第二百二十五話 無事に入園式が終了です
順に学園生が屋敷の中に入り、順に席に案内された。
クリスとスラちゃんも案内役として動いていたが、僕は司会席で内容の確認をしていた。
すると、予想外の元気の良い声が聞こえてきた。
「「「おはよー!」」」
「ウォン」
なんと、王家のちびっ子がユキちゃんと共に元気よく姿を現した。
しかも、式典で着るようなキチンとした服装だ。
ちびっ子達が来るとは聞いていなかったので、ここは元々来賓として来る予定だった人に聞いてみよう。
「アーサー様、おはようございます。あの、みんなも来賓なのですか?」
「ケン君、おはよう。難しいものではないし、経験を積むには良いと思ったのだよ」
アーサー様も、勿論キチンとした服装で姿を見せた。
あっ、そうだ。
あの事を、アーサー様に言わないと。
「アーサー様、酷いですよ。僕が学園長補佐だなんて、何で黙っていたんですか……」
「ははは、ケン君も言う様になったな。とはいえ、元は父上もケン君を学園補佐にと言っていた。そこに、イアンからの話があったから良いタイミングだと思ったのだよ」
おお、まさか黒幕が陛下だったとは。
後で、陛下にも文句を言わないと。
ふりふりふり。
「「「頑張るよー!」」」
「ウォン」
僕とアーサー様の横では、ちびっ子達がスラちゃんに元気の良い返事をしていた。
どうやらスラちゃんは、挨拶を頑張ろうとちびっ子達に言っていたみたいだ。
折角なのだから、ちびっ子達にも頑張ってもらいましょう。
では、全員揃ったところで早速入園式を始めましょう。
「それでは、これより入園式を始めます。最初に、学園長先生より祝辞を頂戴いたします」
僕のアナウンスで、イアン様が演台へと向かった。
そして、真剣な表情で学園生に話し始めた。
「皆のもの、入園おめでとう。皆は、いわば学園の第一期生となる。長い王国の歴史に、その名を刻むものとなる。学園は以前よりも設置構想があったが、帝国との講和会議の際に【蒼の治癒師】様が教育の重要性を訴えて設置が加速した。ある意味、【蒼の治癒師】が学園の創設の一員と言えよう」
イアン様、その話はここでしなくてもいいと思いますよ。
学園生は尊敬の眼差しで僕を見ているが、あの時は色々な事が重なったんですよ。
だから、アリアちゃん達も凄いって目で見なくて良いですよ。
「王国がより良く発展する為にも、皆の力が必要じゃ。様々な事を学び、大きく成長する事を願う」
イアン様は、ササッと挨拶を終えた。
前世の記憶だと、だいたい偉い人達の挨拶は長いと思っていた。
そういえば、陛下も年頭の挨拶などは短めだった気がする。
「続きまして、来賓よりご祝辞を頂戴いたします」
「「「はい!」」」
僕の合図で、ちびっ子達は元気よく立ち上がった。
どうやら、先にちびっ子達がお祝いを言うみたいだ。
「「「おめでとうございます!」」」
「ウォン」
ちびっ子達はユキちゃんも一緒に大きな声でお祝いを言い、学園生も思わずほんわかとしていた。
では、続いてアーサー様の挨拶なんだけど……
あれ、もしかして挨拶なし?
と思ったら、アーサー様はニコリとちびっ子達とユキちゃんの頭を撫でながら前に出た。
「諸君、入園おめでとう。国を代表し、挨拶をする。とはいえ、大事なことは学園長が話をした。ここには、普段なら学びを願おうとも叶わない優秀な教師がいる。大いに学び、大いに成長する事を期待する」
アーサー様も、とても短くハッキリとした話だった。
それでも、学園生の心にはきっと届いたはずだ。
ちなみに、今回は新入生代表挨拶とかはなかった。
「それでは、これより教職員の紹介を行います。教職員は前に並んで下さい」
最後の式次第になり、教師陣が前に並んだ。
勿論クリスも前に並び、足元にはスラちゃんもちょこんといた。
「クリス・アスターです。宜しくお願いします」
教師が順に一歩前に出て挨拶をし、クリスもごく普通に頭を下げた。
学園生のみならず、ちびっ子達からも大きな拍手が起きた。
「最後に、ケン・アスターです。学園長補佐も仰せつかっております。よろしくお願いします」
「「「わー!」」」
学園生に負けじと、ちびっ子達も大きな拍手をした。
これで、早いけど無事に入園式は終わった。
「それでは、これから教室に移動して今後の説明に移ります。忘れ物をしないようにして下さい」
「「「「「はい!」」」」」
僕の司会も、これで無事に終了。
学園生は、クリスとスラちゃんが教室へと案内してくれた。
「みんなも、元気の良い挨拶だったよ」
「「「「頑張ったー!」」」
「ウォン!」
満面の笑みのちびっ子達に負けじと、ユキちゃんも頑張ったと尻尾をフリフリしていた。
すると、アーサー様からとても残念なお知らせがちびっ子達にもたらされた。
「では、我々は王城に帰る。帰ったら、勉強を頑張らないとな」
「「「そーだったー!」」」
どうやらちびっ子達は、入園式に出る代わりに勉強をする事になっていたみたいだ。
さっきまではニコニコだったのに、ガックリしながらアーサー様にドナドナされて行ったのだった。
さて、僕も教室に行って説明をしないと。
アーサー様達を見送ってから、急いで教室へと向かった。
「それでは、学園生活の諸注意をします」
教室内では、女性の専任教師があれこれ話をしていた。
僕やクリスは仕事をしているので、いわば兼任教師という立場だ。
来年からは、専任教師を数名増やす予定だ。
僕も幾つか話をして、今日は解散となった。
「さっそく、安息日明けから授業となります。当面は午前中で終わりますが、秋前より通しでの授業を行います。また、適宜現場視察も行いますので、その際には改めてアナウンスします」
「「「「「はい!」」」」」
最後の説明も終わり、これでホームルームは終了だ。
はあ、何だか色々と緊張しすぎて疲れちゃった。
「ケン先生、さようなら」
「また、週明けにお願いします」
うん、不意打ちだった。
まさか、先生と言われるとは思わなかった。
歳は一個下だけど。
「ケン、変な顔しているよ」
クリス、それからスラちゃんもちょっと酷いぞ。
ドン引きしなくても良いと思うぞ……
「でも、私もケン様の気持ちは分かります。初めて先生と言われた時は、とてもこそばゆかったですから」
おお、仲間がいた!
僕は、思わず専任教師にウンウンと頷いた。
すると、またクリスが変な事をしているとドン引きしていたのだった。
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