第二百三十五話 まさかの助っ人登場
翌朝、僕達は早くから起きて準備を整えていた。
もう少しすると、追加部隊も到着するはずだ。
ついでなので、追加部隊と合流してから今日の作業現場に向かう事になった。
その追加部隊に、とんでもない助っ人が同行していた。
「ふぉふぉふぉ。ケンとクリスよ、頑張っているみたいじゃのう」
「あっ、モーニング様だ!」
まさかの宮廷魔導師様の登場に、僕達は一瞬固まってしまった。
クリスとスラちゃんは盛り上がっているが、どうしてモーニング様がシェイク子爵領にやってきたのだろうか。
すると、モーニング様はとんでもない事を教えてくれた。
「ブレッドは、儂の孫娘の婿じゃ。そろそろひ孫が生まれそうじゃから、たまたま様子を見に行く途中じゃったのだよ」
「えー!?」
あのマリアーナ様の祖父がモーニング様だったなんて。
クリスだけでなく、多くの人が驚きの表情をしていた。
僕はというと、未だに頭の中の処理が追いついていなかった。
うーん、背の低さくらいしか二人の共通点が思い浮かばないよ。
「では、行くとするか」
「はい!」
そんな事を思っていたら、いつの間にか出発準備が整っていた。
僕も、急いで馬車に乗り込んだ。
そして、シェイク子爵家の屋敷に着くと、この人もかなりびっくりしていた。
「お、お祖父様!? こちらに来るのは、もう少し後だと聞いておりましたわ」
マリアーナ様は、モーニング様を見るなり信じられないという表情をしていた。
どうも、出産後にシェイク子爵家にやってくる予定だったという。
「妻に様子を見てこいと言われてな。ちょうど、休暇のタイミングじゃったからこっちに向かったのじゃよ」
モーニング様の奥様って、かなりパワフルな人なんだ。
そして、本当にたまたまシェイク子爵領に向かう最中に豪雨災害の話を聞いたんだ。
「ケンもいるし、儂もいる。領内の事は任せると良いぞ」
「お祖父様、本当に申し訳ありません」
「ほほほ、生まれてくるひ孫のために、おじいちゃんが頑張らんとな」
頭を下げたマリアーナ様に、モーニング様は朗らかに笑っていた。
勿論、ブラッド様もモーニング様に深々と頭を下げた。
では、準備をして早速現場に向かいましょう。
「うむ、綺麗に補修をしておる。これなら、合格ができるのう。後で、儂が手直ししておこう」
河川の改修現場を見て、土魔法使いであるモーニング様から合格点を貰った。
何気に、ちょっと嬉しかったりする。
そのまま、僕達を乗せた馬車は山道の入口まで進んだ。
「ここから、手分けして作業をする予定です。僕は、トラちゃんに乗って鉱山の方に向かいます。坑夫への治療をしつつ、土砂崩れ現場の補修をします」
「うむ、それでよいじゃろう。こちらには儂がおるから、ケンはスラちゃんも連れて行くとよいのじゃ」
モーニング様と役割分担の相談をしていくが、クリスとカレーちゃんは予定通り麓から対応する事になった。
ナッシュさん達とも話をして、通信用魔導具で偉い人達にも確認をした。
「では、すみませんが宜しくお願いします」
「ギャウ!」
「ケン、気をつけてね」
僕は、トラちゃんに乗って一気に山道を登り始めた。
トラちゃんは今まで何もできなかったので、かなりやる気満々だ。
意外と身体能力強化魔法を使えばいけたりもするのかなと思ったけど、ここはトラちゃんにお任せしよう。
「トラちゃん、大丈夫? 疲れていない?」
「ギャウ!」
トラちゃんは、元気いっぱいに山道を駆けて行った。
時々スラちゃんがトラちゃんに回復魔法をかけ、水分補給もした。
基本的に、トラちゃんは体を動かすのが大好きみたいだ。
「あっ、鉱山の入口が見えてきたよ!」
「ガウッ!」
麓を出発して一時間程で、目的地である鉱山の入口に到着した。
たまたまトラちゃんに乗った僕の姿を見た坑夫が、ポカーンとしたまま固まってしまった。
もしかして、僕が突然姿を現したからかな?
「ふ、フォレストタイガーに人が乗っている!」
「グルッ?」
あっ、僕がトラちゃんに乗っているからびっくりしちゃったんだ。
よく考えると、フォレストタイガーはとても凶暴な性格って言われている。
でも、トラちゃんはとても大人しい性格だ。
「宮廷魔導師のケンです。皆さんの救出と、山道の復旧に来ました」
「えっ? も、もしかして、あのとんでもないスライムが説明していた【蒼の治癒師】じゃ!?」
自己紹介をすると、坑夫はまたまたびっくりしてしまった。
そして、急いで鉱山入り口にある建物へと向かった。
「おーい、【蒼の治癒師】が来たぞ!」
「「「「「なに!?」」」」」
おお、建物の中からぞろぞろと人が出てきた。
よく見ると、ピーちゃんとシロちゃんも姿を現していた。
「あの、この後の作業の説明をします。えっと、体調は大丈夫ですか?」
「「「「「おう!」」」」」
坑夫は一日動けなかったが、元気いっぱいだった。
シロちゃんの治療に加えて、アクアちゃんとリーフちゃんの炊き出しもあった。
生活魔法で服や体を綺麗にしたのもあり、いつもよりも元気になったという。
「まず、僕が皆さんの体調を改めて確認します。その後、鉱山入り口から麓に向かう形で土砂崩れの復旧を行います。麓から鉱山入り口に向かう形で、別の宮廷魔導師と軍が土砂崩れの復旧を行います」
「「「「「うおー! すげー!」」」」」
僕の説明を聞き、坑夫は一斉に歓声を上げた。
助かるというのと、作業スピードがとんでもなく速いという二つからだという。
すると、坑夫が別の心配をした。
「町から鉱山にくる間に、でっかい川があるぞ。そいつも氾濫したんじゃねーか?」
おお、流石地元に詳しい人達だ。
他の坑夫も、ウンウンと頷いていた。
「確かに、川が氾濫して橋も流されました。でも、僕の魔法で護岸の復旧をして、仮設の橋をつけています」
「「「「「すげー!」」」」」
坑夫達のテンションが凄いことになっているが、それだけ気持ち的にも大変だったのだろう。
では、通信用魔導具で鉱山入り口について坑夫の健康チェックを始めると連絡をしないと。
ここから、とても忙しくなるぞ。
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