第二百二十七話 初めて授業を行う日
一日ゆっくりして英気を養い、今日からいよいよ学園の授業が始まる。
僕とクリスは、アイちゃん達との毎朝の訓練後に急いで身支度を整えた。
僕はスラちゃんと一緒だが、クリスはシロちゃんと一緒に行く事になった。
これは、学園生が万が一怪我をした際に治療出来るようにしたためだ。
僕とクリスが学園に行かない日は、交代でシロちゃんとレモンちゃんがピーちゃんに乗って学園まで飛んで行くという。
これは、シンシアお姉様の赤ちゃんのオルテガちゃんが順調に育っているのもあった。
「じゃあ、行ってくるね。みんなも勉強を頑張ってね」
「「「いってらっしゃーい!」」」
アイちゃん達に見送られ、僕達を乗せた馬車は学園へと進み始めた。
とはいえ、学園は僕の屋敷のご近所なので五分もあれば到着した。
学園に着くと、直ぐに職員室へと向かった。
「「おはようございます」」
「ピィ」
「うむ、二人ともおはよう」
職員室に到着すると、イアン様が声をかけてくれた。
挨拶をして席につき、これからの予定を確認する。
あっ、そうだ。
イアン様に、この内容を確認してもらおう。
「イアン様、昨日纏めた内容なのですが……」
「どれどれ? うむ、よく纏まっておる。勉強が苦痛にならないように楽しく進める方法は、我々も常日頃研究しておる。ケンは、もうそういう事を考えているのか」
イアン様は、昨日スラちゃんと一緒にあれこれ悩んで纏めた内容を褒めてくれた。
アカデミーの人も、嫌々勉強しない方がいいと思っていたんだ。
方向性が間違っていなくて良かった。
その後、専任先生のミッシェル先生と打ち合わせを行った。
ミッシェル先生はスラリとした水色のロングヘアに眼鏡が良く似合っていて、アカデミで研究しつつ家庭教師として貴族の子弟に勉強を教えていた。
いわば、勉強のプロフェッショナルだ。
「ケン様は、学園生の事をよく思っておりますね。流石、【蒼の治癒師】様と言われるだけあります」
ミッシェル先生も、僕とスラちゃんが纏めた内容を褒めてくれた。
では、そろそろ時間なので教室に向かいましょう。
「じゃあ、クリス後でね」
「ケンも頑張ってね」
「ピィ」
僕は、クリス達に手を振ってミッシェル先生と共に職員室を後にした。
すると、ミッシェル先生はこんな事を言ってきたのだ。
「ケン様とクリス様は、本当に仲が良いですね。私は、家庭教師をしていたという
性格上多くの貴族の夫婦を見てきました。中には、夫婦間で会話がないという方もおりました」
ミッシェル先生の言うことも、僕は良くわかった。
恐らくだけど、僕の父親と母親も似たような状態だったと思われたからだ。
でも、僕の周囲にいる家族はみんな仲が良いし、僕もクリスと仲良く暮らしたいと思っていた。
ガチャ。
そんな事を話しながら、僕とミッシェル先生は教室に入った。
既に学園生の半分以上が来ており、お互いに仲良く話をしていた。
「先生、おはようございます」
「ケン先生、ミッシェル先生、おはようございます」
「皆さん、おはようございます」
学園生が、僕とミッシェル先生に挨拶をしてきた。
ブラッドリーさんも席についていて、僕に挨拶をしてくれた。
スラちゃんも、学園生に触手をふりふりとしていた。
「ミッシェル先生、今日は配布物はないですよね?」
「ええ、何もありません」
教員用の席で、あれこれ確認をしていく。
スラちゃんも、僕と一緒に確認作業を続けていた。
すると、学園生がこんな事を質問してきた。
「あの、ケン先生と一緒にいるスライムは、先生達が話をしている内容を理解しているんですか?」
どうやら、学園生はスラちゃんを普通のスライムだと思っているみたいだ。
確かに、ペットみたいに一緒にいるだけだと思っても仕方ない。
「スラちゃんは、とっても頭が良いですよ。今では、上級官僚試験に合格できるだけの知能があります。あと、魔法もとても上手で、剣もとても強いです」
「「「「「えっ?」」」」」
おお、僕が簡単に説明すると、質問してきた学園生だけでなく、ほぼクラス全員が信じられないといった表情に変わってしまった。
ミッシェル先生はスラちゃんの事を知っているから、学園生の反応を見て思わず苦笑いしていた。
「あの、父上からケン先生はとんでもないスライムを連れていると聞いた事があります。帝国との戦いでケン先生と共に物凄い戦果を上げていて、人間なら間違いなく爵位を貰っていたらしいです」
「「「「「えっ!?」」」」」
ブラッドリーさんの発言を聞き、学園生は更に驚きの声を上げた。
当のスラちゃんは、ちょっと照れている反応を見せていた。
国境での戦いでは、スラちゃんはとっても大きな成果を上げた。
個人的には、クリスとナッシュさんと一緒に国境に行った時が、スラちゃんが一番活躍したのではと思った。
「スラちゃんは、筆談ならお話ができますよ。質問したい事があれば、聞いてもいいですよ」
「「「「「えっ、いいんですか?」」」」」
あっ……
軽い気持ちで話をしたら、クラスの学園生の殆どがスラちゃんの所に行ってしまった。
「あの、ケン先生って何が好きなんですか?」
「ケン先生とクリス先生って、どうやって出会ったんですか?」
「ケン先生とクリス先生はラブラブなんですか?」
そして、何故か質問内容は僕に関する事ばかりだった。
スラちゃんも一瞬戸惑ったが、律儀に質問に答えていた。
というか、黒板にカリカリと書いていた。
「へえ、そうなんですね。確かに、ケン先生とクリス先生はとても仲が良いですよね」
ミッシェル先生まで、スラちゃんが黒板に書いている内容が気になっていた。
そして、ホームルームまでの間、僕の事が勝手に披露されていったのだった。
読んでいただき、誠にありがとうございます
ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
作者のモチベーションも上がります!




