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【7月刊行予定】毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第二百十九話 僕達の赤ちゃんはまだ先かな?

 更に一時間後、全ての来賓を見送った。

 調理室のおばちゃんが酔っ払ったのもあってかとても上機嫌で、僕とクリスにずっと良かったねとニコニコしながら話しかけていた。


「「「「じゃーねー!」」」」

「また、明日会いましょうね」


 お昼寝から起きた王家のちびっ子と王太后様も、ニコニコで屋敷を後にした。

 明日は平日なので、僕とクリスも普通に仕事の予定だ。

 王家のちびっ子達は、きっと昼食時に一緒に食べようと言ってくるだろう。

 酔っ払った兵も、何とか自分の足で帰った。

 千鳥足だったから、無事に帰れるかちょっと心配だけど。


「ふう、何とか無事に結婚式が終わりましたね」

「そうね、予想以上に盛り上がったわね。これも、ケン君とクリスちゃんを祝福しようとしてくれたのよ」


 僕達は、応接室に移動して休憩していた。

 フリージアお祖母様もかなりお疲れモードだったが、それでもとてもいい笑顔だった。

 ケーラさんもだいぶ疲労の色が濃かったが、何とかやり切ったという表情だ。

 なお、エレンお祖父様はかなり酔っ払ってしまったので客室で休んでいた。

 祝杯ということで、多くの人からお酒を注がれていたっけ。

 そして、ケーラさんが改めて僕とクリスにある事を話した。


「今更かもしれないけど、私は二人がずっと仲良く暮らして欲しいと思うわ。結婚生活は長いのだから、時には喧嘩もする事もあるわ。でも、ずっと引きずっていては駄目よ。特に、これからは子どもも生まれてくるわ。家族が家族でいる事の大切さを思ってくれれば嬉しいわ」


 僕の母親は、決して幸せな結婚生活ではなかったと思う。

 父親や使用人から虐げられ、家族ではなかったのかもしれない。

 そんな環境でも、亡くなるまで僕を一生懸命育ててくれた。

 僕は、そんな悲劇的な家族環境には絶対にしたくないと思った。

 そんな中、お昼寝から起きて元気満タンのこの子がある質問をしてきた。


「ねーねー、ケンおにーちゃんとクリスおねーちゃんの赤ちゃんっていつできるの?」

「「ぶっ」」


 ルートちゃんは、純粋な気持ちで聞いてきたのかもしれない。

 でも、ちょっとタイミングが悪かったかも。

 僕は苦笑するばかりで、クリスは思わずお茶を吹き出しそうになった。


「ふふ、そうだよね。ルートちゃんも、二人の赤ちゃんを見たいよね。でも、ちょっと先になるかもしれないわね」

「えー、そうなんだ。僕、早く赤ちゃんが見たいなあ」

「あう……」


 ルートちゃんの母親のセリナさんが妊娠中というのもあり、最近のルートちゃんはお兄ちゃんになるととても喜んでいた。

 ケーラさんも、子ども好きっていうのもありもの凄いいい笑顔でルートちゃんと話をしていた。

 そんな母親の様子に、クリスは顔を真っ赤にして縮こまっていた。


「みんなも、ケン君とクリスちゃんの赤ちゃんを見たいよね?」

「「「みたーい!」」」


 ケーラさんは、アイちゃん達にも話題を向けた。

 勿論、アイちゃん達も満面の笑みでケーラさんに返事をした。

 そんな元気の良いちびっ子達の様子に、クリスの顔はますます赤くなった。

 うん、多分僕の顔も真っ赤になっているのだろうと思ったのだった。


「はあ、ようやくゆっくりできるわね」

「クリス、お疲れ様ね」

「ケンもね。夕食後も、アイちゃん達を巻き込んで大騒ぎだったわ」


 僕とクリスは、寝室に向かう為に廊下を歩いていた。

 スラちゃん達は、一足先に寝室へと向かったアイちゃん達についていった。

 夜になり、フリージアお祖母様とケーラさんはようやく屋敷へと帰った。

 酔っ払っていたエレンお祖父様とビーズリーさんも何とか回復し、他の面々と共に一緒に帰った。

 ルートちゃんは、屋敷に泊まりたいと駄々をこねていたっけ。

 色々な人から今度時間がある時に僕の屋敷に泊まりましょうねと諭されて、ルートちゃんは渋々って感じで帰った。

 きっと、今日の結婚式と披露宴が楽しくて仕方なかったんだ。


「ふふふ……」


 不意に、クリスがニコリとしながら上機嫌に笑った。

 

「クリス、ご機嫌だね」

「そうよ。ようやく、ケンと一緒に寝られるのよ。私、ずっと楽しみにしていたの。屋敷に泊まりに来た時も、ずっと別の部屋だったからね」


 クリスは、無邪気に笑った。

 今までも僕と一緒に寝たいと言っていたが、ケーラさんが貴族令嬢として結婚前の男性と同衾は厳禁だと口を酸っぱくしていた。

 なお、まだ幼いアイちゃん達が僕やクリスと一緒に寝るのは、親代わりだから問題ないという。


「あっ、安心して。初夜の意味も、キチンと理解しているわ」


 クリスはそう言うと、顔を真っ赤にしながらも微笑んだ。

 その辺りの教育も、貴族令嬢として必須らしい。

 多分、僕も顔を真っ赤にしているだろう。


 ガチャ。


「「うん?」」


 そして僕とクリスが僕の寝室に入ると、直ぐにある事に気がついた。

 僕のベッドの布団が、こんもりと盛り上がっていたのだ。

 クリスと一緒に行くと、今日は別の部屋で寝るはずのスラちゃん達の姿があった。


 バサッ。


「「「スー、スー……」」」


 僕が布団をめくると、そこには仲良く固まって寝ているアイちゃん達の姿があった。

 何となく予想できたが、ぐっすりと寝ていて起こすのは忍びないなあ。

 クリスも、あどけない三人の寝顔に思わず苦笑した。


 ふりふりふり。


 三人と一緒にいたスラちゃんが色々と教えてくれたが、三人は僕とクリスと一緒に寝たいと意気込んでいたという。

 そして、三人はベッドに潜ると、日中張り切っていた疲れもありあっという間に寝たらしい。


「まあ、まだ子どもだからしょうがないね」

「ふふ、そうね。それだけ、私たちの事を好きなのね」


 僕とクリスは、顔を見合わせて思わず苦笑した。

 そして、隣にあるクリスが使っていた寝室へと向かったのだった。

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