第二百二十六話 平和な安息日の午前中
週明けから学園の授業が始まるので、安息日の今日は午前中から自室でカリキュラムの準備をしていた。
といっても、やる事は纏めていたので復習がメインだ。
「えーっと、これがあれであれがこれで……」
初日はオリエンテーションを予定しており、僕も自己紹介を行う。
それと、年間予定を話して外部研修先の話をしてっと……
スラちゃんも、ちょいちょいとアドバイスをしてくれた。
「じゃあ、元気よく素振りをするよ」
「「「はい!」」」
庭ではクリスがアイちゃん達に木剣の扱い方を教えており、窓から僕の部屋にも元気の良い声が聞こえてきた。
クリスは学園でも剣を教えるし、小さな子に教えるのも良い勉強になると言っていた。
アイちゃん達も木剣を張り切って振っているが、やはり楽しいからこそ上達も早かった。
勉強を教えるのも、苦痛ばかりじゃ駄目だよね。
その辺りも話そうと、資料に書き込んでいった。
「ふう、ここまでやれば大丈夫かな」
一時間ほど見直しをし、スラちゃんも大丈夫だとふりふりとしていた。
僕も、うーんと背を伸ばしてから荷物を魔法袋にしまった。
クリス達はどうしているかなと思い、僕はスラちゃんと共に部屋を出た。
「「「あっ、いたー!」」」
「わっ、と……」
すると、玄関ホールでアイちゃん達が勢いよく僕に抱きついてきた。
どうやら、三人は僕を探していたみたいだ。
「チビスライムとピーちゃんが、魔法の訓練をしているの」
「そうしたら、猫ちゃんもやってきたんだよ」
「ネコちゃん!」
僕の屋敷には、いつの間にか実家にもいなかった猫型の魔物のワイルドキャットが住み着いていた。
魔物といっても、ほぼ普通の猫と変わらない。
屋敷でご飯を貰っているので、屋敷に住み着いている鳥などを襲う事はなかった。
魔物だし、もしかしたら魔法が使えてもおかしくないかもしれない。
「「「こっちだよ!」」」
三人に手を引かれながら、僕は屋敷から庭へと向かった。
すると、庭の魔法訓練スペースに新たな参加者がいたのだ。
シュイン、パシッ。
「ピィ」
「「ニャッ」」
黒猫とキジトラの二匹のワイルドキャットが、チビスライムとピーちゃんから魔法の使い方を教えてもらっていた。
二匹とも風魔法使いみたいだが、中々上手にバレット系魔法を的に放っていた。
ふりふり。
「えっ、屋敷にいるのだから、不審者対策に万が一に備えてキチンと魔法を教えておいた方がいい?」
スラちゃん、ワイルドキャットに魔法以外に余計な事を教えていないよね。
屋敷の者を守る為に不審者には容赦しなくていいって、手加減をする事を教えて下さい。
「「「チビちゃーん!」」」
「「「ミィ」」」
そして、庭にある大きな木の下では、ワイルドキャットの赤ちゃんをアイちゃん達が呼んでいた。
黒、キジトラ、三毛猫、サビ柄の四匹で、黒のちびネコは木の下で座っているクリスが抱いていた。
なんというか、ちびネコを抱くクリスの顔がデレデレになっているぞ。
ふりふり。
「「「ミィ」」」
ちびネコの側にはお世話上手なアクアちゃんがいて、色々な事を教えていた。
とはいえまだ赤ちゃん猫だ、体を大きくするのが優先だろう。
「はあ、可愛いなあ。可愛いなあ」
「すー」
クリスは、いつの間にか寝てしまった黒のちびネコに更にデレデレになっていた。
あどけない寝顔は、とても可愛らしいものがある。
僕も、クリスの隣に腰掛けた。
「「「ミィ」」」
「「「あー、また行っちゃった!」」」
すると、ちびネコ三匹があぐらをかいている僕の足の上によじよじとよじ登ってきたのだ。
ちびネコを僕に取られ、アイちゃん達はかなり悔しそうな声を上げた。
というのも、何故か僕はちびネコに懐かれていて、良く僕の側に寄っていたからだ。
アイちゃん達もちびネコに懐かれてはいたが、若干構いすぎな気もした。
「「「すー……」」」
三匹のちびネコは、僕の足の上であっという間に寝てしまった。
今がチャンスと言わんばかりに、アイちゃん達はそれぞれちびネコを抱っこした。
「「「わあっ!」」」
「「「すー」」」
アイちゃん達のご満悦な笑顔に、僕もホッとした。
因みに、クリスの肩にはリスも来ていて、寝ている黒柄のちびネコを興味深そうに見ていた。
何だか、とってもほのぼのする光景ですね。
「ピィ」
「「ニャー」」
そして、僕の膝の上には魔法の訓練を終えたチビスライム、ピーちゃん、ワイルドキャットがいつの間にか大集合していた。
仲良く密集しており、そのうちみんな寝始めてしまった。
スラちゃんだけは、僕の頭の上から動かないぞという鉄の意志を示していた。
「「「「すー、すー」」」」
すると、今度はクリス達もちびネコを抱きしめたまま寝てしまったのだ。
今日は気温もちょうど良いし、風も穏やかでとても気持ちが良い。
ゆっくりのんびりするには、ちょうどいいのかもしれない。
僕も、集まっているみんなを撫でながらのんびりとしていたのだった。
「あら、こちらにいたのですね。そろそろ昼食の時間ですよ」
ガバッ。
「「「「お昼!」」」」
「ピィ!」
「「ニャ!」」
「「「「ミィ!」」」」
そして、ハンナおばさんが僕達に声をかけると、全員が一斉に起きた。
一糸乱れぬ反応に、僕は思わずクスリとしてしまったのだった。
こうして、ほのぼのとした午前中は終わりを告げ、みんなは張り切って食堂へと向かったのだった。
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