第二百二十一話 テスト学園生の面接
学園の準備も、僕とクリスの結婚式が終わったのを受けて本格的に動き出した。
カリキュラム関連はイアン様に添削してもらい、大体問題ないと何とか及第点をもらった。
資料などの準備をしつつ、今日は学園が設置される予定の屋敷でテスト学園生の面接を行うことになった。
王城で準備をして屋敷に向かうと、想定外の事が起きたのだ。
「えっ!? 面接を行う全員が、上級官僚試験に合格しているんですか?」
「今年行われた官僚試験で合格した者もいるが、昨年や一昨年の官僚試験で合格した者もいる。流石に、ケンみたいに八歳で上級官僚試験に合格した者はいないがな」
今日の面接には陛下も参加する事になり、アーサー様、ルーカス様、イアン様と共に面接者の資料を手にしながら話していた。
全員貴族の子弟で、特にヘルナンデス様の息子であるブラッドリーさんはアーサー様とルーカス様のいとこに当たるもの凄い家柄だ。
「このメンバーを相手にきちんと教師ができるのか、ちょっと不安になってきました……」
「私もです。何というか、胃が痛くなりそうです……」
僕だけでなく、一緒についてきてくれているクリスとスラちゃんもプレッシャーに押しつぶされそうだった。
ところが、偉い人達はかなり楽観視していた。
「確かに、今回面接を行う者は勉強をした知識量はあるだろう。だが、ケンの今までの様々な経験は同年代とは桁が違う。そこは、大きな差だ。クリスも、国境での戦いや不審者の取り締まりをしている。やはり、実践経験に勝るものはない」
陛下の言葉に、他の人達も深く頷いていた。
大変な経験を積んでいるからこそ、僕は人に何かを教える事ができるという。
うーん、こればかりはやってみないと分からない。
面接も同様だと言い、陛下は席を立った。
そして、面接が行われる部屋へと向かった。
「次の人、入室するように」
「はい、失礼しま、す……」
こうして面接がスタートしたのだが、係の人に呼ばれて部屋に入った面接者は、陛下の顔を見るなり思わず固まってしまった。
アーサー様、ルーカス様、イアン様、僕が面接に参加する事は事前に周知していたが、面接者はまさか陛下がいるとは思わなかったみたいだ。
とはいえ、固まった後は何とか再起動して椅子に座った。
官僚試験では面接が必須なので、面接者は普通に対応していた。
受け答えもハキハキとしており、緊張しながらもキチンと自分の意見を言っていた。
こうして面接は進み、最後の一人となった。
「失礼します」
ヘルナンデス様の三男であるブラッドリーさんが、部屋に入ってきた。
流石大物貴族の子弟だけあって、陛下が部屋にいても堂々と入室した。
ブラッドリーさんはヘルナンデス様と同じく銀髪のスポーツ刈りで、背がとても高く筋肉隆々だ。
きっと軍人服が似合うんだろうなと思いつつ、早速面接を始めた。
「かの有名な【蒼の治癒師】様と会え、とても光栄です」
「あ、ありがとう、ございます……」
ブラッドリーさんは、何故か僕を見るなりキラキラした目をした。
実は、面接者は全員僕を憧れの目で見ていた。
いやいや、僕の直ぐ近くに国王陛下がいますよ。
そう思いつつ、面接は進んでいった。
ブラッドリーさんは受け答えもはっきりしており、返答も何も問題なかった。
僕なんかよりも、もっと凄いと思ったよ。
「では、面接は以上となります。忘れ物をしないで、先程の部屋に戻って下さい」
「はい、ありがとうございます」
ブラッドリーさんは、立ち上がって僕達に深々と頭を下げた。
部屋からブラッドリーさんが退出すると、僕は思わず緊張から解放され溜息をついてしまった。
「つ、疲れました。でも、皆さんキチンと受け答えをしていました」
「ははは、官僚試験に合格したのだからそのくらいはしてもらわないとならぬ」
結局ずっと僕が質問をしていたため、結構疲れてしまった。
陛下は上機嫌で返事をしつつ、直ぐにアーサー様とルーカス様と何やらひそひそ話をした。
「では、全員合格としよう。ケン、全員に通知するように」
「は、はい!」
陛下に言われ、僕は直ぐに席を立った。
スラちゃんとクリスもついてきてくれたが、どちらかというと陛下と一緒にいるという緊張から解放されたいのかもしれない。
そう思いながら、僕は面接者の控室へと向かった。
コンコン、ガチャ。
「「失礼します」」
僕達が控室に入ると、面接者はかなり緊張した面持ちへと変わった。
そして、前に立った僕達を真剣な表情で見ていた。
そんなに真剣に見られると、僕の方が緊張しそうなんですけど……
「ごほん。皆さん、面接お疲れ様でした。とても良い面接でした。結果は、全員合格です。この後の予定などは、各屋敷に周知されます」
「「「「「ありがとうございます!」」」」」
面接者は、かなりホッとしながらお礼を言ってきた。
やはり、不合格になるのではと思っていたみたいだ。
僕から見ると、逆に不合格になるのが難しいくらいよくできたと思った。
「これにて、本日は解散となります。皆さん、忘れ物を確認して帰るようにして下さい」
「「「「「はい!」」」」」
面接者は、とても良い表情で屋敷を後にした。
もしかしたら、不合格になるかもと思っていたのかもしれない。
というか、僕の方が精神的に疲れちゃったよ。
なお、陛下は僕が面接者に合格を伝えている間に王城へと帰っていた。
偉い人はとても忙しくて大変だ。
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