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毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第百五十一話 ミュウさんたちの屋敷への移動と式典の補助

 ミュウさんも無事に初級官僚試験に合格し、財務官僚として働き出した。

 屋敷の使用人と傘下の商会の陣容も整理された為、いよいよマネー子爵家に戻ることになった。


「皆様、今まで本当にありがとうございました。いきなり当主になり、右も左も分からなかった私が働けるようになったのも、間違いなく皆様のおかげです」

「「「「「グルル」」」」」


 玄関で、ミュウさんと魔物たちは僕たちに深々と頭を下げていた。

 ミュウさん自身もとても頑張っていたし、その成果も出たはずだ。

 既に荷物はマネー子爵家に運び終えており、後は人と魔物の移動だけだった。


「ケン様、屋敷に残る魔物を宜しくお願いします」

「「ピー」」


 実は、今回一羽のサンダーホークが僕の屋敷に残ることになった。

 サンダーホークの親も、僕に子どもを頼むと挨拶をしていた。

 因みに、サンダーホークの子どもはピーちゃんと名づけられた。

 クリスやルートちゃんとも仲良しで、スラちゃんを乗せて飛ぶこともあった。

 他の魔物とは違ってサンダーホークは空を飛べるから、いつでもマネー子爵家に遊びに行けるはずだ。

 そして、ミュウさんは馬車に乗り込んだ。

 魔物の子どもたちも馬車に乗り込んだが、大人の魔物は馬車の護衛をするという。


「それでは、失礼します」

「じゃーねー!」

「ピィ!」


 僕の屋敷に遊びに来ていたルートちゃんとピーちゃんが、屋敷を出ていく馬車に挨拶をしていた。

 今まで毎日魔物の子どもたちが庭で遊んでいたから、一気に屋敷が淋しくなるなぁ。


「ピーちゃん、あそぼー!」

「ピィ!」


 馬車を見送ると、ルートちゃんとピーちゃんは直ぐに庭で遊び始めた。

 うん、子どもの思考の切り替えの速さを見習いたいと思ってしまった。


「クリスは、今度は上級官僚試験の勉強だね」

「うぅ、何で勉強が続くのよ……」


 クリスは、ガックリとしながら屋敷に入っていった。

 クリスとミュウさんは余裕で初級官僚試験に合格した為、上級官僚試験も大丈夫だろうと偉い人たちから指示が出てしまったのだ。

 シンシアお姉様は結婚式や嫁ぎ先の屋敷の事などがあるけど、上級官僚試験の勉強は続けなさいという事を言われた。

 僕は、三人なら簡単に上級官僚試験に合格するはずだと思っていた。

 ナッシュさんも上級官僚試験に合格しており、只今絶賛研修中だという。

 流石に、結婚式前後は研修はお休みを貰う予定らしい。


「じゃあ、僕は軍の施設に行くからね。ルートちゃんとピーちゃんも、勉強部屋で絵本を読むんだよ」

「はーい!」

「ピィ!」


 僕が声をかけると、ルートちゃんとピーちゃんは一目散に屋敷の中に入っていった。

 そして、僕は軍の施設であるお手伝いをする事になっていた。

 僕も馬車に乗ると、急いで軍の施設へと向かった。


「ふう、何とか間に合いました」

「ケン、そんなに急がなくても十分間に合ったぞ……」


 軍の施設に到着すると、僕は椅子が並べられているグラウンドに走った。

 一息ついていると、顔見知りの兵が苦笑しながら声をかけてきた。

 まだ時間まで少しあるけど、こういう事は少し早めに来ていた方がいいと思ってる。

 他の兵とも話をしていると一台の豪華な馬車がグラウンドに近づき、馬車から元気な二人が降りてきた。


「「おはよー」」


 アリアちゃんとブライトちゃんが、綺麗な服を着て僕に挨拶をした。

 実は今日は二人が式典の主賓をすることになっており、僕が二人の補佐をする事になっていた。

 勿論、二人は近衛騎士の護衛を受けている。

 メアリーさんの妊娠が発覚して以降、二人はお姉ちゃんとお兄ちゃんになるのだと張り切っていた。

 直ぐに、リーフちゃんとアクアちゃんが警備の為に二人の肩にぴょんと飛び乗った。


「今日は、頑張っておめでとうって言おうね」

「「はーい!」」


 とっても簡単な役目だけど、二人にとってはとても重要な役目だ。

 二人とも、既にやる気満々だ。

 早速、来賓席に座って貰いましょう。


「隊員、入場」

「「おおー!」」


 今回受賞する隊員が所属する部隊員が、綺麗に行進しながらグラウンドに入ってきた。

 二人も、思わず声を上げるほど息ぴったりだ。


「受賞者、入場」


 程なくして、司会の声と共に三人の兵がグラウンドに入場してきた。

 今回受賞する隊員は、帝国との戦闘で功績を挙げた者だ。

 因みに、大きな功績を挙げた者は別に授賞式を行っていた。

 そして、僕は二人と共に前に並んだ。


「帝国との戦闘で功績を挙げた者に、勲章を授ける」

「「おめでとー!」」


 アリアちゃんとブライトちゃんは、僕と一緒に隊員に勲章を付けた。

 ちょっと苦労しながらも、何とか三人の兵に勲章をつけ終えた。

 僕たちは、来賓席に戻った。

 ふう、これで僕も無事に任務完了だ。

 二人とも、やりきったととても良い表情だ。


「それでは、来賓を代表して宮廷魔導師のアスター男爵にお話を頂戴します」

「「わー!」」


 えっ!?

 僕が、話をするなんて全く聞いていないんですけど。

 しかし、二人やスラちゃんたちは盛り上がっているし、兵も僕の事を見ていた。

 ちょっとガックリとして、改めて気を引き締めてからマイク型魔導具の所に向かった。


「えっ、宮廷魔導師のアスターです。勲章授与者の皆さん、授与おめでとうございます。僕も、皆さんと共に帝国との戦闘を戦い抜きました。勲章授与者、そして他の方の力があってこそだと思います。これからも、訓練に励んでより良い兵になれるように頑張って下さい」


 パチパチと、大きな拍手が兵から起きた。

 アリアちゃん、ブライトちゃん、スラちゃんたちも、ニコリとしながら僕に拍手をしていた。

 何とか挨拶が終わり、僕は席に戻った。

 ふう、緊張した……


「これにて、式典を終了とする。各自解散とする」

「「「「「はっ」」」」」


 その後も順調に話は進み、何とか勲章授与式は終わった。

 最後に兵が敬礼したので、アリアちゃん、ブライトちゃん、スラちゃんたちも敬礼の真似事をしていた。

 すると、僕たちの所にやってくる人がいた。


「どうやら、無事に終わったみたいね」

「「あっ、おねーちゃん!」」


 姿を現したのは、軍服姿のシーリアさんだった。

 まだ妊娠初期とはいえ、普通に軍で働いているとは……

 そして、シーリアさんはこんな事を言ってきたのだ。


「実はね、こっそりとヘルナンデス様からケン君の挨拶を入れるように指示を貰っていたのよ。ケン君が人前で話せるかテストをするってね。今日は問題なく合格でしょう」

「「おおー!」」


 まさか、犯人がヘルナンデス様だったなんて。

 僕は、思わずガクリとしてしまった。

 何にせよ、これでようやく解放されると思った……


「そうそう、来週行われる別の式典にもケン君が参加する事になるそうよ。今度は福祉関係だって」


 シーリアさん、その情報も聞いていないですよ。

 しかも、来賓は僕一人だという。

 僕は、またまたガクリとしてしまったのだった。

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