第二百三十七話 マリアーナ様が陣痛?
昼食を食べ終えたら、さっそく下山を開始することに。
麓から馬車便がやってきて、更にシェイク子爵領兵も警備の為にやってきた。
坑夫も、ようやく町に戻れると安堵の表情になった。
やはり、鉱山に残っていたのは心身に負担がかかっていたはずだ。
撤収準備も完了し、僕たちは急いで、しかし安全に町へと戻って行った。
「はあ、町が見え……なんじゃこりゃ?」
「とんでもない橋ができているぞ!?」
町の前にある川にさしかかったタイミングで、坑夫たちは川にかかる大きな橋に度肝を抜かれていました。
とっても頑丈な作りなので、大人数が乗った馬車でも大丈夫。
それに、町の人ももう普通に橋を渡っていた。
坑夫を乗せた馬車は、そのまま鉱山を管理している商会へと向かった。
全員馬車から降りたが、気が緩んだのもあり坑夫は一気に疲労の色が濃くなった。
「皆、無事で本当に良かった。今日はゆっくりと休んでくれ。明日以降坑道内の確認を行い、問題がなければ順次再開する予定だ」
「「「「「おう」」」」」
ブレッド様が坑夫を出迎えて、明日以降の予定を伝えた。
先ずは、しっかりと体を休めてもらわないと。
僕達も、シェイク子爵家の屋敷へと向かった。
「はあ、これで何とかなったね。みんな元気で、本当に良かったね」
「グルル」
屋敷に着くと、クリスはトラちゃんとお互いの苦労を労っていた。
まだ復旧作業が必要な場所があるけど、明日以降頑張ってやろう。
こうして、無事に屋敷に到着したタイミングで別のイベントが発生したのだ。
「お、お館様、奥様の陣痛が始まりました」
「な、なに!?」
屋敷の中に入ると、使用人が慌てた様子でジェイド様に報告したのです。
ブレッド様は大層慌てていたが、この人は特に慌てることなく落ち着いていました。
「ジェイドよ、慌てる事はないのじゃ。初産は時間がかかるし、ここには凄腕の治癒師がいるのじゃ。心配は無用じゃ」
モーニング様は、ポンポンと不安そうなジェイド様の肩を叩いた。
そして、スラちゃん、シロちゃんも出産のサポートなら任せろと意気込んでいた。
スラちゃんたちは、さっそく出産用の部屋に移動した。
「わあ、いよいよ赤ちゃんが生まれるんだね。とっても楽しみだね」
「ギャウ」
クリスとトラちゃんは、マリアーナ様の赤ちゃんが生まれると知り大盛り上がりだ。
ピーちゃん達も、とっても嬉しそうにお互い話し合っていた。
「では、儂らは軍の基地に戻るとするか。明日朝、元気な赤ん坊が生まれるのを楽しみにしておるぞ」
「モーニング様、本当に色々とありがとうございました。明日も、よろしくお願いします」
ブレッド様は、モーニング様に深々と頭を下げた。
モーニング様は、屋敷に自身がいて出産対応が疎かにならないように配慮したんだ。
スラちゃん達が残るのなら、きっと治療は大丈夫なはずだ。
僕達も、馬車に乗ってシェイク子爵家から軍の施設へと向かった。
「ふう、取り敢えず今日一日でどうにかなりましたね」
「ケン、一日でどうにかする方がおかしいんだぞ」
僕の話を聞いたナッシュさんは思わず苦笑しているが、早く済ませた方が絶対に良いよね。
鉱山内の確認は専門家に任せ、僕たちは他の現場の復旧に注力すれば良いはずだ。
「ピーちゃん達が空から偵察してくれましたが、山地の中にはまだまだ土砂崩れ現場があるそうです。明日は、引き続きトラちゃんに乗って色々な場所の現場の修復を行います」
「ケンがそう動くのなら、儂らは見える範囲で対応すればよいじゃろう」
僕の話を聞き、モーニング様はうんうんと頷いていた。
カレーちゃんもいるし、きっと上手く現場復旧が進むはずだ。
「クリスも、一生懸命頑張るのじゃぞ」
「はい!」
モーニング様は、こちらもやる気満々のクリスに声をかけた。
クリスもカレーちゃんも、頑張ろうと気合が入っていた。
これで明日の確認は終わり、僕たちも割り当てられた部屋へと戻った。
「はあ、赤ちゃんっていいなあ。どんな赤ちゃんが生まれるのかな?」
「ギャウ」
部屋に入ると、クリスはトラちゃんと共に再び赤ちゃんに早く会いたいモードになった。
僕の周りの人はみんなキチンと赤ちゃんが生まれたし、元気よく成長していた。
マリアーナ様の赤ちゃんも、元気よく生まれて欲しいものだ。
すると、クリスはムフフとしながら僕に抱きついてきた。
「むふふふ、私も早くケンとの赤ちゃんが欲しいなあ」
何というか、クリスは相変わらず積極的だ。
でも、流石に今はこういう状況なのでそういう行為は駄目ですよ。
トラちゃんも、おおーって目でクリスを見ないの。
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