第二百三十六話 遂に山道が復旧
スラちゃんは、アクアちゃんやピーちゃんから昨夜の様子を聞いていた。
サンダーホークの三羽も、周囲を確認したりととてもよく頑張っていた。
その間に、僕は手早く坑夫の体調確認を行った。
馬も数頭いたから、ついでに確認しよう。
「うん、全員元気ですね。アクアちゃん達の料理はどうでしたか?」
「温かいスープが食べられるだけありがてーぞ。なんせ、備蓄は乾パンと干し肉しかないんだからな」
乾パンと干し肉だけじゃ、直ぐにお腹が空きそうだ。
でも、保存食なのだから仕方ないのかもしれない。
通信用魔導具で、坑夫の健康状態を連絡してっと。
「じゃあ、僕達は土砂崩れ現場の復旧作業を始めますね」
「俺達も行くぞ。山道は、知り尽くしているからな」
数人の坑夫がついてきてくれる事になり、僕、スラちゃん、トラちゃん、坑夫で一番近くの土砂崩れ現場に向かった。
アクアちゃんとリーフちゃんは、昼食の準備をしようと張り切っていた。
「最初はここですね。山道の両側にある崖が崩れていますね……」
「こりゃ、派手に崩れているな。人力なら、どのくらいの時間と人手がかかることやら」
ちょうど谷みたいな構造になっており、見事に大量の土砂が道を塞いでいた。
両側の崖が高さ十メートル幅五十メートルにわたって崩れている。
坑夫たちは、目の前の状況に空笑いする程だ。
僕とスラちゃんは、軽く打ち合わせをしてから早速作業を始めた。
「先ずは、敢えて崩れそうな所を崩して、作業に邪魔な土砂を端に寄せてっと」
シュイン、ズゴゴゴゴ。
基本的に、やっている作業は昨日の土砂崩れ現場で行った復旧作業と一緒だ。
再度の土砂崩れが起きないように、慎重かつ手早く作業を行った。
「「「すげー……」」」
土のうみたいに圧縮した土のブロックが僕の念動で積み上がる様子に、ついてきた坑夫達は言葉を失っていた。
僕とスラちゃんは、昨日の作業の経験を生かして更に改善していった。
シュッ、シュパパ!
ドサッ……
「おい、巨大な岩石が一瞬にして粉々になったぞ!」
「【蒼の治癒師】は、剣の達人なのか……」
クリスの真似をして、僕も魔法剣で岩石を粉々にした。
ついでに、山道も綺麗に補修した。
「よしっ、これで完成です。じゃあ、次の現場に向かいましょう」
「「「あ、ああ……」」」
四十分かからずに作業を終え、僕達は次の現場に向かった。
次の現場は土砂崩れが片側だけだったので、サクッと三十分程で終えることができた。
結果的に、昼食までに三カ所の土砂崩れ現場を修復するコトができたのだった。
「【蒼の治癒師】の噂は、実はほんの一部でしかなかったぞ……」
「回復魔法以外にも、とんでもない魔法を使ったぞ。宮廷魔導師って、物凄いのだと改めて知ったぞ」
「「「「「そんなにか!?」」」」」
僕達は、お昼前に鉱山の入り口まで戻った。
一緒に着いてきた坑夫が、信じれないないものを見たと仲間に熱く語っていた。
僕はというと、アクアちゃんとリーフちゃんの料理を手伝っていた。
ジュージュー。
みんなで作っていたのは惣菜パンもどきで、濃いめの味付けの野菜炒めをパンに挟みます。
簡単なので、坑夫も手伝ってくれた。
スープも作って、昼食タイムの開始だ。
「簡単な料理なのに、すげーウメーぞ!」
「味付けの濃さがよく分かっているな」
「酒が飲みたくなる味だな」
僕も惣菜パンを坑夫に配布しながら味わっているが、これは中々美味しい。
勿論、ピーちゃんやトラちゃん達には美味しいお肉をあげた。
特に、トラちゃんは僕を乗せて動いたりと大活躍だった。
こうして休憩していると、山道の麓側から何やら音が聞こえてきた。
「おっ、馬車が見えたぞ!」
一台の馬車が、鉱山入り口に姿を現した。
よく見ると、これは軍の馬車だ。
ガチャ。
「ケン、こっちもだいたい終わったよ!」
馬車から真っ先にクリスが姿を現し、更にモーニング様やナッシュさんも姿を見せた。
どうやら、麓側の土砂崩れも復旧したみたいだ。
「モーニング様、お疲れ様です。山道とかは大丈夫でしたか?」
「軍に確認させておる。儂が山道も直したので、多分大丈夫じゃろう」
ということは、軍の確認が終われば坑夫達も麓に戻ることができる。
坑夫も、思わず安堵の表情を見せていた。
「鉱山は一応安全確認できておるが、軍も入って再度安全確認をしないとならぬ。じゃが、数日中に採掘再開できるじゃろうな」
モーニング様は、鉱山の入り口を眺めながら見通しを話していた。
すると、坑夫が少し不思議そうにしていた。
「何だか、随分と詳しく話すじいさんだな。まあ、軍と一緒に来たのだから只者ではなさそうだな」
そっか、この場にモーニング様がいて、更に詳しく話をしているから不思議に思っているんだ。
「僕と同じ宮廷魔導師のモーニング様です。ブレッド様の奥さんである、マリアーナ様の祖父でもあります」
「「「「「はあ?」」」」」
僕がモーニング様の説明をすると、坑夫はモーニング様の顔を見たまま固まってしまった。
どちらかというと、宮廷魔導師よりもマリアーナ様のお祖父様という方に驚いているみたいだ。
「ふぉふぉふぉ、そういう事じゃ。ひ孫が生まれるから、様子を見に来る途中じゃったのだよ。可愛い孫のためなら、おじいちゃんは頑張るというものじゃ」
対して、モーニング様はとても朗らかに話をしていた。
うん、坑夫はまだ衝撃過ぎて事実を受け入れられないみたいだ。
「さて、儂も惣菜パンを食べるとするか。魔法をつかって、随分と腹が減っておるからのう」
「私もお腹ペコペコ。でも、念動の良い練習になったよ」
モーニング様は、まるでクリスのことを孫のように扱っていた。
ナッシュさん達も、苦笑しながら昼食を食べ始めたのだった。
読んでいただき、誠にありがとうございます
ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
作者のモチベーションも上がります!




