第二百二話 ちびっ子たちみんなで遊びます
仕事復帰初日からかなり大忙しだったが、翌日以降は何とか落ち着きを取り戻した。
因みにジル工務店が手抜き工事をした所は帳簿から把握済みで、キチンとした施工業者に国から再工事を依頼する予定だ。
裁判を経て罰金などが確定するため、もう少ししたら作業を始める。
施工業者も、元から依頼されている仕事がある為、急に頼んでも工事が出来ないのはどうしようもなかった。
肝心のキケン伯爵夫妻は、一度も意識を取り戻す事なく倒れて二日目に亡くなった。
裁判前で罪人として裁かれていないので普通に貴族として葬儀が可能なのだが、息子夫婦は状況が状況なだけに最低限の内容で葬儀を行なった。
僕も参列したのだが、参列者は一様に表情が固かった。
もしかしたら、事件に関与している者もいるかもしれない。
その辺りの対応は、軍にお任せする事になった。
「「「わあっ!」」」
「シルバは、とっても可愛いんだよ!」
「ウォン!」
忙しい日々が過ぎて行き、今日は安息日だ。
国境からの到着の謁見は、明日王城で行われる事になっていた。
そんな中、僕の屋敷にフリージアお祖母様とルートちゃんが遊びに来ていた。
実はノーム準男爵家にミュウさんの所のフォレストウルフが一頭やってきて、ルートちゃんがとても可愛がっていた。
ケイトちゃん、アイちゃん、リュウちゃんも、チビスライムと一緒にシルバの事をなでなでしていた。
アイちゃんとリュウちゃんもだいぶ僕の屋敷での生活に慣れ、今も既製品だが御用商人から購入した服を着ていた。
「ふふ、やはり子ども同士仲が良いのは良いわね。二人もいい子だから、心配いらなかったわね」
フリージアお祖母様も、元気よく遊ぶ子ども達に目を細めていた。
フリージアお祖母様は僕の屋敷で保護されている三人をとても気にかけてくれており、本当に助かっていた。
「こうして、ルートちゃんみたいな他の子どもと一緒に遊ぶのもとても良い事だと思います」
「ふふ、そうね。それに、来年になればもっと賑やかになるわね」
実は、ルートちゃんのお母さんであるセリナさんに第二子妊娠が発覚した。
ルートちゃんも大喜びで、お兄ちゃんになるととても張り切っていた。
「僕の実家、クリスの実家、そして嫁いだシンシアお姉様と、今年は僕の関係者の出産ラッシュになりそうですね」
「そうね、とても楽しみだわ。やはり、子どもがいるととても賑やかになるのよ」
順番で言うと、シンシアお姉様、クリスの実家、僕の実家になるが、全て年内に出産予定だ。
もう出産時のお手伝いはお任せというスラちゃん達も、いつでも大丈夫だと張り切っていた。
「チッ」
「あっ、リスさんだ!」
声のする方を見ると、アイちゃんの肩に庭にいるリスがよじ登っていた。
アイちゃんも、子どもらしい表情を見せるようになって本当に安心した。
屋敷の生活に慣れる事を優先させて、やっぱり正解だった。
因みに、アイちゃんの魔法訓練は明後日から本格的に行う事にした。
ケイトちゃんとリュウちゃんの魔力適性はまだ確認していないが、今は焦らない方がいいと思っている。
「「「「きゃー!」」」」」
「ウォンウォン!」
そして、いつの間にかちびっ子達とシルバによる追いかけっこが始まった。
スラちゃん達もしっかりと見守っているし、本当に楽しそうで何よりだ。
「クリスちゃんは、実家で衣装合わせとかをしているのよね」
「仮縫いができたそうで、色々と手直しをするそうです。今日一日かかると言っていました」
「結婚式は、特に女性にとって一大イベントなのよ。男性はモーニングでいいけど、女性はお色直しの事も考えないといけないわ」
フリージアお祖母様も、クリスが一日不在なのはどうしようもないと言っていた。
クリスの母親であるケーラさんがとにかく張り切っていて、あーだこーだ色々な事を考えていた。
僕も下手に手出しできないので、クリスに同行するのは遠慮した。
クリスはかなり恨めしい表情で僕の事を見ていたけど、僕の代わりに世話上手なアクアちゃんがついていったからきっと大丈夫。
これも、無事に結婚式を迎える為なのだから頑張って欲しい。
そのケーラさんも、ちびっ子達の事をかなり気にしてくれた。
もう少ししたら、ダイナー男爵家に遊びに来てと言っていた。
「あのね、ミュウお姉ちゃんのお家には、大きな猫ちゃんとカッコいい猫ちゃんがいるんだよ!」
「ウォン!」
「「「そーなんだ!」」」
ルートちゃんが言っている猫ちゃんは、キングレオとフォレストタイガーの事ですね。
みんなルートちゃんととても仲良しだけど、仮に野生のキングレオとフォレストタイガーに出会ったら絶望するレベルですよ。
とはいえ、あのキングレオとフォレストタイガーは子どもにはとても優しい。
奉仕活動の際に会うと思うが、多分問題無いだろう。
こうして、僕とフリージアお祖母様は楽しそうに遊ぶちびっ子達に目を細めていたのだった。
「いーなー、私がとっても大変な時にみんなと遊んでいたなんてー」
夕方になりクリスが実家から戻ってきたが、予想以上にヘロヘロではなかった。
フィッティング自体はそんなに時間はかからなかったらしいが、ケーラさんから結婚生活についてあれこれ言われた方が大変だったらしい。
「まあ、お母様もみんなの事は気にしていたわよ。でも、この分なら大丈夫ね」
もりもりと夕食の肉を食べながら、クリスは仲良く話す三人を見ていた。
王家のちびっ子達も会いたがっていたし、これからもどんどんとお友達が増えていくはずだと思ったのだった。
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