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毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第百四十九話 実家の強制接収

 いよいよ、実家の強制接収か行われる日になった。

 屋敷の使用人などには事前に退去勧告が出ていたのだが、執事と数人の使用人が屋敷から退去しなかった。

 その為、僕とスラちゃんも屋敷の明け渡しに立ち会うことになった。

 なお、クリスたちは引き続き僕の屋敷で官僚試験の勉強を行っていた。


「再就職先の手配もすると言ったのに、まさか残っている奴がいるとはな。中々例がないぞ」


 僕とスラちゃんは、一旦王都内の軍の施設に向かった。

 強制接収を担当するゴードン様も、実家の状況にかなり呆れていた。

 僕も、何で執事と数人の使用人が屋敷に残っているのか理由が分からなかった。


「ゴードン様、出動の準備が整いました」

「よし、では行くとするか。牢屋の準備もしておけ」

「はっ」


 ゴードン様は、実家に残っている者が何か不正な事をしているのかもしれないと思っていた。

 僕も、ゴードン様の考えは十分にありえると思った。

 というのも、以前僕の屋敷に詰め寄った実家の使用人は、その殆どが横領などで連行されたからだ。

 因みに、今回の強制接収は軍の正式な行動なのでブドウちゃんもついてくる事になった。

 スラちゃんは、いい機会だとブドウちゃんにあれこれ教えていたのだった。


 ザッ。


「こりゃ、ヒデーな。屋敷の庭が全く手入れされていなくて、草木が荒れ放題だ」


 久々にやってきた実家は、貴族の屋敷かと疑う程酷い有様だった。

 屋敷の管理が適切にされておらず、屋敷自体もかなり汚れている気がした。

 芝生も伸びっぱなしで、まるで草原みたいだった。

 屋敷を守るはずの門も開けっ放しで、門番も勿論いなかった。

 そんな寂れた屋敷の庭に、僕たちはゆっくりと入っていった。


「ケン、探索魔法で屋敷のどの辺りに人がいるのか確認してくれ」


 シュイン、もわーん。


 僕は、ゴードン様からの指示で玄関前で探索魔法を使用した。

 すると、意外な所から人の反応があった。


「ゴードン様、この先の玄関ホールに四人の反応があります」

「うん? どういう事だ。奴らは、観念したって事なのか?」


 ゴードン様も、何で玄関ホールに執事たちが集まっているのか分からなかった。

 かく言う僕も、理由は全く分からなかった。


 シュイン、もわーん。


 そして、スラちゃんとブドウちゃんはドア越しに鑑定魔法を使った。

 間違いなく、屋敷に残っている執事と使用人だった。

 更に、別件も判明したのでゴードン様に伝えた。


「それでは、突入開始だ。奴らが襲ってくる可能性も考えるように」

「「「「「はっ」」」」」


 ゴードン様の指示で、兵が素早く玄関を開けた。

 そして、一気に玄関ホールに兵がなだれ込んだ。

 僕とゴードン様も、警戒しながらゆっくりと玄関ホールに入った。

 すると、身なりだけはしっかりとしている執事と三人の使用人が僕らを睨みつけていたのだ。


「王国の命により、旧ギャイン騎士爵家の屋敷を強制接収する。四人とも、直ちに屋敷から退出するように」


 ゴードン様は、四人に王国からの命令書を突きつけた。

 しかし、四人は未だに僕たちを睨みつけたままだった。


「何が旧ギャイン騎士爵家だ。ここは、未だに王国に歴史のあるギャイン騎士爵家のままだ!」


 執事のこの発言で、僕は全てを理解した。

 結局、目の前にいる四人は父親と兄と同じタイプの人間なんだと。

 自分勝手で、他人の事などどうでも良いんだ。


「はあ、そう来たか。お前らの考えなんてどうでも良い。国の命令が絶対だからな」

「「「「ぐっ……」」」」


 ゴードン様は、溜息をつきつつ怒気を混ぜながら話をした。

 四人はゴードン様の迫力に押されて一瞬怯んだが、僕を見るなり噛み付いてきたのだ。


「ケン、お前は恩知らずだ。お前が育った実家が取られても良いのか? お前が六歳まで育った実家だぞ?」

「はい、強制接収されていいと思います。というか、当然です」

「なっ!?」


 執事は、僕が強気の反論に出るとは思っていなかったようだ。

 執事はかなりビックリしていたが、僕はそのまま話を続けた。


「どんなに歴史があろうとも、大きな犯罪を犯せば貴族家も取り潰しになります。僕の父親は、そして兄は取り潰しに値するだけの罪を犯しました。あと、僕は貴方たちに育てられたという記憶はありません。殴る蹴るの虐待を受け、満足に食事を与えられなかったのですから」

「う、煩い!」


 僕が正論を言っても、執事は聞こうとしなかった。

 自分に都合の悪い事は聞かないという、正に父親と兄を見ている様だった。


「僕は別家の当主で、実家とは縁が切れています。そして、父親は既に死んでおり、兄も永久に社会に出ることはありません。つまり、既にギャイン騎士爵家は後継者を失っているのです」

「なっ!? あの子が永久に社会に出れないって……そんなの嘘よ!」


 一人の使用人が泣き喚き散らしているが、兄を産んだ使用人その人だった。

 昔は綺麗だったのかもしれないが、今は醜く太っていた。

 残り二人の使用人も、父親や兄と私的に繋がっていたのだろう。

 うん、もう良いでしょう。

 ゴードン様が、あることを宣言した。


「執事以下四人を、横領で拘束する」

「「「「はっ?」」」」


 四人は、ゴードン様の言っている事が何のことだか分からなかった。

 しかし、拘束を逃れる理由にはならない。

 四人は、あっという間に兵に縄で拘束された。

 そして、ゴードン様は四人が身に着けているある物を見逃さなかった。


「お前らの身体に身に着けている豪華な装飾品は、一体何処のものだ? 本来、国が接収しないといけない物だろうが!」

「「「「ぐっ……」」」」


 元から屋敷の金品を横領していたので、強制接収されるはずの金品を身に着けていても問題ないと思っていたのだろう。

 特に、兄の実の母親は使用人には不釣り合いな豪華なネックレスをしていた。

 もはや、言い逃れはできないだろう。


「くそー! ケンのくせに!」


 執事は、何故か僕に暴言を吐きながら連行されていった。

 三人の使用人は、観念した様子だった。

 そして、四人は護送用の馬車に乗せられて軍の施設に運ばれた。


「はあ、何だかとっても疲れました。まさか、あんな事を言ってくるとは思いませんでした」

「奴らの頭の中は、六歳の時のケンのままだったのだろう。だから、子どもを相手にしている様な言い方しかできなかったんだ」


 ゴードン様は、僕の肩をポンポンと軽く叩いていました。

 そして、スラちゃんとブドウちゃんが僕の頭をなでなでしていたのです。

 かなり疲れたが、実家に関する事はこれで殆ど片付いた事になった。

 屋敷の玄関と門の鍵は、後日別の鍵に付け替えられるという。

 こうして、ギャイン騎士爵家は名実ともに消滅したのだった。

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