褒めていたし、執務室制圧後も色々な働きをした。
僕とクリスよりも活躍したのかもしれない。
そんなスラちゃん達にも、美味しいご褒美が出ていた。
「「「「もぐもぐもぐ、おかわりー!」」」」
「あら、いっぱい食べるのよ」
ルートちゃん達は、お肉を完食していますね。
フリージアお祖母様も、小さい子の満面の笑みに思わずニッコリです。
「全ての取り調べが終わるのは一ヶ月以上先だろう。もしかしたら、孫が生まれる方が先になるかもな」
「「「「たのしみー!」」」」
ルートちゃんもお兄ちゃんになるととても張り切っていたし、アイちゃん達も新しいお友達に会えるのを楽しみにしていた。
今日押収した証拠品の量を考えると、一ヶ月では分析できないのではと思ってしまった。
更に、オオクズ伯爵と繋がりのある貴族も発覚したし、年内に捜索が終結すればいいレベルだ。
この分だと、僕とクリスも暫く捜査協力する事になりそうですね。
更に、今回事件対応を優先するために明日予定されていた災害復旧の謁見も延期になってしまったのだった。
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