第二百二十二話 久々の奉仕活動
学園のテスト入園生も無事に決まり、学園の準備も加速した。
制服は開校時には準備できないので、途中から着用する事になった。
教材なども準備ができ、後は開校を待つばかりとなった。
「「「がんばるぞー!」」」
「「「「「おー!」」」」」
「「ウォン!」」
そんな中、今日は久々に貴族街にある教会で奉仕活動を行う事になった。
比較的治安の安全な所なので、王家のちびっ子達もやる気満々でやってきた。
アイちゃん達やルートちゃん、ジョセフちゃんも、双子ちゃんとビアンカちゃんに負けじと張り切っていた。
今日もアイちゃんは自分の魔力で治療をする予定で、他の子達はシロちゃんとレモンちゃんを交代で抱いて治療をする。
「小さい子達も、こういう奉仕活動に積極的になってきましたね」
「ええ、そうね。民と接する良い機会だし、国民も王家に良い感情を持つわ」
今日のちびっ子達の付き添いの王太后様も、楽しそうに話すちびっ子達に目を細めていた。
町の人の中には、【蒼の治癒師】様が王家の子ども達を導いていると言っている人もいる。
でも、最近のちびっ子達は自発的に動き始めていた。
それに、僕よりもスラちゃん達の方がちびっ子達にあれこれ指導していた。
今日は、そんなちびっ子達に顔を合わせる人達がいた。
「みんな、この後学園で勉強する人達だよ。もしかしたら、ブラッドリーさんは知っているかもね」
「「「「「わあ!」」」」」
ちびっ子達は、新しい人との出会いに凄く喜んでいた。
そして、さっそく突撃しにいった。
「「「「「おはよーございます!」」」」」
「「「「「お、おはようございます」」」」」
元気いっぱいのちびっ子達に、この間面接をした人達は少し推され気味だ。
とはいえ、顔合わせとしては上手くいったみたいだ。
なお、学園のテスト入園生には奉仕活動について一通り学んでもらう予定だ。
「奉仕活動についても、様々な種類があります。教会内を綺麗に清掃する、治療や炊き出しの手伝いをするなどです。また、奉仕活動には沢山の人が集まるので、町の人から意見を集める事を行ったりもします。要望や駄目な点も聞きますよ」
「「「「「そうなんですね……」」」」」
おお、流石はテスト入園生だ。
しっかりとメモを取りながら、僕の話を聞いていた。
他にも、警備体制や治療対象なども説明をした。
「僕の場合は、治療できるのならどんな人でもそれこそ動物とかも治療します。例えば、馬は大切なパートナーです。番犬などもいるでしょう。特にこの貴族街で奉仕活動を行うと、貴族の屋敷が沢山の人によって支えられていると分かります」
「「「「「はい!」」」」」
ちょうど、アイちゃんが脚を怪我した馬の治療をしていた。
テスト学園生には、奉仕活動には色々な仕事があるのだと改めて知ってもらった。
すると、この人も説明に加わってくれた。
「奉仕活動には色々な側面があるわ。一つはパフォーマンス的な側面ね。こうして、人々に王家や貴族が活動しているという事を見せているのよ。もう一つが貴族の義務であるノブレスオブリージュよ。富める者は、社会的責任や道徳的責任を負わなければならないわ。奉仕活動だけでなく、様々な福祉活動を行う必要があるのよ」
「「「「「はい、ありがとうございます」」」」」
王太后様の説明に、テスト入園生も深く関心していました。
僕の父親や兄は貴族は贅沢して当たり前だと思っており、未だに貴族主義の貴族は贅沢は当然だと思っていた。
しかし、最近の貴族主義の貴族は更に贅沢をしようとして失敗をしている。
自分だけよければ良いという考えでは、周囲の反発は必至だろうね。
では、この後は各自が各班に分かれて行動する。
「あのね、アリアがみんなに色々と教えるんだよ!」
「僕も、頑張るよ!」
「ええ、お願いしますね」
治療班では、アリアちゃん達が張り切って色々と教えていた。
クリスも側にいるし、今は頑張っているちびっ子達を見守ってあげましょう。
シュイン、スパパパパ。
「す、凄い。凄いとしか言いようがない……」
炊き出し班で料理を作るリーフちゃんとアクアちゃんの魔法に、テスト入園生は度肝を抜かれていた。
味付けなども完璧で、最近はリンゴちゃんにも色々な料理を教えていた。
実際に町の人もとても良い味だと喜んでおり、しかも年々レベルアップしていた。
リーフちゃんアクアちゃんは教えるのも上手だし、そのうちテスト入園生に料理を教えたりして。
「警備の基本は、相手の目を見る事だ。やましい事があれば、サッと視線を逸らす。巡回なども、そういう者に声をかけたりするぞ」
「とても勉強になります」
将来軍属を希望するブラッドリーさんなどは、警備をしている兵にあれこれ質問していた。
僕も軍と一緒に巡回をしていた時に、相手の視線の事を教えてもらったっけ。
巡回以外にも使える手法があるから、テスト学園生に話をしてもらうのも良いかもしれない。
イアン様に提案してみよう。
「話を聞くのもとても大事な仕事よ。話を聞く相手が、自分の気持ちを話しやすくするための話法もあるわ。会話は、コミュニケーションの基本よ。どんな職業に就こうが関係なく大切な事よ」
「勉強になります」
シスターさんから、町の人から話を聞く方法を教わっている人もいますね。
職員にも色々な性格の人がいるし、中にはコミュニケーションを取るのが大変な人もいます。
会話を勉強するのは、とても有意義な事だ。
これも、イアン様に提案してみよう。
こんな感じで、テスト学園生は担当を交代しつつ様々な経験を積んだ。
本で学ぶ知識とは違って大変だが、その表情はとても充実していた。
「みんな、とても勤勉ね。これなら、とても良い成果が出せそうだわ」
王太后様も、真面目に取り組むテスト学園生を高く評価していた。
そして、ちびっ子達も頑張ろうという気持ちになっていた。
今日の奉仕活動は、とても手ごたえがあった。
うーん、何だかもっと色々な事を教えたいと思ったのだった。
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