第百五十二話 シンシアお姉様の結婚式の日です
いよいよ、結婚式が二回続く秋となった。
最初にシンシアお姉様の結婚式が行われる日になり、僕とクリスは朝から身支度を整えるなどの準備を行っていた。
もちろんスラちゃんたちも結婚式に参加予定で、ピーちゃんも綺麗なスカーフをつけてもらっていた。
「クリス、僕たちもノーム準男爵家の親類として参列者に挨拶をするよ」
「うん、任せて! アスター男爵の婚約者って挨拶をするよ!」
クリスは、僕の婚約者として挨拶するのが楽しみみたいだ。
スラちゃんたちも挨拶をすると意気込んでいて、ピーちゃんもとても張り切っていた。
それでは、馬車に乗ってノーム準男爵家に向かいましょう。
「「おはようございます」
「おはよー!」
ノーム準男爵家に到着すると、ニコニコが止まらないルートちゃんが僕たちを出迎えた。
ルートちゃんは、シンシアお姉様の結婚式が待ち遠しくて仕方ないみたいだ。
ちなみに、新婦のシンシアお姉様は既に嫁ぎ先のメダリオン男爵家で生活を始めていた。
披露宴もメダリオン男爵家で行うため、僕たちは準備ができ次第メダリオン男爵家に向かうことになっていた。
「ルート、そろそろ私たちも馬車に乗るぞ」
「あい!」
ルートちゃんは、父親のゴライオンさんに元気よく手を挙げた。
そして、母親のセリナさんに抱っこしてもらいながら馬車に乗り込んだ。
エレンお祖父様とフリージアお祖母様はひとあし先にメダリオン男爵家に行っている。
僕とクリスも、馬車に乗り込んでメダリオン男爵家に向かった。
ドタバタドタバタ。
「来賓のリストは出来ていますか?」
「このテーブルは、もう少し窓側へ」
メダリオン男爵家は、まさに戦争状態だった。
メダリオン男爵夫人のイザベラさんとフリージアお祖母様が、使用人にあれこれ指示を出していた。
ノーム準男爵家だけでなく僕の屋敷からも応援の使用人が出ており、皆がとても忙しく動いていた。
うん、これは下手に手出しは出来ない……
シュイン、サッ、ササッ。
と思ったら、アクアちゃんとリーフちゃんがイザベルさんとフリージアお祖母様の指示で、念動を使ってテーブルや椅子などを動かしていた。
うん、これなら僕は更に下手に手出しはできないね。
「アレク君には、ある意味特殊な役割がある。まさか、アリア様とブライト様が結婚式場に来られるとは……」
「まだお子様とはいえ、王族が下級貴族の結婚式に参加するなんてありえないぞ……」
たまたま僕の近くに来たメダリオン男爵のチャーチルさんとエレンお祖父様が、同時に溜息をついていた。
実は、直轄領での大捕物でエレンお祖父様とルーカス様がより仲良くなり、その関係でジョセフちゃんが結婚式に参加することになった。
その話を聞いたアリアちゃんとブライトちゃんも、結婚式に参加したいと言い出したのだ。
アリアちゃんとブライトちゃんは僕を通じてシンシアお姉様と知り合いなので、二人は知り合いのお姉ちゃんの結婚式に参加するイメージだという。
ちなみに、ヘルナンデス様も結婚式に参加することになった。
そして、話として出ているのが、僕の母親が様々な方の結婚式でお手伝いをしたという事だった。
なので、ヘルナンデス様も母親の実家であるノーム準男爵家の結婚式に是非参加したいと言っていた。
結果、とんでもなくロイヤルな方が集まる事になってしまった。
ちなみに、メアリーさんとシーリアさんも妊娠中だけど結婚式に参列する。
そして、これだけの人の相手を僕とグリスがする事になった。
「下級貴族なら、普通はお目通りすら叶わない人達だ。それなのに、わざわざ結婚式に足を運んでくれるのだ。これは、とても名誉な事だ」
「あの、僕も立場で言えば下級貴族なんですけど……」
「ケン君は、王国を救った英雄で宮廷魔導師だ。普通の下級貴族ではないよ」
チャーチルさんは、少し苦笑しながら話をしていた。
そう思うと、僕はルーカス様の保護下に一時的でも入った事が大きかったのかもしれない。
「では、先に行ってくるぞ」
「あなた、しっかりと頼みますね」
セリナさんを含む女性陣はまだあれこれ動くそうで、先に男性陣とルートちゃんが貴族街にある教会に行くことになった。
フリージアお祖母様も、エレンお祖父様に色々と話しかけていた。
貴族街にある教会には、馬車に乗れば直ぐに到着する。
馬車を降りて教会に入ると、新郎のガイアさんと新婦のシンシアお姉様が結婚式のリハーサルをしていた。
「おはよー!」
「あら、元気な声が聞こえましたわね」
リハーサルの様子を見守っていたシスターさんに、ルートちゃんが元気よく挨拶をした。
そして、僕たちもシスターさんに挨拶をした。
「本日は、どうぞ宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いしますわ。何せ、【蒼の令嬢様】の妹君の結婚式ですから。我々もお世話になりましたので、精一杯お勤めいたしますわ」
僕は、奉仕活動でも話をしたシスターさんに頭を下げた。
やはり、母親の行ったことは教会の中でも未だに大きいんだ。
シンシアお姉様も奉仕活動を良くしていたし、教会関係者からの印象もとてもよかった。
たとえ僕がいなくても、そこは変わらない事実だ。
「シンシア様は、アリア王女様やブライト王子様ともとても親しい仲です。【蒼の治癒師様】がいたとしても、好かれるのは本人の資質ですわ」
「僕もそう思います。二人とも、知り合いのお姉ちゃんの結婚式に行くんだと言っていたそうです」
「まだ幼いお子様とはいえ、王子様と王女様にそう言われるのは、やはりその人の人徳かと思いますわ」
シンシアお姉様は、僕にとてもよくしてくれた。
周りにも気遣いが出来るし、僕と母親の件がなくてもきっと良い人に巡り会えたのではと思ったのだった。
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